もっとも投資すべきは、果たして「靴」か? 〜金額編〜

「まず投資すべきは靴である」

服飾評論家の故・落合正勝さんは、確かにそう書きました。靴がいいとスーツが見違え、靴がいいと人物が見違えます。これは「足元を見る」の語源とは、ちょっと違うのですが、「この服装には、この靴じゃなき」というのが必ずあって、靴で服装が見違えるのは事実なんです。コーディネートの仕上げに靴を選ぶ方が多いと思いますが、靴選がその日のお洒落を左右すること少なくないでしょ。選ぶほど靴をお持ちでないなら仕方ないのですが、似たような革靴をいくつも持っていても「今日のこのスタイルにはこの靴」という明確な選択に落ち着くのは、やはり靴が要になるからに他ならないんです。

では、いくら投資すればいいのか? ズバリ言って10万円です。エドワード・グリーン、クロケット&ジョーンズ、チャーチ、オールデン、etc.。もっとお高い靴もありますがこのあたりが現実的でしょうか。個人的にも、靴を買うなら10万円が予算の目安だと思います。

もちろん10万円用意して、結果6万円の靴を買っても構いません。3万円の靴でも結構ですが、3万円の靴は10万円の靴の3分の1も保ちません。たぶん履いていくうちに革がヨレ、ヘタり、ライニングがズレてきます。それは味わいではなく、みずぼらしくなっていくんです。修理屋へ持って行っても、うまい具合に修理できなかったりします。靴って不思議なんですが、そういうものなんです。

それに10万円の靴一足で済むわけでもなし。毎日会社に行く人なら、10万円の靴を2足、その他ほか5万円の靴を2足、3万円の靴も2足ぐらいもっておきます。これをローテーションして履きます。そうすると、確実に3万円の靴からヘタっていくので、それは買い替え要員として、5万円と10万円の靴を2軍として、週に2回ぐらい登板させます。こうすると、靴選びが確実に毎日の着こなしの要となるし、スタイリングの幅も広がります。

服飾評論家の故・落合正勝さんの靴棚には10万円を越える靴が、100足ほどあったそうです。それだけで1000万円を越える投資をしていました。そのすべてを履いていたわけではありません。落合さんは1000万円投資して、はじめて「良い靴は長持ちする」とわかったのです。あなたが1000万円も投資しなくてもいいんです。最小の投資(よりすぐった靴選び)で最大のリターン(一生モノを手に入れる)を得てください。


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