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本当のカシミヤを知っていますか?

本物のピュアカシミヤセーターは、日本の冬には暑すぎる  ウォームビズ真っ只中、ワイシャツとジャケットの間にはセーターを着ているという人は多いだろう。そのセーターもカシミヤなら温かさは段違いだ。ワイシャツの中に機能性インナーを着込み、さらにジャケットの上から中綿入りのコートを着込んでいるのなら、電車内ではむしろ汗ばむ程に違いない。しかし、果たしてそのセーターは本物のカシミヤだろうか。  近年、安価なカシミヤが出回り、ショップなどでも数千円ほどでカシミヤセーターが買えるようになった。カシミヤの採取量は約1万トンと言われるが、そこから精製するとその嵩は約3分の2になるという。市場に流通するカシミヤセーターの総量は5万トンとも7万トンとも言われる。「カシミヤ混」でも5倍から7倍とは水増しも甚だしい。多くの場合。相当な混ぜもので水増ししているか、あるいはまったくの偽物であることは想像に難くない。  一流ブランドの最高級ピュアカシミヤセーターは、10万円以上するものも少なくない。それは近所のスーパーマーケットの衣料品売り場で売っているカシミヤセーターとは、手触りも着心地もまったくの別物だ。  高級絨毛として知られるカシミヤは、羊ではなく山羊である。中国の新疆ウイグル地区から内モンゴル、イランの高地に生息し、とくに寒冷地で採取された原毛は最高級品だ。普通のウール(羊毛)の太さが20μ前後であるのに対し、カシミヤは15μほどと細く、手触りは「とろける」という表現が適当なほどウールとは別物だ。独特の「ぬめり感」と指先に絡みつくような極細の繊維ならではの特徴があり、これを糸に紡いで編んだセーターは目が詰まっていて保温性に長け、風を通さないのでじつに温かい。しかし街中のカシミヤセーターは、あの絡みつくようなぬめりが感じられないものが多いのである。  本物のカシミヤセーターを着たら、インナーなど不要だ。むしろコートさえ脱ぎたくなるほどに温かい、いやむしろ暑いのだから。真実を知るためには「ロロピアーナ」「クルチアーニ」「セッテフィーリ」「ブルネロクチネリ」といったカシミヤの専門ブランドを体感するしかない。   ... 続きを読む


冬の出社に良質なカシミヤ

お正月休み終了のお知らせ 明日から出社という方も多いと思います。会社に行くのがイヤになるくらい寒さが厳しいですが、厚手のコートやダウンを着るより、シャツの中にヒートテックを着るより、ジャケットのなかに薄手でも本当に品質のよいカシミヤのカーディガンを一枚重ね着することをおすすめします。出退勤時は寒くても、オフィスのなかはそこそこ暖かいもの。ヒートテックが暑くて、こっそりトイレ脱いできたなんて話も聞きます。もっと暖かい保温シャツなら、なおさらです。あれ、一日中屋外で仕事している人ならいいと思うんですけど。カシミヤのカーディガンなら、ジャケットを脱げば気軽で快適ですし、オフィスのドレスコードを損ねないうえ、温かさも抜群です。室内温度を低く設定している会社でも、良質のカシミヤなら、本当に快適です。あくまで「良質」のカシミヤなら、の話しです。 カシミヤ100%のカーディガンが、ユニクロなら7,000円ぐらいで買えます。このカシミヤをひと撫でしてから、百貨店の紳士服売り場に行って5万円以上の値が付いているカシミヤを触ってみてください。さっき触ってきたモノがなんだったのか、わからなくなると思います。 カシミヤ山羊はその名のとおり、インド北部のカシミール地方に生息する動物で、内モンゴルや新疆ウイグル自治区など、中国の奥地や最近ではネパールやイランなどの高地山岳地帯でも飼われています。厳しい環境に育つほど、その原毛が細かく細くやわらかくなるのですが、実際にトレーサビリティのシステムが確立していないこともあり、ブランドごとその品質にはばらつきがあります。産地だけでなく、成獣と幼獣の毛を混紡するだけでも毛質が変わるので、現地の採取業者の信頼性も重要です。適当な業者から買い上げれば、カシミヤ山羊の原毛どころか、よくわからない動物の毛がたくさん混じっていることもあるようです。実際、カシミヤ製品は世界の生産量より流通量が3倍なのだとか。どういうことやねん。 イギリスのジョンストンズやイタリアのロロ・ピアーナをはじめ、ブルネロ・クチネリやマーロ、セッテフィーリなど、ヨーロッパでカシミヤを取り扱うブランドの多くが、この原毛の確保にもっとも力を注いできました。信頼できる中間業者を選別するのはもちろん、現地に足を運び、何度も交渉を重ね、さらには何週間も一緒に山を歩いて業者との信頼関係を築き上げて、確かな品質の原毛を買い取る契約を結びます。そこに費やされる人件費こそがカシミヤの値段に反映されるわけで、一着1万円をきるカシミヤの品質がどの程度のものなのかは推して知るべし。 本物のカシミヤ山羊の毛を刈り取って原料につかったニットは、「とろとろ」という表現が使われるほど繊細で暖かく、むしろときには暑いくらいに感じる保温性を誇ります。目の詰まった編地になれば、日本の都会の冬ぐらいなら、カシミヤニット一枚で、十分外が歩けるほどです。 そのかわりカシミヤは繊維が細いぶん、細かなホコリを集めやすく、毛玉もできやすいですね。また繊維が弱いので伸びるのも早いです。襟リブがダレやすいので、クルーネックやVネックがでろ〜んと伸びてしまうと、高級なカシミヤでも、なんとなく貧乏くさくなります。高級なカシミヤは、もともと限られた上流階級のものですからヘタったら捨てる、新しいのを買うわけで、痛みがはやくてあたりまえ。庶民には高嶺の花ですが、がんばって10万円ぐらいのカシミヤを手に入れてみれば、その違いは明らかです。 僕は日本で25万円で売られていたブルネロクチネリのニットパーカを本国のアウトレットで8万円ぐらいで買いました。5年ぐらい前の話ですが、これが手持ちのセーターのなかでは群を抜いて暖かく、半袖Tシャツの上に着れば室内では暖房要らず、外出時は上からダウンを羽織ると途中で暑くなってしまうので、ラベンハムのキルティングJKか、ヘルノのインジェクションダウンベスト程度で十分です。だいぶヘタってきましたけど、まだまだ部屋着としてなら十分。8万円の元は十分とれています。正規で25万円だしてたら、あと20年は着たおします。 ... 続きを読む


クリスマスは、だっさいセーター着て集まれー

『はちみつとクローバー』の山崎くんなら着こなしちゃうよねきっと アグリーセーターが流行ってるそうな。クリスマスにダサいセーターをプレゼントしたことに始まったとか、おばあちゃの手編みのセーターだとか。みんなでダサいセーター着て集まるパーティがあったり、ネット上に専門店があったり。へー。 それじゃ、着てみようかな? とはならないけど、先日のサブールも同じでファッションを介したコミュニケーションって面白いと思う。「服は買ったけど、どこに着ていけばいいの?」っていうのはだめ。「着ていく服がない」ほうがまだまし。買えばいいだけから。むしろ「行くところがないから、服がいらない」っていう状況がまずいと思う。 アグリーセーターパーティも、一種のドレスコードパーティですね。ボウタイパーティー、チェックパーティ、イエローパーティ、ツイードパーティ、etc.。もっともっと広がるといいと思う。僕らもこれから「服を着て、街に出よう!」という活動を推めていきたいと思っています。 ... 続きを読む


40代にぶっ刺さるニット

テレビゲーム世代です これ、若い人にはわかんないかもですけど1980年に登場したTVゲームの「パックマン」です。ちゃんとドットも入ってます。しかもジャカードで。超なつい! オープニングテーマが聞こえてくるぞー。 エディフィスの展示会で見つけたMONSIEUR... 続きを読む


雑誌に書けないカシミヤの話

本当にいいものは安くないんです 「産出量の3倍が、市場に出回っている」というカシミヤ。数年前に某ファストファッションブランドが、6,800円ぐらいで売りだしてびっくりしたのですが、実際に見にいって、さらにびっくりしました。全然、僕の手持ちのカシミヤと違うのです。 MYカシミヤセーターは、ロロ・ピアーナ3万円(アウトレットで70%OFF)、クルチアーニ8万円(セールで30%OFF)、ブルネロ・クチネリ24万円(アウトレットで50%OFF)、コムデギャルソン8万円(プロパー)と、お値段はこんなかんじ。それが1万円を切るって、なんの冗談だかと思ったら、ホントに冗談でした。 本当のカシミヤは、日本の冬に上着なしでセーター1枚で外出できるほど温かいです。クチネリのカシミヤはニットパーカなのですが、インは半袖Tシャツでも全然平気です。今時分はむしろ暑くて着てられない。極細繊維が肌に吸い付くようにまとわりつくので、暑いわけです。本当のカシミヤって、そういうものなんです。 それがそれが、こんなざらざらのぐしゅぐしゅで、メリノウールよりちょっとやわらかいぐらいでカシミヤとか名乗られちゃ困ります。そもそもカシミヤは、成獣と幼獣で繊維に雲泥の差があり、ロロ・ピアーナなんかは、いかに現地のカシミヤ生産者たちに「成獣と幼獣の毛を混ぜるな」と教えこむかに苦労したとか。ちゃんといわないと成獣と幼獣の価値の違いを知らない人たちからすると、なんで混ぜちゃいけないの? となるのだそう。 それでもずいぶん最近は、劣悪なカシミヤが市場から駆逐されてきました。トレーサビリティも進んできて、あきらかにこのカシミヤ、おかしいやろ? となると、大手百貨店なんかはすぐにお取引中止ですから。逆にSPAはやりたい放題。今日も、某駅ターミナルビルに入店している某ブランドのカシミヤセーターを、さらっと指でなぞったら「ざりっ」ていいましたから。 ... 続きを読む