三陽山長は日本が誇る、本格靴のブランドでした。
「でした」と過去形なのは、昨年スーツ、コート、シャツ、革小物までトータルブランドに成長したからです。靴ブランドにはじまって、トータルメゾンに成長したというところはフェラガモやベルルッティを彷彿とさせます。
今秋でトータル1周年なわけで、靴からはじまる男のスタイルを硬派に築きあげるコレクションは、じつにクラシックでじつに男クサく、こだわりがハンパない内容です。今季は英国トレンドを掲げて、どうですかこのイギリスっぷり! EU離脱してる場合じゃないっすよ。このホームスパンツイードと革のくるみボタンを御覧ください。
これだけで白飯三杯いけませんか?
靴同様、洋服は「全商品手抜きなし」に作り込まれていまして、一点ずつ紹介していったらシーズンコレクションのカタログが電話帳ぐらいの厚さになってしまと思います。これをきちんと雑誌で紹介するためにはかなりのスペースを要すでしょうし、キリヌキ写真1点に100文字程度のキャプションでこだわりポイントを全部紹介するのは絶対無理です。その代わりお店で商品を見つつ、スタッフと話し込んだら服好き(というより服オタク)の人なら絶対に楽しめます。
今秋は一昨年登場して話題となった「極み」シリーズが、さらに進化するそうです。それがこちら。
両方とも「極み友二郎」さんですが、左下が初代で中右の両足が今秋の二代目極み友二郎さんです。どこが変わったかわかりますでしょうか?
そうですつま先が四角くなってます。スクエアトゥになったんですね。
これまでの友二郎さんは、流行に左右されないクラシックな小丸のラウンドトゥで、木型はR2010というモデルでした。これがスクエアトゥのR3010という木型になったことで、ちょっといかつい顔つきになりました。さらにウェスト(※靴のウェストといえば、土踏まずのことです)をキュッと絞り込んだ「ベヴェルドウェスト」、そしてアウトソールは半分だけ黒く塗った「半カラス」仕上げとなりました。
以前書いたとおり「極み」シリーズの作り込みは、はっきり言って既成靴にはオーバースペックともいえる内容でした。ここまでくるともう、見た目はビスポークシューズのレベルですよ、これ。ロンドンやパリのオーダー靴店で、注文主が金に糸目をつけずに「最高級のストレートチップをお願いします」といって、ようやくでてくるレベルですよ。マヂで。
ちなみにこちらはいまや人気絶好調のダブルモンク源四郎さん。内羽根のレースアップよりもはるかに使えるシーンやスタイルが豊富とあって、各メーカーもダブルモンク推しですが、三陽山長の源四郎さんも候補リストに入れてあげましょう。
ジョン・ロブのダブルモンクの定番ウィリアムと比べてなんて、雑誌では書けませんが、ルックスだけならひけをとりません。ちなみに現行ウィリアムはダブルソールなのかな。ソールがくびれたベヴェルドウェストや半カラス仕上げだったりすることを考慮すると、ドレス度では三陽山長に軍配があがります。たしかこちらはバックルの金具もこだわりモノだったはず。ロブのステイタス性は捨てがたいですが、税抜き17万。こっちのほうがちょっとだけお買い得です。