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zeroyonlab について

メンズファッション誌のエディター、ライターとして活動しています。雑誌の特集ページに記載される、スタッフ名に「ZEROYON」「04」「ゼロヨン」とクレジットされているのが”私”。ちなみに1人ではありません。

「見えてる」より「見せる」Tシャツを

クルーネックに白Tを覗かせる「抜き」テクニックを学ぶ  完璧な装いは、ときとして「お洒落」とはいい難い。むしろ適度に「着くずし」ているほうが「粋」とされる。ネクタイのノットを、わざと二等辺三角形に結ばないとか、袖口のボタンをひとつはずすなどは「抜き」の典型。フォーマルジャケットにジーンズをあわせる「ミックスコーディネート」もくずし方のひとつといえるだろう。  カジュアルの着くずし方は多種多様で、シャツのボタンをひとつはずすのも「着くずし」ならば、サイズをわざとひとつ上げて、ゆったり着るのもくずし方である。最近ではの縫製部が二の腕に落ちるぐらいの位置で仕上げた、オーバーサイズシルエットが若者たちの間では人気なのだが、これはもう「着くずし」というよりもスタイルとして定着している。おそらく彼らはこれを「着くずし」ているとは思っていないだろう。  最近、よく使われるテクニックにクルーネック(丸首)のセーターの襟元に白いTシャツを覗かせるという着方がある。これもひとつの着くずしのテクニックだ。本来衿付きのシャツにはネクタイを結びVネックセーターがクラシックの基本的なドレスコード。クルーネックは中にシャツを着るではなく、セーター1枚で襟元すっきりと着るのが正しい。たとえ中に下着を着たとしても、衿もとから覗くのはご法度である。昔は「セーターの衿が伸びてしまった」「だらしない」と揶揄されたものだ。  しかし現実的にウールのセーターを素肌に一枚で着るのは、湿度も気温も低いヨーロッパならともかく、高温多湿な日本の気候的には相応しくない。そこで白いTシャツを着て、襟元から1センチほどTシャツを覗かせる着方が定着した。これは90年代の流行スタイルとして、アメリカのデザイナーズブランドが提案した着方のひとつなのだが、素肌にニットを着るのが不快な日本人にとっては非常に理にかなった着方であり、首元にセーターのちくちくが苦手な人にも有り難いため、定番の着方として定着した。  ただし、ここでのTシャツは決して着込んで、首がゆるゆるのものではいけない。覗いているのではなく、あえて見せているのだからこそ、しっかりと上質なものを合わせなくてはならない。 ... 続きを読む


ベルトレスはお洒落で快適!

洒落者はジャケットの内側に派手色サスペンダーを  ベルトを使わずに穿くズボンが人気だ。ファッションそのものが「リラックス」「快適」といったイージーな方向へシフトしているため、カジュアルに於いてはウェストゴム&ドローコードを結ぶイージーパンツタイプが人気だし、ジャケットを着るときのスラックスも、ベルトループのないパンツがトレンドだ。そういえば筆者もここ最近ベルトを通した記憶がない。  ベルトでウェストをきっちりマークするよりも、あえてノーベルトで楽ちんに着るスタイリングが主流である。テーラードジャケットにライン入りのトラックパンツやスウェットパンツをあわせる着方もミックスコーディネートとして流行しているし、そもそもドレスパンツはベルトレスタイプがトレンドだ。カーフのベルトは、しばらく出番がなさそうである。  本来、正装用ズボンは採寸してから仕立てるので、ウェストがジャストフィットするべきものでベルトは不要。それゆえベルトレスパンツは高額なオーダー仕立ての証であり、英国紳士はベルトレスパンツがステイタスであった。ひとりひとりにアジャストするのが難しい大量生産のズボンを生み出したアメリカ人が腰回りにループを付けてベルトで穿くことを提案したとされているが定かではない。  英国紳士でもチャーチル元首相のように、お腹が大きな「あんこ体型」の人はサスペンダーを使う。「サスペンダー」はご存じのように「ズボン吊り」とも呼ぶが、正式には「ブレイシーズ」という。ブレイシーズは基本的に上からベストまたはジャケットを着るため、決して人に見せびらかすものではない。それゆえ下着や裏地に凝るのと同じく、派手な色柄で遊ぶことが紳士の粋人された。さりげなく、派手な色柄のサスペンダーをしておいて、ジャケットの前が翻ったときにチラ見えするのも洒落ている。じつは筆者も太幅で派手柄のサスペンダーを探しているところだ。  余談だがサスペンダーをするときに、ベルトを同時にしてはいけない。かの喜劇俳優チャップリンは「自信のない男」を演じる際、サスペンダーとベルトの両方をつけたという。 ... 続きを読む


春のレザーは牛より羊

いまどきの革ジャンは薄くて軽いラムレザー  春まだ浅い頃、分厚いダウンジャケットはさすがに不要だが、朝方、夕方には少々冷え込む。薄手のスプリングコートは心もとない。この時分にもっとも適当なアウターはレザージャケット=革ジャンだと思う。  革ジャンと聞くと、思い浮かぶのはフライトジャケットかライダーズジャケットだろうか。若い頃、アメ横で米軍放出品を漁ったり、50’sのロックミュージシャンを気取ってショットやバンソンの革ジャンを着ていた方もいるはず。20代でバイトして懐はたいて購入した分厚いくて重たいカーフ(牛革)の革ジャンは、何年も着込んでオイルを塗り込み、ようやくオヤジになる頃、味が増して渋みが深まり、身体に馴染んでてカッコよくなる代物だ。しかし40肩、50肩に革ジャンは辛い。そうこうしているうちに、着る機会がなくなって、カビを生やしてしまい処分していることだろう。革ジャンとは、そういう運命のアウターなのだ。  近年主流の革ジャンは牛革ではなく、ラムレザーやシープスキンと呼ばれる羊革が主流となっている。羊革は牛革より薄手で軽く柔らかいので、新品でも初日から身体にフィットして着やすいもの。とくに肩や腕などが動きやすく、コットンのジャンパー感覚で着ることができる。本物のフライトジャケットやライダーズジャケットのように、耐久性を重視しないため、ラムレザーのそれはデザイン優先のファッションアイテム。見た目にカッコよく、風を通さずそこそこ温かいうえ、質の良いラムレザーは高級車のシートのようにしっとりとしたタッチが、大人の余裕を感じさせてくれる。少々古いが「ちょい不良オヤジ」が好む理由がここにある。  そんなラムレザーの人気ブランドが、イタリアのエンメティだ。もともと高級ブランドのレザージャケットを一手に引き受ける工場が、自社で誕生させたブランドゆえ、革もデザインも超一流。昔のようにガバガバの重たい革ジャンしか知らない方は目ウロコ間違いない。  それでもショットやバンソンに憧れるなら、古着屋を回られたい。マニアや男ウケはしても、スマートな都会の男には見えないだろうが。   ... 続きを読む


ウォームビズ対策していますか?

重ね着上手はウォームビズ上手 セーターはVよりクルーネックでお洒落度UP   今夏は流行語大賞にもノミネートされた「災害級の暑さ」にやむを得ず、冷房の設定温度を低くしたという話を聞いた。しかし、今冬は厳冬でも暖房温度が上がるかどうかは確約できないため、今から「ウォームビズ対策」を考えておきたい。   スーツは紡毛系の素材。フランネルやサキソニーなど、起毛感ある素材のものは大前提だが、重ね着で空気の層を作るのが「寒さ対策」にはもっとも有効だ。ワイシャツの下にユニクロのヒートテックを着るのは基本として、ワイシャツとジャケットの間にセーターを重ねたり、共地のベストでスリーピーススーツを着るのもいい。こんな時はカーディガンやVネックのセーターではなく、あえて「丸首のクルーネックセーター」を着るのが「今風」だ。ネックの襟元はタイトすぎず、すこし緩めのものを選び、ネクタイの結び目を引っ張り出して着るのが、お洒落な人たち間で密かに流行している。   共地ではなく、異なる色柄のベストを着るのも洒落ている。もちろんニットベストではなく、「ジレ」と呼ばれる、スーツとセットになっていない単品のオッドベストだ。オフィスでジャケットを脱いだとき、タイトに着たベスト姿は、英国紳士のようでスマートでもある。   屋外でのウォームビズは靴下選びも重要。足首上程度の短い靴下ではなく、膝下までのハイソックスを選ぶだけでも暖かさは随分違う。そもそも欧米では、スーツにはロングホーズと呼ばれるハイソックスが基本。「スネ毛がのぞくのはスーツ最大のタブー」と言われるからだ。最近ではメンズのタイツなど防寒対策用のアンダーウェアもあるので、検討するのもいいだろう。   寒さを防ぐポイントは「首」「手首」「足首」の「3首」と言われるだけに、マフラーや手袋の類も有効だ。カシミヤのマフラーとニットライニング(裏地)の革手袋があれば、早朝のバス停や駅のホームでも温かく過ごせる。   ... 続きを読む


ほっこりネクタイで温かそうに見せる

ウールタイやカシミヤタイなら胸元からほっこり  ノーネクタイを推進するオフィスがあったり、廃止を名言する企業があったり、ネクタイ不遇の時代だが、ちょっと待ってほしい。冬場のネクタイは首元の保温機能に有効なアイテムだ。「ラクだから」とシャツの襟元ボタンを開けるより、シャツ内の温かい空気を逃さないほうが遥かに温かく、マフラーも不要だし、それよりなによりきりりとタイドアップしたほうが背筋が伸びて、仕事に向かう気分も揚がる。だらしなく開いたノータイの襟元で商談にやってきた営業マンや、窓口の接客業より、遥かに仕事を依頼するのも受けるのにも、ネクタイをしている人の信頼性は高い。  さらに言えば、ノーネクタイの人が多くなってきた今だからこそ、あえてタイドアップするほうが、明らかに見栄えがする。社内外での覚えも良くなり、好印象となれば仕事に有利なことは言うまでも無い。「あの人、いつでもキリッとしているよね」と噂になれば、上司の覚えもよく、クライアントからの担当指名率も上がるだろう。出世の糸口を掴むためにも、いまこそネクタイでチャンスを呼び込むのが得策だ。  せっかくなので、春夏とは違う、この季節ならではのネクタイをオススメしておきたい。一般的なネクタイはシルクだが、ウールやカシミヤのネクタイを選べば、胸元をほっこり温かそうに見せることができる。ツルツルでテカテカのシルクのネクタイは権威や威厳のイメージだが、ウールやカシミヤのネクタイは表面が起毛していてカジュアルで柔和な印象もあり、初対面でも強面感のない、物腰やわらかく好印象に見せてくれる。しかも多くの場合、ウールタイは柄モノでもスーツ地に通じるシックなものが多く、カシミヤタイに至っては柄モノよりも単色のネイビーやグレーといったビジネスカラーなので、誰にでも簡単に似合うものが多いのだ。色柄の組み合わせに悩むシルクのネクタイより、遥かにコーディネートしやすいはずだ。  ネクタイとは、相手に好印象をもってもらうため締めるもの。自分がラクになりたいからと外す人は、相手の立場に立つ仕事ができるのか果たして不安である。 ... 続きを読む