シャツ」カテゴリーアーカイブ

Vゾーンに覗くシャツにこだわろう

シャツこそサイズ スーツ姿を美しく見せるためには、スーツのサイジングも重要ですが、Vゾーンに覗くシャツに気を使うと一気にスマートに見えるようになります。首周りのサイズが合っておらず、台襟が首に吸い付いていないのも失敗ですが、もっとも注意すべきはシャツのシワ。シャツの胸に生地の余りやたるみが生じていると、絶対的に美しくないんです。サイズの合わない既成品のシャツを着ている方は注意が必要です。 シャツは身体にジャストフィットしていることが絶対条件。たしかなサイズのシャツ選びはオーダーするのが間違いありません。既成品のシャツは、厚い胸板と絞ったウェストを持つ外国人モデルのボディスペックをベースに作られているので、普通のおじさんが着ても、ぜんぜん美しくないんです。 既成品のシャツは、首周りのサイズで選ぶことので、胸周りの寸法を選ぶことができません。その場合は、身幅のあまり具合をみて、サイドを内側につまんで、ミシンで裏から余った部分を縫って切り取ってしまいましょう。あまりピタピタ過ぎると息をするのも苦しくなるので、そこは多少の余裕をみてください。着たときに、ほどよくボディラインが浮き上がるくらいジャストフィットまで詰めてしまいましょう。自信がない人は、お直し屋さんと相談です。でも5,000円のシャツのお直しに3,000円かけるのもいかがなものかと。 お腹まわりの気になるお年ごろの方は、むしろ余裕のあるシャツを着てお腹がでているのを画す方がよいのでは?と思っていませんか。それはかえって逆効果。むしろ身体のラインを強調して、お腹はぽっこりでも胸板から腕に生地の余りがないほうが、きちんとシャツを着ているように見えるもの。お洒落なイタリアおじさんは、みーんな潔くぽっこりお腹がそのままわかるようなシャツとスーツを着ています。 ... 続きを読む


カラーステーの処遇について

けっこう引き出しからでてきます シャツを購入すると、襟の裏に細長いブラスチックの板が刺さっていることがあります。これは「カラーステー」といって、襟羽根をびんと張らせるためのものです。シャツを洗濯する時は抜け落ちてしまわないよう外しましょう。干すとき、アイロンがけをするときも外しておいて、最後に保管するときに差し込むべきものです。 このカラーステーについて、ちょっと前までは「買ったら即捨てるべき」と書いてきました。ドレスシャツを洗いざらして、ノーアイロンもしくは糊付けなしで着るというのが流行ったからです。実際、そういう原稿をたくさん書いてきましたし、自分でもカラーステーは捨ててしまったものがほとんどです。せいぜい「バジル」と書いて植木鉢に挿すぐらいしか利用価値がありませんから。 しかし最近欧米人、とくにイタリアは、みなさん、きちんとアイロンを掛けて、ピシっとシャツを着てらっしゃる。ファッション業界人に話しを聞くと、このカラーステーが見直されているようで、イタリア男のように襟羽根をハネさせたり、ノーアイロンの風合いを楽しむ着方より、英国紳士のようにきっちり隙無く着るのがトレンドのようです。 捨ててしまったカラーステーは、どうやらシャツのメーカーの問い合わせれば購入することができるようです。自作で下敷きを切って作ろうかと思ったのですが、とりあえず聞いてみることにします。海外ではカラーステーにメッセージを書いてプレゼントすることもあるようです。 僕は外して引き出しにポイ。そして、どのシャツのものだったかわからなくなって、結局捨てちゃいます。 ... 続きを読む


ゴージの高さがどうだとどう見える

ゴージってなんぞや ラペルには、ちょうど鎖骨のあたりに切り込みが入っていると思います。上襟と下襟を繋ぐ部分です。この部分をゴージラインといいます。このラインの位置や角度がジャケットの表情に、とても重要なんです。 ゴージの位置が高いことを「ハイゴージ」といって、場合によっては「ハ」の字ラインが水平に近いぐらい切れ上がっていることがあります。この手のハイゴージスーツは、かなりシャープな印象でモダンなルックスのものが多いようです。逆に「ハ」の字がすぼまっているほど、なんとなくメロウでしょぼくれた雰囲気になります。なんだかちょっと間の抜けたような印象でオジサンくさくて、古クサい印象に見えてしまいます。たしかに昭和のスーツって、ゴージラインが低いんですよね。 ラペル幅は流行によって太くなったり細くなったりもしますが、ゴージラインもスーツが誕生してから100年間、高くなったり、低くなったりしているようです。60年代のスーツはゴージラインが高いですが、80年代はかなり低いです。2000年以降は、インフレ気味で高値安定しています。 いま、ゴージラインが低いスーツを大切にクロゼットにしまっている方、いつか着られる日が来るでしょうか。株や為替などの経済指標のように、こればっかりは誰にも読めません。 ... 続きを読む


半袖シャツは罪なのか?

夏のビジネスマンに半袖ワイシャツ 少し前まで、メンズファッション誌は「ビジネスに半袖シャツはNG」と謳ってきました。ヨーロッパのビジネスマンは必ず長袖のドレスシャツに、スーツまたはジャケパンのビズスタイルが基本だったからです。クールビズ草創期にも環境省の提案に反して「長袖&ネクタイ」を保守しようとしていました。しかしクールビズも10年を迎え、ここへきて世の中の流れは完全に半袖勝利。そりゃそうです、日本の高温多湿な夏にエアコンの設置温度を上げられちゃ、長袖・ネクタイは拷問でしかありませんから。 欧米の夏はカラッと暑くて、昼間でも日陰に入ればすっきり涼むことができます。日差しはキツいですが長袖でもジャケットを着ていても、じっとり汗ばむことはありません。麻素材なら風も抜けるし、夜ともなればジャケットがなければむしろ肌寒くさえあります。ところが日本の夏は、朝から空気がじっとり重くて、昼間はうだるような蒸し暑さ、夜も日差しがないだけで空気はしっかり湿気を含んでそこそこ暖まったまま。かいた汗はひかず、シャツはいつまでも湿ったまま。それなのにエアコンの設定温度28度って、亜熱帯気候と同じです。スーツなんて着てられるわけがない。 半袖のビジネスシャツは、それこそ昭和のホンコンシャツ以来存在はしたのですが、なんかオジサン臭が抜けないアイテムでした。どうやって着ても植木等かハナ肇、喜劇駅前シリーズ(って、知らないか。僕もちゃんとは知りません)の域を出ない。 ここ数年、ダサくない半袖ドレスシャツが増えてきました。半袖、ウェスト周りの余裕を削って身体のラインにフィットさせつつ、お腹まわりの気になる中年男性も、そこそこカッコよく見えるシルエットが研究されています。襟元のボタンを開けても衿羽根がだらしなく開かないように、衿型もボタンダウンやカッタウェイなど工夫されています。 ハワイの正装であるアロハシャツ(ファッション業界的には「ハワイアンシャツ」)や、沖縄のかりゆしを、日本の夏のビジネスシャツとして定着させようというのは少々無理があるのでは。せいぜいポロシャツぐらいかな。半袖ビジネスシャツは日本の夏のビズスタイルとして、もうドレスコードにしてしまってよいのではないでしょうか。ダサいかダサくないかは別として、オフィス街でも電車内でも半袖シャツしか見ませんし、無理してお洒落わかってる風の長袖シャツのビジネスマンが汗だくになってるのは、なんだか可愛そうに見えてきます。だったらちゃんとスマートに見える工夫がされた半袖ビズシャツのほうが、遥かにカッコいいと思うのです。 ... 続きを読む


シャツについて思うこと。

足し算”お洒落”への疑問 ドレスシャツの趨勢は、おりから続くクラシコイタリア・ブームにより、芯地の薄いワイド系カラーが主流となっています。飽くまでメンズのファッションの業界内では……。しかし都内の駅などでマンウォッチングをしていると、レギュラー気味のボタンダウンこそビジネスシャツにおける真のマス・アイテムだということに気付かされます。  しかも細かく見ていくと、昨今のような夏期などはボタンホールにカラフルなステッチが加えられたものであったり、台襟やカフの内側に別布をあてたものや、ベースは無地なのにチェック生地にて襟や前立てにトリムを施した“役付き”BDが意外なヒット商品になっていることも発見できます。  メンズファッション・メディアに携わって20余年。数々のドレスシャツを紹介してきた筆者ですが、そういった“役付きBD”などは撮影現場で遭遇したこともないし、ファッション誌等で取り上げられているのを見たこともありません。まあ、所詮小さな業界内でのハナシではありますが……。  メディアが取り上げることもなく自然発生的(?)に湧いて出ることは、舶来崇拝主義に偏りがちな本邦メンズファッション・シーンにおいて、ある意味心強いハナシではあります。しかしそれら“役付きBD”シャツは、世界的に見るとやはりスタンダードなドレスアイテムではなく、所詮色モノであることを強く意識しておく必要があります。  ドレスシーンで着用するシャツは、飽くまでシンプルかつ伝統的なものがベスト。確かに夏期はジャケットをオフしてシャツ一枚の装いになることもしばしばです。ジャケットもない、タイもないの“ないない尽くしのクールビズ”においては、なにか“役”が欲しくなるというのも分からないではありません。とはいえ「じゃあシャツをデコレーションしちゃおう」というのはあまりに短絡的。  それはカジュアルスタイルの考え方と言えるもの。大人はシャツイチで物足りなさを感じた場合、タイやジャケットで補うのが正解です。どうしても役を付けたい場合はオーダーでシャツを作りましょう。袖口や脇腹部分に入るイニシャル刺しゅうは、通をもオッと思わせる正統派の“デコレーション”です。   メンズファッション... 続きを読む