最近は単品ジャケットが人気です このジャケットのように、両サイドのポケット(腰ポケットっていうんですけど)が貼り付け式になっているものを「パッチポケット」といいます。スーツの場合は表地を横に切り裂いて内側に袋をつけて、外側から蓋を取り付けた「フラップ付き切りポケット」が一般的かと。 最近、単品のジャケットが人気ですが、その多くがパッチポケット式ですね。 ちなみにパッチポケットはドレスクローズとしては、カジュアルなデザインとされます。「えー、ジャケットなんてお洒落すぎ。カジュアルだったらブルゾンでしょ」っていう声も聞こえますが、「品格ある階級の人のお洒落はつねにジャケット着用」という考えがベースになっているメンズファッションにおいては、ジャケットマストなうえで、ジャケットをドレスとカジュアルに分類しています。まー、めんどうな話ですわ。 で、パッチポケット式のジャケットはカジュアルウェアのカテゴリーなのです。つまりフォーマルな席でパッチポケット式のジャケットは避けたほうがよいということです。 ちなみにブレザーは基本的にパッチポケット式、場合によっては胸ポケットにエンブレムがあしらわれ、腰ポケットとともに3パッチポケット式です。このことからブレザーはカジュアルの範疇だということがわかりますね。なので、ビジネスで着るのは基本、敬遠されてきたのですが(たぶん敬遠されてきたはず)、ネイビーブレザー&グレーパンツの着こなしは、現代では十分にドレス感度が高いといえます。ジャケットを着るだけで、十分ビジネス対応のドレスコードに達していると見るのが現代のドレスコードといってよいでしょう。 アメリカントラッドを狙うならチノパンとのコンビネーションもオススメです。アイビーっぽいですけどね。個人的にはブレザービズ、もっと拡大させたいですが。 ... 続きを読む
「ジャケット」カテゴリーアーカイブ
ラペル幅はスーツの顔です
ジャケットの襟をラペルといいます。 よく見ると、上襟と下襟に分かれているので、とくに下襟部分をラペルといいます。 このラペル幅、スーツによって、太かったり、細かったりします。 リクルートスーツのラペルは細い物が多くて、おじさんのスーツのラペルは太いものがいいようです。それに、70〜80年代のスーツはラペルが太いですし、90年代のスーツは細いものが多いようです。 流行もあるのですが、単に流行に左右されるものではないんです あるイタリアの老練したサルトに話を聞いたことがあります。「ラペルの幅は、何センチが正解なのですか?」。彼は「着る人の顔や体、肩幅で自然と決まってくるものさ」と答えてくれました。そりゃそうだわ。 小柄な彼のスーツのラペルは、太いところで10㎝ほどでしたが、スポーツマンだという彼の息子は体格がよく、ラペルも12㎝ほどとさらに幅広な堂々たるダブルのスーツを着ていました。一見、息子のスーツのほうが貫禄があるのですが、父の仕事を手伝う彼はあくまで脇役。年齢も30代前半とサルトにしては若いですが、ラペル幅の正解はこうなるのかと感じ入りました。 若者はモダンでシャープなナロウラペル。熟年はクラシックで貫禄もあり、ちょっと古くさいワイドラペルと思っていたのですが、そうではないようです。むしろ、若い人がクラシックなスーツを着て、社会人としての落ち着きや信頼感をアピールしたり、それなりの地位に就く年配の方が若々しいナロウラペルのスーツを着てもよいのではないでしょうか。 ... 続きを読む
バルカポケットという自己満足
ナポリならではのこだわりの表れ ジャケットの胸ポケットは、四角い布地が切り替えられています。四角い形状から「箱ポケット」などと呼ぶことがありますが、この四角い布地が、ちょっと斜めに切れ上がっていて、若干曲線を描いていることがあります。舟型をしているこの部分を「バルカポケット」と呼びます。 バルカポケットは、厚い胸板に沿うように曲線を描いています。これは南イタリアの高級仕立て服によく見られる仕様で、「俺は、こんな美しい曲線を描けるんだぜ」という仕立て職人の腕の見せ所。だからといって、何か特殊な機能があるわけではありません。鍛えあげられた立派な胸板には、長方形の箱ポケットより、曲線で立体的なバルカポケットのほうが吸い付くように馴染むなんていい方もされましたが、ほんとにそうでしょうか。 ... 続きを読む
斜に構えたポケットの意味
英国由来のポケットデザイン ジャケットの腰ポケットが斜めになっているものを「スラントポケット」といいます。「ハッキングポケット」ともいい、ロンドンのサヴィルロウのテーラーの仕立て服によく見られるデザインです。 これは馬に乗っているときに手を入れやすい形状なのだそうで、ジャケットが乗馬服から派生したことの名残だといわれます。右側のポケット上部に一回り小さいポケット=チェンジポケットが付属して親子式になることもあります。 スラントだから見え方がどうだとか、かっこいいとかわるいとかいうことはありません。あくまでデザインの一部なので、スラントポケットに固執する必要はないのですが、斜めのライン=スラッシュラインがシャープに見えると、若い人に人気なこともあるようです。 強いて言えば、見る人が見れば英国式のデザインだとわかりますので、タブカラー、またはピンホールカラーのシャツにレジメンタルタイを合わせて、ブリティッシュスタイルを意識して着るならよいかもしれません。 ... 続きを読む
ポケットの蓋の粋な使い方
フラップがある意味 現代のスーツの原型が整ったとされるのは1920年代といわれます。それ以前にスーツを着ていたのは西洋の貴族階級の人たちでした。時間帯や執務内容、狩りや食事のたびに服を着替えていた彼らの服は、デザインに明確な理由付けがありました。 たとえばポケットの形状。外で着る上着のポケットは、埃や雨水が入らないように蓋がついています。室内着のポケットには蓋がついていません。 スーツのジャケットの腰ポケットには、「フラップ」と呼ばれる四角いピロピロした生地がついています。これは「雨蓋」とも呼ばれるもので、文字通りポケットの蓋です。ポケットに蓋をして埃や雨水が入らないようにする機能ディテールなので、つまりこの服は屋外で着る服ということ。家を出て会社に行って、外回りに出かけて帰宅するビジネスマンのライフスタイルに相応しい服なのです。 フォーマルウェアのポケットは、切り口だけの玉縁ポケットになっています。モーニングやタキシードのポケットは、フラップがついていませんね。室内での礼装用に着る服なので、ポケットの蓋は必要ないわけです。 結婚式などに参列するとき、手持ちのスーツのなかでもフォーマル用と決めている一張羅やブラックスーツで出席される方もいることでしょう。そんなときは、フラップをポケットにしまって、フォーマルウェア風にしてしまうのもよいのでは。“わかってる”風を装えます。 ... 続きを読む