ゴージってなんぞや
ラペルには、ちょうど鎖骨のあたりに切り込みが入っていると思います。上襟と下襟を繋ぐ部分です。この部分をゴージラインといいます。このラインの位置や角度がジャケットの表情に、とても重要なんです。
ゴージの位置が高いことを「ハイゴージ」といって、場合によっては「ハ」の字ラインが水平に近いぐらい切れ上がっていることがあります。この手のハイゴージスーツは、かなりシャープな印象でモダンなルックスのものが多いようです。逆に「ハ」の字がすぼまっているほど、なんとなくメロウでしょぼくれた雰囲気になります。なんだかちょっと間の抜けたような印象でオジサンくさくて、古クサい印象に見えてしまいます。たしかに昭和のスーツって、ゴージラインが低いんですよね。
ラペル幅は流行によって太くなったり細くなったりもしますが、ゴージラインもスーツが誕生してから100年間、高くなったり、低くなったりしているようです。60年代のスーツはゴージラインが高いですが、80年代はかなり低いです。2000年以降は、インフレ気味で高値安定しています。
いま、ゴージラインが低いスーツを大切にクロゼットにしまっている方、いつか着られる日が来るでしょうか。株や為替などの経済指標のように、こればっかりは誰にも読めません。