パンツ」カテゴリーアーカイブ

0か1か2か。

パンツのタック(プリーツ)の話です。 ここ数年、ノータックのフロントすっきりパンツが主流でした。スーツの組下もノータックパンツですしね。でも、もっと前は1タック2タックがアタリマエでした。80年代の学生ズボンのような、タックが入ったパンツが普通で、ノータックはかなり細身のリーバイスのスタープレストとか、サーファーがはくようなものしかなかったような気がします。デニムもタック入ってたし(マリテ・フランソワ・ジルボーとかね)。 最近、タック入りのパンツが増えています。新興のイタリアパンツ専業ブランドを中心に、ノータックの美脚パンツで売ったインコテックスも、細身テーパードで売ったPT01も、タック入りのテーパードシルエットをリリースしています。 タックが入ることで、本来はヒップ周りがユルくなり可動域が増えるのですが、最近のタック入りパンツは決してユルいほうではないようです。むしろ、ストレッチ混だったりするので、なんでタック入れてんの?というシルエットも。こちらデザインに寄せたタックなのだと思います。フロントすっきりに飽きてきたから、タックでも入れてみるかな、という。あくまでデザインの一部であって、可動域とかシルエットがキャロット型とかいうわけではないようです。 もちろんキャロットなタック入りパンツもありますが、こちらは主流になることなくモードなパンツとしてお愉しみください。 ... 続きを読む


パンツの裾幅を自分でお直し

DIYってやつです 先日、「パンツの裾幅を自分で直す」と書きましたが、その現物がこちらです。チャコールグレーのパンツもライトグレーのパンツもともにインコテックスのJ35です。メジャーで改めて計ってみると、ライトグレーは裾幅22㎝ありますが、実際は21㎝ぐらいで生地が厚地なのでダブル分で1㎝ぐらい太く見えますね。チャコールグレーのほうは裾幅18㎝。こちらは生地は薄手のウール地ですがもともとは、ライトグレーと同じサイズのJ35ですので、同じ裾幅だったものです。これを膝位置からミシンを掛けて裾幅を絞ったら、こうなりました。ダブルの部分は、裾幅を縮めるときに一度解いてから、少し丈短めにお直ししました。 パンツのサイドシームを内側から縫う時、上のようにステッチが表にでていないことが条件ですね。表にステッチが出ているタイプは、ちょっと処理が難しいので。 ... 続きを読む


パンツのシルエットをDIY

仕事したくないときほど、裁縫がしたくなります パンツは裾丈を直すだけでなく、膝から下をテーパードさせるように絞ることが大切だ、と何度か書かせていただきました。BEAMSのクリエイティブディレクターの中村さんも同じことをおっしゃってますね。 お直し代が結構かかります。インポートのパンツなら3万円ぐらいするのに、お直し代が5000円超えるなんてこともあります。でも、これ相応の技術料だと思うんです。自分で直してみたこともあるんですが、完璧に美しくはなりません。そこそこにはなりますが。美しいパンツはS字のカーブを描いているので、このカーブを活かしながら修正するのはプロに任せたほうがいいんですが……。「そこそこ」でよければ、直し方を以下に。 1 まずパンツを履いて、膝のすぐ下位置をまち針などでマークします。 2 ふくらはぎの一番張ってるところが、どれぐらい削れるかを調べます。このとき、パンツを履いたまま、膝を曲げ指で摘んで余分な量を図ります(膝を曲げた方がふくらはぎ位置が上がります。そこで削れる分量を図らないと、歩いているうちにパンツがずり上がってきます)。2㎝摘めたら、削る分量は半分の1㎝ぐらいにしておきます。まち針などでマークしておきましょう。 3 裾幅をどれぐらい削れるか調べます。最近のトレンドは16.5〜18㎝でしょうか。カジュアルに履きたいなら細身に、ドレス用に履くならちょっと太めに残しておきましょう。裾のダブルは解いておいてください。 4 パンツを裏返したら、削る分量の半分ずつを、サイドシームの内側・外側に設定します。ふくらはぎの位置を1㎝詰めるなら、内・外を0.5㎝ずつ、裾幅を2㎝詰めるなら、内外とも1㎝ずつ削るので、チャコペン(僕はサインペン 笑)で適当に線を引きます。 5 マークした膝位置から斜めにカットインして、裾まで一気に縫います。このとき最初はあまり削らず緩めにしておいて、ふくらはぎのマーク位置からは裾までシャープに削ります。 6 縫ったステッチより外側にはみ出たもとの縫い目の糸をリッパーでカットして、縫い代をアイロンで割ります。縫い代が余りすぎるところはカットしてロックミシンをかけるか巻き縫いして端を処理します。 3 最後に裾を詰めます。裾の詰め方はググってください。 安易な直し方ですが「そこそこ」細くなります。細くテーパードさせ過ぎると、ふくらはぎが干渉して履きにくくなってしまいます。1cm細くなるだけでも見栄えは大きく違うので、まず1㎝削ってみて、表に返して履いてみて、もっと削りたいなら0.5㎝削るというふうに”仮縫い”しながらやってみるのがよいのでは。 練習用に、ロードサイドの紳士服量販店で1,000円ぐらいのパンツを買ってきて直してみるのもいいでしょう。実際、僕は3本ほど直してみました。「そこそこ」履けるシルエットになりましたが、素材感が安っぽいので、ご近所散歩かコンビニ用ですが。 メンズファッション... 続きを読む


カラパンからガラパンへ。

確か去年ぐらいまでは、カラーパンツだった気がします。 今年の秋は、どこの店も柄モノのパンツが多いような。タータンチェック、ウィンドーペーンはもとより、花柄、小紋、ペイズリーから、わけのわからん幾何学模様まで。一歩間違うと激ダサいんだけど、さらっと1点使いだと、とっても今年っぽい。このさじ加減が難しい。 色柄が目立ち過ぎないものがいいと思うんですよね。たとえば昔のブルックスブラザーズにあったような、小さめの小紋柄とか、チェック柄なんだけど地色と格子の色がトーンオントーンだとか、プリント柄なんだけどオーバーダイまたは製品染めされていて全体にダークトーンになってるとか。こういうパンツなら、紺の無地のジャケットとか、基本無地柄のトップスにあわせれば、うまくいくような気がします。いや、気がしますじゃなくって、絶対うまくいく。会社に履いていけないかもしれないけど、お洒落サラリーマンなら許せる会社もあるでしょうし、なにより休日に履いてると、「お父さん、お洒落かも」という。 買おうかどうしようか、ぎりぎりまで悩んで結局辞めたのは、「流行ってるから」という、とても天邪鬼的な理由でした。「流行りものを着ていることほど、ダサいことはない」という、商業誌のライターとしては失格な考え方が、最近自分のなかでトレンドなので。でもそろそろリブパンほしいな。 ... 続きを読む


パンツの裾をお直しする際に注意すべきこと

大切なのは裾より膝です 「いまどきスーツのパンツの裾は、丈だけでなく裾幅も詰めるべき」と以前書きました。裾を詰めていない売り物のパンツは、かなり足の長い人を想定してサイズスペックが設定されているからです。ベルボトムが流行した頃、足の短い人が丈詰めしたら、普通のストレートになってしまった、なんていう笑い話は現代のテーパードシルエットのパンツでも、あながち冗談ではないのです。 足の長い人、短い人問わず、誰にでも履いた時もっとも美しい=似合うパンツの太さと丈があります。黄金律とでもいいましょうか、誰でもモデルのように足が長くないとどんなパンツも似合わないなんてことはありません。バランスは日本人とは異なりますが、実際、イタリアにはお腹はでてるわ、背は低いわ、禿げてるわ(関係ないか?)、ハンプティ・ダンプティみたいなオヤジがいっぱいいます。そういう人でも、スーツを上手に着ている人が多いのは、洋服の文化がきちんと根付いているからなんですね。胴長短足の日本人オヤジだって、この「黄金律」を見つければ、スーツがスマートに見えるんです。 そのポイントが、細身のパンツ。これまで20㎝程度だった裾幅を17.5〜18.5㎝にして、膝、脛部分も1〜1.5㎝程度削ります。これだけでずいぶん見た目は変わります。よくわからないという人は、細身テーパードのパンツを推しているお店でお直しをい願いすればちゃんとみてくれます。ロードサイドのスーツ専門店や、伊勢丹以外の百貨店だと難しいと思います。お直し専門店でもセンスのいいところを選べば大丈夫だと思います。 最近、ようやくこの「膝からお直し」が浸透してきたのですが、ひとつ落とし穴がありました。裾はともかく膝、脛を細身に絞ると、ふくらはぎがあたって、パンツが履きにくいという弊害がでることがあるんです。僕も、何本かお直しを失敗しました。気合い入れておもいっきり脛を絞ったら細すぎてしまったり、膝位置を失敗してなんだかジョッパーズみたいになってしまったり。これはもう、何本か直してお店との信頼関係を築くしかありません。で、そのなかで一番うまくいったサイズを基本にして、今後も直していく。個人的には飽食気味ですが、この細身パンツのトレンドは、まだしばらく続きそうですので(個人的にはね、飽きてます)。 ... 続きを読む