パンツ」カテゴリーアーカイブ

雑誌に書けないストレッチ混パンツの話

意外と短命なので買い替え前提でご購入を 最近、細身のパンツは「ポリウレタン2%」が混紡されていて、素材に伸縮性があります。そのため膝や足の付け根など、屈曲するとことが固くツレずに履き心地がやわらかく「伸縮素材だから細身でも快適!」と書かれるわけです。 たしかにコットン100%やウール100%のパンツより、ストレッチ混のパンツは快適です。細身で太腿パンパンでも、ストレッチ入りならなんとか履けます。丈短めで、股上浅めで、膝下テーパードがきつくても、ストレッチなら安心。でも、ストレッチ混パンツの唯一にして最大の欠点は「膝が抜ける」ということなんです。 ストレッチ混のパンツは、ほぼ確実に膝が抜けます。はじめはよくても3回、5回と履いていると、まるでモトクロスパンツのように確実に膝がぽっこりでてきます。ドレスパンツなら、膝が抜けたら致命傷で、即効ゴミ箱行きです。ストレッチ混の細身パンツも、膝が出たらさすがにいかがなものかと。カジュアル用だからいいですか? いや、でも確実にカッコ悪いよ。 ぴたぴたではくストレッチ混パンツ、膝がでてしまったら直す方法はたったひとつ「洗濯」です。洗濯機に掛けて乾燥機に掛けて、ちょっと縮ませると元にもどります。コットンストレッチのカジュアルパンツなら、これでなんとかまだ履けますが、ウールのストレッチ混だと、簡単に洗濯もできないし、ちょっと難しいですよね。極力膝が抜けないように、そーっとそーっと履くしか無いのかな。 ストレッチパンツの膝抜け、うまい対処の仕方があったら教えて下さい。まじで、いま困っています僕が。 ... 続きを読む


最新トレンド情報:パンツの裾丈

つんつるてんって言わないで ここずーっと、パンツの裾丈は短め履き、しかもターンナップかロールアップが主流でした。最近涼しくなってきて、あれあれ、これって靴下はくんだっけ?と悩むことしきり。じつは今年ほど、春先から素足履きが蔓延しているシーズンがなかったもので。 といいますのも、今年はスリッポンが大ブームで、雑誌もついに「もうスーツもスリッポンでいいんじゃね?」と、ついに故・落合正勝氏のスーツには絶対紐靴の原則が破られた記念すべき年だったんです。大袈裟ですが。そのため春からこちら、靴下の出番がまるで無い。すっかり忘れ去られていたわけです。 でもってここ数日の涼しさで、裸足に短めパンツで外出すると足首が冷える冷える。首、手首、足首の3大首は、暑いときには簡単に冷やせるポイントですが、寒いときは“首”が寒いと全身が寒いわけです。あれー、去年はどうだったかなーって考えたら、去年はまだ春も靴下履いてたし、夏も靴下履いてた日がありましたもん。今年はほんと、靴下はかなかったなー。 というわけで靴下、いまさらながらに必要だとおもったんですが、ちょっとまってくださいよ。靴下以前に、パンツの裾丈を考えなおすべきではないか、と。つんつるてん丈ではくのをやめれば、まだまだ裸足でスリッポンがはけるのでは? 派手色柄の靴下で、足元にアクセントを、というよりも、普通の裾丈で裸足スリッポンのほうが、なんだか新鮮です。イタリアおやじが、みんなつんつるてん丈というわけではありませんが、早い人はもうつんつるてん丈に飽きてきてると思うんだよね。だって、もう何年これやってんの? というわけで僕は最近、裾丈長いパンツをひっぱりだして履いてます。あーこりゃ男っぽくてカッコいいじゃん。なんだかSafariかOceansっぽいけどね。 とおもったら、ひとつ落とし穴がありました。手持ちのパンツ、ほとんどつんつるてん丈に直しちゃったので、長丈パンツ買い直さなきゃいけないんだった。ということは普通の人はパンツ買い直すより、まだまだ短丈ブームが続いたほうがいいわけですよね。 短めパンツのブームが終わらないわけだ。。。 ... 続きを読む


雑誌に書けないパンツの話 その2

日本にも「パンツ専業」があります そもそも既成品パンツは、メーカーが独自に算出したサイズスペックで型紙を起こすのですが、海外メーカーは、ひざの“くれる”位置やおしりの盛り上がり具合、太腿とスネとの周囲の差寸などを外国人の平均値から割り出しています。当然日本人のスペックと差がでてくるわけです。具体的にいうと海外のパンツは太腿とスネの差が大きいです。おしりがぽっこりでています。そのわりに腰骨が張っていないので、ヒップトップだけ高くて横骨がぴたぴたです。もちろんウェストサイズの最小〜最大値は、日本人のM〜5Lぐらいまであります。日本人向けにサイズスペックを変更しているブランドも少なくないですよ。海外でパンツを買うと、日本で直しが大変なんです。直しても直しても、なんかヘンだし。 日本人の標準体型は、おしりは扁平ですが、腰骨が張っていて、太腿もそれほど太くない上にししゃものようにふくらはぎがふくらんでいます。でもって足全体が短いうえに膝から下がまた短い。これでは海外スペックのパンツが似合うわけがありません。だから裾幅だけでなく膝から下を直したほうが、パンツのシルエットが身体にあうわけです。 エミネントは、自社ではじき出している数字が日本人ベースなので、膝位置がぴたっとくるわけです。テーパードがきつくないのに、ちゃんと細見えしますし、腰回りのフィットもいいです。もちろん以前は「おじさんスラックス」が多かったのでしょうけれど、いまは社内でデザインを担当している方が、しっかりトレンドを理解している方なので、ずいぶんよくなりました。逆に綺麗なテーパードラインを描くので、知らずにおじさんパンツを探している人が敬遠するという。いや、じっさい百貨店の平場でパンツ買うのなんて、おしゃれピープルじゃないですからね。でも意外なところに掘り出し物、あるんですよ。 雑誌では書けないですが、よくいわれる「履き心地」なんてものは、主観の問題です。腰回りのフィットが、とかストレッチが効いていて、とか、じゃあんなに履き心地の悪い腰パンがあんんで流行ったんだよ、っていう。 パンツの命はシルエットです。それは吊るしで買っても絶対最良のものは手に入りません。できるだけ理想に近いものを選んで微調整する。調整の幅が小さいほうが、理想に近づきやすいのはいうまでもありません。それにパンツはブランド名がでかでかと見える位置にないので、日本ブランドだろうがイタリアブランドだろうが、まわりにはちっともわかりませんから。 ... 続きを読む


雑誌に書けないパンツの話 その1

日本にもパンツ専業があります 「膝裏がついてないから安物だ」。こういうお父さん、まだ多いんだそうです。先日某百貨店で聞いた話。そんなこといわれたらインコテックスもPT01も失格です。膝裏は、太腿から膝まで、裏地としてフラした状態で取り付けられて生地のこと。これがあると、足の滑りがよいので履きやすいというか、パンツを履いて歩くときに足に絡まず歩きやすいのだそうです。ぼくは膝裏のついてないパンツをはいても、歩きにくくないけどね。 パンツで一番重要なのはシルエットだと思っています。中でも重要なのはお尻周り。ここがぴったりフィットしてないと太腿が余り過ぎてテーパードもきれいにでないし、ポケットの縁が浮いたりして、どうにもカッコよくないんです。試着のときは腰回りと尻周り、そして尻の下太腿の付け根周りのフィットを確かめます。膝下なんてお直しで対応するからどうでもいいんです。腰回りだけはお直しするのは、かなり難しいので。 INCOTEX、PT01、ROTA、G.T.A、J.W.BRAINE、GERMANOなどなど、イタリアパンツの専業ブランドは、次から次へと発掘されて日本にはいってきています。でも日本にものパンツ専業メーカーがあるんです。最大手はエミネント社といいまして、大阪が本社のパンツメーカーです。海外工場もありますが、国内工場もあります。 エミネントは主に様々なブランドのOEMを手がけているのですが、百貨店の平場には自社ブランド「サクソン」や「カルツォーニ」のパンツを並べています。これがですね、けっこういいんです。車内デザイナーが、じつにパンツのことをよく研究しているし、日本の細かな技術を巧みに使っているので、仕上がりがじつに見事なんです。 そのあたりのお話を明日。 ... 続きを読む


パンツの裾はなぜ折り返すのか

「諸説あります」っていうテロップが欲しい 今日は先に言っておかなければなりません。今日のお題に答えはありません。なぜなら、いろんな説があって、どれがホントかわからないからです。メンズファッションの歴史を紐解くと、いろいろなところでいろいろな人が「…が最初です」とか「…が起源です」とか自信満々に書いたり語ったりしてますが、同じネタで違う話はいくつもあるので断定的過ぎるものは少々眉唾です。「うちがオリジナル」とか平気で言うのが、怪しいのと一緒です。 先日、ある服飾評論家の先生が「貴族がボートで遊んでたとき、船から降りても折り返した裾を元に戻すのを忘れていたことから、見栄を張るため庶民の間に広まった」と書かれていました。なかなか面白い説ですねー。また別の服飾評論家の先生は「アメリカ人が雨の日に裾をまくっていたことを見て、その実用的な工夫に感心したことが起源」とする説を話されていました。またある人は「裾を折り返すと重石になって、パンツのクリースがきれいに出る」とも。 折り返してもパンツの質量が変わるわけではありませんが、折り返し部分はしっかりするので、裾がヒラヒラしにくくなってクリースがシャープに見えるということはあるかもしれませんね。昔は折り返しのなかに穴あきのコインを縫いつけて重石にしたなんて話もあります。ジャケットの裾からベントにかけて重石用のチェーンを縫いこむのと同じですね。 フォーマルのときはダブルにしません。これは室内着であるフォーマルウェアに共通です。結婚式ならダブるのはマズいからでしょうか。葬式とか叙勲とか戴冠とか、ふつーにダブりますけどね。ジャケットのポケットにフラップ(雨蓋)が付かないのと同じく、パンツを折り返さないと考えると、折り返しはなんらかの実用性があるためにつけられるようになったと考えるのが自然です。 雨や泥水の跳ね返りには、ちょっとやそっとまくっても意味はないと思うし、ヨット遊びも「だったら短パンはくか長靴はけよ」ってなるし、ぼくは誰かがクリースを美しく見せるための工夫としたんじゃないかと思ってるんですが。イタリア人のテーラーのなかには「シングルのパンツはエレガントじゃない」なんていう人もいますし。 先日、エスカイヤ誌の記事には「パンツの折り返しは身長の低い人は気をつけたほうがいい」とありました。背の低い人が太幅の折り返し付きパンツをはいていると、なんだかバランスが悪いからですね。背の高い低いは問わないと思いますが、自分のスタイルによって身長・股下にあう適切なパンツの太さがあるとおもいます。 背が低くても、太いパンツで折り返しのあるはきかたが似合うスタイルもあれば、細身の折り返しなしのパンツが似合うスタイルもあります。最近のスーツは細身テーパード(腰回りや太腿がピタピタではなく、裾だけすぼまってます。エスカイヤ誌では「にんじん型」と書かれていました)で着丈の短めのジャケットをタイトに着るのが主流です。でも80年代には着丈も袖丈も長くて、肩幅もあって、パンツもズドンと太いスーツが流行ってましたからね。 流行もおおいに関係ありますよね。折り返しの幅も気になるところ。個人的には、以前は4.5㎝だったのですが、最近は細身のパンツは3㎝折り返すのがマイブームです。でも来年は5㎝って言ってるかもしれません。 で、折り返しは誰が作ったのか? ほかにも説があったらぜひ教えてください。 ... 続きを読む