日想」カテゴリーアーカイブ

ネイビー!ネイビー!

子供の頃から男は青色、女は赤色ってのはなぜなんでしょう? うちの3歳の娘には赤系の色物をいっさい与えなかったのですが、モノ心ついてきてからはおもちゃもおかしも服もピンクを欲しがるのはDNAのせいだとしか思えないのですが。 来春、メンズのトレンドカラーはネイビーです。濃淡で組み合わせるグラデーションが、多くのブランドやショップで提案されています。ネイビーなんて定番色なので、いまさら言われなくても、という感じですが、昨春は赤、黄色、緑など、いろんな色柄を取り入れていたので、来春はちょっと落ち着いた感じですね。ウールでもオックスフォードでも、デニムでも、リネンでも、なんでもかんでもネイビーを着ておけば間違いないかんじです。 ネイビーという色には、男気、誠実、高貴、行動、優雅、余裕、貫禄など、さまざまな要素があるようです。元ブリオーニCEO、現カルーゾ社CEOのウンベルト・アンジェローニ氏は、ネイビーという色だけで一冊本を書いています。海外ではビジネスカラーの定番色として、日本人は「ねずみ色」ともいわれた昭和の産物チャコールグレーのビジネスマンや近年モードからやってきた黒(の織柄入り)スーツの若いサラリーマンが多いですが、グローバルなビジネスカラーとしてネイビーを薦めています。そういえば、政治家もネイビースーツが多いですよね。黒とか逆に少ないような。 手持ちのネイビースーツ、ネイビーニット、ブルーシャンブレーのシャツ、デニムなど、ひっぱりだしてくればなんとかなります。でもマリンな気分を添えると、なんだか違うような気がするので、セント・ジェームズのボーダーシャツはやめておいたほうがよいかもしれません。 「流行りものは着ない」宣言しといて、流行りモノ情報を書くというなんとも屈折した商売だなー。 ... 続きを読む


来シーズン展示会の密かなお楽しみ。

モノよりその気持ちが、ね 冬の声がちらほら聞こえだして、秋が終わる今の時期、メーカーやインポーター、セレクトショップが来シーズンの取扱商品をお披露目する展示会が開かれます。先日、マッキントッシュの来シーズンの新作をご紹介しましたけれど、海外ブランドの輸入商社が来シーズンの新作を取り揃えてメディアに紹介したり、卸売先の注文を取り付けるのも今の時期です。 内容は6月に開かれたピッティ・イマジネ・ウォモや、パリやミラノのコレクションをもう一度、国内バイヤー、メディア向けに焼き直したもの。一度目にしたものを、再度細かく確認することで、来シーズンの傾向と対策を見直すわけです。6月の時点でメーカーに依頼しておいた別注品などのサンプルを確認する機会にもなります。 この展示会で評判がよければ増産したり、評判がいまいちの場合、商品化を諦めることもあります。そういう意味では、見せる方も見る方も真剣勝負なのですが、単純に服好きが集まってる業界内では、新作をいち早くチェックできたり、場合によっては自分用に1枚予約できたり、と楽しい場でもあります。 もうひとつ展示会のお楽しみは「お土産」。会場を訪れたメディアやバイヤーの方々に、お土産が配られることがあるんです。それは、ちょっとしたお菓子だったり、ブランドの非売品小物だったり様々。なかには「こんなんもらっても…」と困るようなものだったりすることもありますが。 最近もらってうれしかったのは、ヘンリーコットンズの展示会でいただいたマフラー。大判で60×180ぐらいの、タータンチェック柄のニットマフラーでした。すでに愛用しています。お土産が良いと、ブランドへの好感もわくものです。ステマと言われようとも、次回はヘンリーコットンズの宣伝をしておこうかな。 ... 続きを読む


トラコン日想

エアラインバッグの郷愁とともに トランスコンチネンツが復活してますね。トランスコンチネンタルじゃないっすよ、トランスコンチネンツ。じつはまだちゃんと見てないのですが、首都圏は銀座、吉祥寺、越谷レイクタウン、大阪、京都にもお店があるようです。あと、ZOZOタウンにも。ロードサイド紳士服店の「はるやま商事」が運営されているそうで、あれー、トランスコンチネンツって東急系だったんだけど、ブランドだけ売っちゃったのかな? ディレクターはスタイリストの小沢宏さん。最近はご自身のブランド、Numero... 続きを読む


色柄いっぱいの服は来年も着られるか

買うべきか、買わざるべきか そろそろセールシーズンが始まります。一般の方向けのセールはもう1月ほど先になりますが、プレス関係者や上顧客が招かれるサンプルセールが、バンバン開かれています。先日も、某セールに伺わせていただいたのですが、今年トレンドとなった派手なチェック柄のジャケットがたくさん並んでいました。あの撮影で見たジャケット、この雑誌で見かけたチェック柄、個人的には気に入ってたんだけどコーディネートチェックでボツにしたものも。 サンプルセールともなると、1シーズンさまざまな媒体の撮影で酷使されていますので、ピカピカの新品とまではいきませんが半額から8割引きになっているものもあります。しかもサンプルとしてはあるけれど、商品化されなかったモデルなど、正真正銘のブランド製なのに1点しかない超レアものだったりして、ファンにはたまらなく希少なアイテムとなるんです。誰かとかぶることもないですからね。 で、サンプルセールの戦利品はというと、シンプルな白シャツとベルトとネクタイだったりします。派手な色柄のジャケットもパンツもコートも今回は買いませんでした。それというのも、来年はこの色柄トレンドがすっかり影を潜めそうだからなんです。 最近、早い雑誌では「黒」だとか「モノトーン」だとかを推しています。じつはこのトレンドが来年あたり本格化しそうなんです。個々数年、色柄豊富なコレクションが、そろそろ飽きられ始めていて、もう黒でいいじゃん、となってきたという、ファッション業界的にはありがちな「揺り戻し」現象が始まっています。 そもそもファッションは右へいったら左へいき、左へ行きつくしたら右へ戻るという現象の繰り返しです。戻り具合のスピードは異なりますが、アイビーやプレッピー、80年代や90年代も、リバイバル現象がここ最近でも見られていますから。 で、来年は行き過ぎた色柄ブームに反旗を翻して黒、という流れは決定的です。先のピッティでもミラノでも、パリでも、黒やモノトーンは少なからず見られました。ただしクラシックのトレンドは、モードよりも速度がゆっくりですので、完全に黒の支配されるには数年かかると思います。で、世の中が真っ黒になった頃、早い人はまた色柄を着だしているというイタチごっこ。 個人的に色柄華やかなアイテムは一枚も持っていません。なぜなら似合わないから。着てみたいと思うこともありますが、自分の枠外の服には手を出さないようにしています。流行を追いかけるより、「流行とか関係ないね」という人のほうがお洒落に見えるのは、長年ファッションライターをやってきて、やっとわかった結論です。 ... 続きを読む


アイロンな気分

アイロンがけは紳士の嗜み 長いこと「洗いざらしのシャツをノーアイロンで」とか「シャツ襟の剣先に入ってるプレートは抜いて捨てる」とか、「シャツの襟先を跳ねさせて、わざと抜きドコロに」とか書いてきたんですが、どうも最近はきちんとプレスしたシャツが着たい気分です。 もちろんアンコン仕立てでふにゃふにゃのナポリスーツには、ノリの効いたパリパリのシャツは似合わないのですが、とくに今冬のように英国調のフランネルやツイードなどの硬め(とはいえ、以前よりは断然やわらかいのですが)のスーツには、パリっとした衿羽根のシャツが似合うようです。 フォルムのきちんと出る英国調のスーツには、襟羽や胸元がしわっぽいシャツは、だらしなく見えてしまいます。シャツの剣先のプレートはあってもなくてもいいのですが、きちんとプレスはしておいたほうがよさそうです。クリーニング屋さんに出すのもいいですが、毎朝または毎夜、自分の着るシャツにアイロンを掛けるという”儀式”も、紳士の嗜みではないでしょうか。 ... 続きを読む