半袖シャツは罪なのか?

夏のビジネスマンに半袖ワイシャツ

少し前まで、メンズファッション誌は「ビジネスに半袖シャツはNG」と謳ってきました。ヨーロッパのビジネスマンは必ず長袖のドレスシャツに、スーツまたはジャケパンのビズスタイルが基本だったからです。クールビズ草創期にも環境省の提案に反して「長袖&ネクタイ」を保守しようとしていました。しかしクールビズも10年を迎え、ここへきて世の中の流れは完全に半袖勝利。そりゃそうです、日本の高温多湿な夏にエアコンの設置温度を上げられちゃ、長袖・ネクタイは拷問でしかありませんから。

欧米の夏はカラッと暑くて、昼間でも日陰に入ればすっきり涼むことができます。日差しはキツいですが長袖でもジャケットを着ていても、じっとり汗ばむことはありません。麻素材なら風も抜けるし、夜ともなればジャケットがなければむしろ肌寒くさえあります。ところが日本の夏は、朝から空気がじっとり重くて、昼間はうだるような蒸し暑さ、夜も日差しがないだけで空気はしっかり湿気を含んでそこそこ暖まったまま。かいた汗はひかず、シャツはいつまでも湿ったまま。それなのにエアコンの設定温度28度って、亜熱帯気候と同じです。スーツなんて着てられるわけがない。

半袖のビジネスシャツは、それこそ昭和のホンコンシャツ以来存在はしたのですが、なんかオジサン臭が抜けないアイテムでした。どうやって着ても植木等かハナ肇、喜劇駅前シリーズ(って、知らないか。僕もちゃんとは知りません)の域を出ない。

ここ数年、ダサくない半袖ドレスシャツが増えてきました。半袖、ウェスト周りの余裕を削って身体のラインにフィットさせつつ、お腹まわりの気になる中年男性も、そこそこカッコよく見えるシルエットが研究されています。襟元のボタンを開けても衿羽根がだらしなく開かないように、衿型もボタンダウンやカッタウェイなど工夫されています。

ハワイの正装であるアロハシャツ(ファッション業界的には「ハワイアンシャツ」)や、沖縄のかりゆしを、日本の夏のビジネスシャツとして定着させようというのは少々無理があるのでは。せいぜいポロシャツぐらいかな。半袖ビジネスシャツは日本の夏のビズスタイルとして、もうドレスコードにしてしまってよいのではないでしょうか。ダサいかダサくないかは別として、オフィス街でも電車内でも半袖シャツしか見ませんし、無理してお洒落わかってる風の長袖シャツのビジネスマンが汗だくになってるのは、なんだか可愛そうに見えてきます。だったらちゃんとスマートに見える工夫がされた半袖ビズシャツのほうが、遥かにカッコいいと思うのです。


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