「とっくり」って呼ばないで 昨日クルーネックニットの話をしたので、今日はタートルニットのお話を。タートルニットも去年ぐらいからメンズファッションではアツいアイテムです。ミドルゲージが去年は多かったと思うんですが、今年はハイゲージもいけそうです。衿は折り返してもぐしゅぐしゅのままでもOK。とにかく、 今年のトレンドはニットを着てればOKな感じです。雪柄のフェアアイルやアランセーターのようなケーブル編みもイケてる感じですが、あれ?アーガイルを見かけませんね。プリングルがリニューアルして、変形アーガイルのニットをリリースしてるの、かわいかったんだけどな。 横道にそれましたが、タートルニットの話でした。去年、ファッション業界ではもう浸透していたんですが、タートルニットの中にシャツを着て襟を立て、剣先を覗かせるという着方がありました。今年は、なんとなく、これがしにくいんですよね。なんとなく今年はタートルを正統に着るのがいいような気がしています。なんだろう、このむず痒い感じ。 特殊な着方って、少人数ならお洒落だけど、大人数だと気持ち悪いというか。タートルのシャツ襟出しってカブるとカッコ悪いな、と。去年、だいぶカブったので、今年はもういいかな、というかんじです。 ちなみにイタリアではタートルニットのことを「マリオーネ・ドルチェビータ」といいます。ジャケットやコートにタートルネックを着るスタイルをさして『ドルチェビータスタイル』と言います。マリオーネはニットのこと。ドルチェビータは「甘い生活」。有名な映画のタイトルなんですが、映画のなかで主演のマルチェロ・マストロヤンニがタートルネックを着ていたから、というのがよく聞くフレーズで、ぐぐってみるといろんな人がいかにみ知った顔で「映画『甘い生活』でマスロトヤンニが着ていたから」と我物顔で書いていますが、TSUTAYAで借りて見たけど 映画のなかでマストロヤンニはタートルネック着てませんから! ... 続きを読む
「シャツ」カテゴリーアーカイブ
シャツをオーダーする5つのポイント
スーツよりシャツをオーダーするほうがいいと思います。 スーツは既成品で多少直せば、よほど特異体型じゃない限り、そこそこカッコよく着こなせます。ですが既成品のシャツが体にジャストサイズという人はとても少ないと思います。 一度オーダーしてみるとわかりますが、市販のシャツはかなり身頃に余裕があります。当然胸周りがたるんでいますので、スーツを着た時にVゾーンのシャツがたるむんですね。当たり前のことと思っているかもしれませんが、Vゾーンのシャツがピシっとしていると、スーツがぐっとカッコよく見えるんです。ファッション撮影でも、Vゾーンがたるまないように気をつけています。袖丈も難しいですね。インポートブランドのシャツは、たいてい袖が長いですね。国産はそこそこジャスト丈ですが、カフがゆるいことがよくあります。 専門店でも百貨店でも、シャツのオーダーはせいぜい1万5000円もだせば、かなりいいものが仕上がってきます。ただし注意するところがありますので、以下ご参考に。 1 安い生地を選ぶ。 会社に行くためのシャツでしたら、オーダー専用シャツ生地の用意のなかでもスタンダードなものを選びましょう。なぜなら使用頻度の高いシャツは黒ずみや黄ばみが避けられないうえに、洗濯回数も多くなり、結局寿命が短いからです。シャツは消耗品で、一生ものではありません。高級シャツ生地は「ここ一番」用にとっておきましょう。 2 袖丈は親指の付け根。 手首を越えて、親指の付け根(手首のすぐ上。指先から数えて3つめの関節)までを設定しましょう。ちょっと長く思えるかもしれませんが、洗濯などでシャツ生地が縮むことを考慮します。また、採寸のあまいシャツ屋ですと、二の腕の太さを考慮せずに袖を仕立ててきます。そうすると腕っ節の太い人は、袖がたくしあがって袖丈が短くなってしまいますので。 3 腕を上げたとき袖が引っ張られるシャツ屋には二度と行かない。 袖釜があっていないと、腕を前に上げた時、カフがひっぱられて、手首が袖から抜けてしまいます。クレームとして修正してもらうこともできるので、お店に一言相談を。その際、袖丈を1.5㎝〜2.0㎝ぐらい長めに設定すると直せます。ただ、そういうシャツは、はっきりいって失敗です。最新の技術がないこともありますが、型紙が自分の体型にあっていないと潔く諦めましょう。よほど気に入った店でなければ、二回目はないかな。 4 ポケットはつけない。 ドレスシャツに胸ポケットは不要といわれます。実際は、タバコをいれたりスマホをいれたり、IDカードをいれたり、けっこう便利なので使っている人が多いでしょう。でもシャツのシルエットをくずす要因になりますので、せっかくオーダーしてカッコよく仕立てるシャツが台無しです。ポケットはつけず、刺繍のイニシャルをポケット位置より少し下に、シャツ地と同色で目立たないように入れましょう。 5 1回目はお試しと割り切る。 結局のところ、一見で自分の体にピッタリのシャツが出来上がることはありません。一度目は型紙をチェックするつもりで、一番安い生地でオプションもつけずにお試ししてみましょう。出来上がったシャツをベースに、胸周りを1.5㎝つめて、お腹を2㎝だす、とか細かい修正をして、シャツ屋さんとコラボレートしながら自分の体型にぴったりのシャツを作っていくのが正解なんです。 ... 続きを読む
ワイシャツは素肌に着るべきか
汗でびっしょり濡れたシャツでもいいですか 「シャツはもともと下着なので、上着を脱いでシャツイチはマナー違反だし、中にTシャツを着るのはナンセンス」とは、よく知られた文言で、ドレスシャツは一枚で素肌に着なければならないというのが、スーツ原理主義者の鉄の掟です。丸首や半袖が透けるのはカッコ悪いのも、その理由のひとつになっていますね。 一年をとおして空気がカラッと乾燥していて、汗がすぐ乾く国ならいいのですが。春は5月ぐらいから徐々に暑くなり始めて、ヘタすりゃ10月中旬ぐらいまで湿気が多く雨も多くて蒸し暑い日本で「シャツイチ」や「シャツ・オン・Tシャツ」を否定するのは、常夏のハワイでアロハシャツの正装を否定するのと同じではないでしょうか。郷に入りては郷に従え、日本には日本独自のドレスコードがあっていいのでは。 スーツが生まれた国、たぶんイギリスあたりでは、真夏でも30度を越える日は稀で、いや最近は異常気象なので少しは増えてるかもしれませんが、スーツの原型ができあがった今から100年ぐらい前は、真夏でもリネンのシャツとウールのジャケットで過ごせるぐらいの穏やかな気候だったはずのでしょう。平日33度が普通の日本の夏は、シャツイチだってシャツの中に吸汗速乾性のTシャツを着るのだって、じつに理にかなった着方です。 お洒落はときとしてやせ我慢といわれますが、単純に欧米のルールを真似るのは「やせ我慢」でもなんでもなくて「服従」です。国や地域に合ったお洒落の仕方があるはず。なんでもかんでも欧米に倣う必要はありません。 ただし、中のTシャツが透けるのは、やはりいかがなものかと。とくにプリントTを着てるサラリーマン。ときどき見かけます。 ... 続きを読む
ドレスシャツにポケットは必要ですか
使うと使わないとに関わらず 「ワイシャツはもともと下着であるので、ジャケットを着ずにシャツイチでいるのは、下着姿でいるようなもの」というのが、旧態然たるクラシコ信者の決まり文句です。たしかに昔のヨーロッパでは、そうだったのでしょうけれど、ならばTシャツも然り。Tシャツ一枚は許されるのに、ドレスシャツ一枚が許されないのは合点がいきません。カジュアルとドレスの違いかもしれませんが、やはり現代にはあっていないと思います。とくに高温多湿な日本では、クールビスとしてシャツイチを推奨していますので、やはりドレスコードは国や地域、気候や文化と照らしあわせて設定すべきだと思うのです。 ドレスシャツのポケットについても、同じような論調があります。曰く「下着にポケットはつけない」とか「ジャケットの表にひびくのでモノを入れない」とか。タバコを吸う人は少なくなったのでタバコを入れている人は減りましたが、ケータイ、スマホ、IDカードなどをシャツの胸ポケットに入れている人はまだまだ少なくないようです。 仕事でたくさんのシャツを見てきましたが、ヨーロッパのドレスシャツでポケットが付いているものはほとんど見たことがありません。逆にアメリカモノはブルックスブラザーズ伝統のボタンダウン(ポロカラー)シャツにもポケットはついています。イタリアでシャツをオーダーしたとき「ポケットを付けますか?」と聞かれたので、できないことはないのでしょう。もちろんNoと答えましたが。 シャツの胸ポケット、ついていてもいいと思うんです。シャツイチになったとき、なんとなく胸がつるんとしてるのは寂しように感じるんですが、ブルックスのBDを着るときはそれがないんです。この夏、両胸にポケットのついたパイロットシャツをオススメしていたメディアがありましたが、これもすごくわかる。第一、乳首が透けなくてイイ! でも、シャツのポケットは使いません。モノは絶対いれません。重さでシャツが引っ張られて、襟元が下りますしジャケットを着たときにヘン膨れるのはイヤですから。シャツのポケットにタバコを入れて、ジャケットのポケットにチーフを入れたら、けっこう胸元はエラいことになります。 以前書いたのですが、ジャケットの腰ポケットを使わないのと同じで、シャツの胸ポケットは使いません。ついているのはあくまでデザインですから。同じ理由で、パンツのポケットも使いません。 あ、でも後ポケットにウォレットコードを付けたパスケース入れてました。だって鞄をごそごそするのが嫌なんですもの。ただしドレススタイルのときは、必ずジャケットを着て後ポケットの様子は見えないように心がけます。 ... 続きを読む
白シャツの黄ばみの落とし方
黄ばんだシャツを捨てていた人へ シャツの寿命はいつでしょうか。体型が変わってしまってサイズが合わなくなったら仕方ありません。どこかに引っ掛けて破いてしまったり、カレーやパスタのソースの大きなシミをつけてしまったら諦めるという手もあるでしょう。でも大抵の方は、白シャツは黄ばんできたら寿命と考えるのではないでしょうか。 オーダーで仕立てた3万円のシャツでも、1万5000円の既成品シャツでも、ワゴンに山積みの3000円のシャツでも、白シャツは着ているうちに黄ばみます。値段が高かろうと、安かろうと、必ず黄ばみます。毎回クリーニングに出していても、どんなに丁寧に洗っていても、白シャツを白いままでキープするのはとても難しいのです。ですので安いシャツを、ワンシーズン着たら捨てるというのはある意味正解かもしれません。 黄ばみの原因は繊維の間に入り込んでしまった皮脂です。肌に直接触れる生地は、長く着ていればそれだけ皮脂が蓄積します。どんなに丁寧に洗っても、100%完璧に皮脂を落とすのは難しく、白シャツはいつか必ず黄ばんできます。黄ばんでこなければ、きっと袖や襟が擦り切れてきますので、諦めざるをえないでしょう。 じつは黄ばみは家庭で簡単に落とせます。 漂白剤と重曹とクレンジングオイルを用意しましょう。漂白剤は酸素系でも塩素系でも構いません。重奏はホームセンターや薬局で「お掃除用」というのが簡単に手に入ります。もちろん食用でも構いません。クレンジングオイルは彼女や奥様の使いかけでOKです。あとは使い古した歯ブラシと、ドライヤーを用意しておいてください。 まずクレンジングオイルを白シャツの黄ばみに染み込ませませます。黄ばみ汚れは脂が上からカバーしている状態にあるので、まずはこの脂を取り除くためにクレンジングオイルを使います。次に、漂白剤と重奏を混ぜたものを歯ブラシなどで黄ばみに塗りこんでいきます。このとき繊維の奥に入り込むように塗りこむんですが、あまりブラシでこすりすぎると生地を痛めるのでほどほどに。塗りこんだら、黄ばみ箇所をドライヤーで温めます。すると黄ばみがどんどん消えていきます。漂白剤と重奏を混ぜた液体は温めることで漂白効果が活性化するんです。 黄ばみがとれたら、あとは普通に洗剤で洗ってください。いつも手洗いしている方は、手洗いを、洗濯機の方は洗濯機で。 いつもクリーニングに出してる方は、クリーニング屋さんで「黄ばみを落としてください」といえばいいだけです。別料金になると思いますが。 ... 続きを読む