月別アーカイブ: 2014年10月

もっとも投資すべきは、果たして「靴」か? 〜種類編〜

靴には「外羽根」と「内羽根」の2種類があります。 いきなりちんぷんかんぷんな人は、ググってください。ここ読みに来てる人は、外羽根靴と内羽根靴の違いぐらいはご存知かと思いますが。 内羽根靴はフォーマル用なので、スーツを上品に着たい時に合わせます。普段のビジネス用には外羽根靴で十分です。プレーントゥでもストレートチップでも、ウィングチップでも構いませんが、フォーマルにウィングチップを履くなら、内羽根式でドレス感あるものを選びましょう。逆にデニムにウィングチップを合わせるのは一向に構わないのですが、外羽根式のほうが男っぽく、内羽根式だとちょっとおとなしい印象になってしまうので、デニムそのもののテイストも考慮しないといけません。リーバイスなら外羽根のウィングチップでOKですが、ヤコブコーエンなら内羽根のタイプのほうが似合うような気がします。 フォーマルには、プレーントゥまたはストレートチップをあわせるほうがドレス感が強まります。穴飾りは野外で歩いて傷がついても目立たないように入れられているので、ウィングチップやパンチドキャップトゥなどのメダリオン靴は基本野外用と考えた方がいいかもしれませんね。もちろん、すっげー上品なメダリオン靴をフォーマル用に用意しているならそれもいいと思いますが。 内羽根と外羽根の違いを抑えたら、次にスリッポンをどうするか、です。コインローファーやヴァンプシューズなど、かつては「スーツにあわせてはいけない」と言われてきた靴も、石田純一さんでなくとも最近はトレンドとして素足ではくのがOKになってきました。スーツに素足でスリッポン。夏場で、しかもビジネスでなければいいのではないでしょうか。あ、ただしホントに素足で履いてはいけませんよ。ちゃんと素足ばきに見える靴下を履いてください。 もう少し変わった靴を、というならダブルモンクはいかがでしょう。シングルモンクをカッコよく履くのは修行が必要なのでダブルモンクがよいようです。ドレスならスーツもジャケパンもオールマイティなのですが、デニムやコットンパンツではくと、ちょっと重たく見えることがあるのでご注意を。 ... 続きを読む


もっとも投資すべきは、果たして「靴」か? 〜金額編〜

「まず投資すべきは靴である」 服飾評論家の故・落合正勝さんは、確かにそう書きました。靴がいいとスーツが見違え、靴がいいと人物が見違えます。これは「足元を見る」の語源とは、ちょっと違うのですが、「この服装には、この靴じゃなき」というのが必ずあって、靴で服装が見違えるのは事実なんです。コーディネートの仕上げに靴を選ぶ方が多いと思いますが、靴選がその日のお洒落を左右すること少なくないでしょ。選ぶほど靴をお持ちでないなら仕方ないのですが、似たような革靴をいくつも持っていても「今日のこのスタイルにはこの靴」という明確な選択に落ち着くのは、やはり靴が要になるからに他ならないんです。 では、いくら投資すればいいのか? ズバリ言って10万円です。エドワード・グリーン、クロケット&ジョーンズ、チャーチ、オールデン、etc.。もっとお高い靴もありますがこのあたりが現実的でしょうか。個人的にも、靴を買うなら10万円が予算の目安だと思います。 もちろん10万円用意して、結果6万円の靴を買っても構いません。3万円の靴でも結構ですが、3万円の靴は10万円の靴の3分の1も保ちません。たぶん履いていくうちに革がヨレ、ヘタり、ライニングがズレてきます。それは味わいではなく、みずぼらしくなっていくんです。修理屋へ持って行っても、うまい具合に修理できなかったりします。靴って不思議なんですが、そういうものなんです。 それに10万円の靴一足で済むわけでもなし。毎日会社に行く人なら、10万円の靴を2足、その他ほか5万円の靴を2足、3万円の靴も2足ぐらいもっておきます。これをローテーションして履きます。そうすると、確実に3万円の靴からヘタっていくので、それは買い替え要員として、5万円と10万円の靴を2軍として、週に2回ぐらい登板させます。こうすると、靴選びが確実に毎日の着こなしの要となるし、スタイリングの幅も広がります。 服飾評論家の故・落合正勝さんの靴棚には10万円を越える靴が、100足ほどあったそうです。それだけで1000万円を越える投資をしていました。そのすべてを履いていたわけではありません。落合さんは1000万円投資して、はじめて「良い靴は長持ちする」とわかったのです。あなたが1000万円も投資しなくてもいいんです。最小の投資(よりすぐった靴選び)で最大のリターン(一生モノを手に入れる)を得てください。 ... 続きを読む


パンツの裾はなぜ折り返すのか

「諸説あります」っていうテロップが欲しい 今日は先に言っておかなければなりません。今日のお題に答えはありません。なぜなら、いろんな説があって、どれがホントかわからないからです。メンズファッションの歴史を紐解くと、いろいろなところでいろいろな人が「…が最初です」とか「…が起源です」とか自信満々に書いたり語ったりしてますが、同じネタで違う話はいくつもあるので断定的過ぎるものは少々眉唾です。「うちがオリジナル」とか平気で言うのが、怪しいのと一緒です。 先日、ある服飾評論家の先生が「貴族がボートで遊んでたとき、船から降りても折り返した裾を元に戻すのを忘れていたことから、見栄を張るため庶民の間に広まった」と書かれていました。なかなか面白い説ですねー。また別の服飾評論家の先生は「アメリカ人が雨の日に裾をまくっていたことを見て、その実用的な工夫に感心したことが起源」とする説を話されていました。またある人は「裾を折り返すと重石になって、パンツのクリースがきれいに出る」とも。 折り返してもパンツの質量が変わるわけではありませんが、折り返し部分はしっかりするので、裾がヒラヒラしにくくなってクリースがシャープに見えるということはあるかもしれませんね。昔は折り返しのなかに穴あきのコインを縫いつけて重石にしたなんて話もあります。ジャケットの裾からベントにかけて重石用のチェーンを縫いこむのと同じですね。 フォーマルのときはダブルにしません。これは室内着であるフォーマルウェアに共通です。結婚式ならダブるのはマズいからでしょうか。葬式とか叙勲とか戴冠とか、ふつーにダブりますけどね。ジャケットのポケットにフラップ(雨蓋)が付かないのと同じく、パンツを折り返さないと考えると、折り返しはなんらかの実用性があるためにつけられるようになったと考えるのが自然です。 雨や泥水の跳ね返りには、ちょっとやそっとまくっても意味はないと思うし、ヨット遊びも「だったら短パンはくか長靴はけよ」ってなるし、ぼくは誰かがクリースを美しく見せるための工夫としたんじゃないかと思ってるんですが。イタリア人のテーラーのなかには「シングルのパンツはエレガントじゃない」なんていう人もいますし。 先日、エスカイヤ誌の記事には「パンツの折り返しは身長の低い人は気をつけたほうがいい」とありました。背の低い人が太幅の折り返し付きパンツをはいていると、なんだかバランスが悪いからですね。背の高い低いは問わないと思いますが、自分のスタイルによって身長・股下にあう適切なパンツの太さがあるとおもいます。 背が低くても、太いパンツで折り返しのあるはきかたが似合うスタイルもあれば、細身の折り返しなしのパンツが似合うスタイルもあります。最近のスーツは細身テーパード(腰回りや太腿がピタピタではなく、裾だけすぼまってます。エスカイヤ誌では「にんじん型」と書かれていました)で着丈の短めのジャケットをタイトに着るのが主流です。でも80年代には着丈も袖丈も長くて、肩幅もあって、パンツもズドンと太いスーツが流行ってましたからね。 流行もおおいに関係ありますよね。折り返しの幅も気になるところ。個人的には、以前は4.5㎝だったのですが、最近は細身のパンツは3㎝折り返すのがマイブームです。でも来年は5㎝って言ってるかもしれません。 で、折り返しは誰が作ったのか? ほかにも説があったらぜひ教えてください。 ... 続きを読む


チャッカブーツのチャッカとは?

本当のお金持ちしか知らないわけ チャッカブーツって、ヘンな靴だと思いません? ドレス靴ではないし、カジュアル靴としてはなんだか中途半端な感じ。クラークスのデザートブーツを知ってから、チャッカブーツに出会った自分には「?」なシロモノ。アンクル丈の形状はブーツなのか、シューズなのか。チャッカシューズしかも「チャッカ」って何? 調べてみると「チャッカ」とはポロ競技のゲームの単位で、7分間の1チャッカを6チャッカで闘うのだとか。ポロ競技って貴族のスポーツなので、選手は試合のために何頭もの馬と馬の面倒をみる係の人を連れて行って、試合にあわせて必ずパーティがあるとかなんとか。日本ではあまり馴染みのないのも当たり前のものすごいお金のかかる競技なんですね。 で、ポロの試合の前だかあとだか途中だかで、選手と観客が触れ合うティーパーティーのようなものがあるらしく、そこで選手が馬に乗るためのブーツではなく、もっと気軽な靴=チャッカブーツに履き替えるのだとか。いや、実際に見たわけではないので言い伝えというか人づてとインターネットの知識なんですが。そんでチャッカブーツというらしいんです。 クラークスのデザートブーツは、文字通り砂漠用の靴で、1949年にネイサン・クラークが砂漠行軍用のブーツを持ち帰って、作り出したものですのですのでポロ競技とはなんにも関係ないのですが、あまりに似ていますよね。 ちなみにデザートブーツはステッチダウン製法がウリでもあります。グッドイヤーなんかより、はるかに昔からある作り方ですが、グッドより簡素ですので本式のチャッカブーツにステッチダウンは存在しないと思います。 ネイサンが戦場で見た最初の“デザートブーツ”は、どこかの貴族のチャッカブーツの革底をゴム底に張り替えたリメイク品ではなかったのかな、と勝手に妄想しています。 ... 続きを読む