シャツ」カテゴリーアーカイブ

ワイシャツのリアル価格

「ワイシャツ」っていわないけどね 先日某所で「5000円以下のワイシャツ総チェック(仮)」という企画に参加してきました。スーツ専門店をはじめ、大型スーパー、量販店、ファストファッションまで、ありとあらゆるところからかき集めた5000円以下のワイシャツ。これが一般的なサラリーマンの「会社に着ていくシャツ」の現実なんでしょうね。ファッション誌業界では、2万円代、3万円代も少なくないし、1万円代なら「価格も良心的」なんて言っちゃうレベルですから僕らのほうが浮世離れしているのかもしれません。 で、5000円以下のワイシャツ(ワイシャツって呼び方も、ファッション業界ではしないなー)を30枚ほどチェックしてみたんですが、そのほとんどが「形状安定」を取り入れてるいるんですね。つまりワイシャツは「シワになりにくい」ということが重要なんですね。綿100%になんらかの形状安定加工を施しているもの、綿に形状安定性の高いポリエステルを混紡しているものなど素材は様々ですが、会社に着ていくシャツにアイロンを掛けるのはめんどくさいというのが、ビジネスシャツ選択基準のひとつであるということがよくわかりました。 縫製処理の多様さにちょっと驚きました。たとえばサイドを割縫いして縫い代をロックミシンで処理するなんて、普段目にするシャツでは、あまり見かけない仕様です。たいてい三巻縫いされていますから。ボタンの留め糸も遊びが全く無くて、留める指が痛くなりそうなものばかり。根巻きなんてしているシャツは1枚もありません。ただ、なかにはわざと留め糸を緩く掛けることで足の長さをとって、ボタンを掛けやすくしているものもありましたよ。 意外と多かったのがコンバーチブルカフ。5000円以下のシャツにカフリンクスする人なんているのでしょうか? アメリカ系のシャツによく見られる、袖ボタンが2つ付いていて袖口のサイズが可変するモデルも多かったなー。貝ボタンを望むわけではありませんが、ときどき厚みのある練りボタンを使っているものがあったのは、いわゆるイタリアの厚ボタンをイメージしているのでしょうかね。 衿羽根の硬さ=芯地の硬さも気になったところ。前立てやカフスもダンボールでも入れてんの?ってくらい硬いんですよね。こんなにガチガチに堅い衿が好まれるのでしょうか。これ、衿にシワが寄らないのがワイシャツの条件ということなのでしょう。でもこんなに分厚い接着芯は、着ているうち洗濯するうちに糊が剥がれてバブリングを起こすのではないかしら。カラーステーが取り出せない仕様も、アイロン掛けたら衿羽根に線がつくじゃんね。あ、だから形状安定なのか。 まだ本誌発売前なので(っていうか入稿すら未だ)、内容をここでは空かせませんが、ズバ抜けてコスパの高いシャツは、5000円以下ではありませんでした。どれもどんぐりの背比べ。ただ、西友の1018円のワイシャツにはびっくりしました。同じ仕様で他社では3800円ぐらいで売っていますから価格は3分の1ってこと。仕様は所詮の5,000円以下ですが、値段だけ見たら他社よりズバ抜けてます。スケールメリットもあるのでしょうが、形状安定ポリエステル65%という素材が安いのかな。でも、この素材、確かに安っぽいけど、もうちょっとお高いシャツのなかにはもっと安っぽく見えるものもありましたから、1,018円なら十分なお値段以上な印象です。だってFRYのシャツ1枚買う金額で50枚買えるんスよ! 一枚につき2〜3回着たら捨てるつもりでも十分ハイパフォーマンスではないでしょうか。 「急な葬式で白シャツが要る」「過酷な現場で汗と汚れが酷いけど、立場上ワイシャツを着ていないといけない」「とにかく消耗品」など、高価なシャツは不要だけど、とにかくワイシャツの形をした服が要る人には、ユニクロよりスーツ専門店のワゴンセールより、西友の「防汚加工付き形態安定ワイシャツ」オススメです。   メンズファッション... 続きを読む


春はデニム色のシャツがなきゃ始まらない

青シャツの時代 各ブランド、ショップの2015春夏の展示会が真っ最中です。まだまだロードは続きますが、前半戦始まったばかりで、もう一連の傾向が見えてきました。なかでもこれは絶対外せない、どこでも必ずトレンドに挙がるのが「デニム色のシャツ」です。 シャンブレーシャツをタイドアップしてジャケットに合わせるスタイリングは、80年代にも流行りましたが、最近の記憶を辿ると5〜6年前にブルネロ・クチネリが提案していたように思います。以降、ドレスシャツ業界で幅を利かせていたオリアンが「デニムディヴィジョン」を設立して本格的にデニムやシャンブレーのシャツを展開するなど力を入れてきました。ここ数シーズン、ウォッシュデニム地やシャンブレー地のウェスタン&ドレスシャツが多くのブランドからリリースされていましたが、来シーズンはいよいよもってピークになるかもしれません。 インディゴブルーにフラワーや小紋などのプリント柄が併用されたシャツは一昨年ぐらいからでているのですが、ここ2シーズンほど色柄いっぱいのコレクションに気圧されて、トレンドの端っこに追いやられていましたが、来シーズンは色柄が控えめになりそうな気配。そのなかでもインディゴフラワー&小紋柄はしぶとく生き残っていました。 大柄チェックや花柄、ペイズリーなど、無くなってしまったわけではないですが、カラーコントラストは抑え気味になって、ちょっと落ち着いたトーンの誰でも着やすいも色柄ものが増えそうな来シーズン。デニムの濃淡だけで小紋柄を表現したシャツなどは、ちょうどこの傾向に合致するんですね。 セールで、もう1枚買おうかな、デニム色のドレスシャツ。 ... 続きを読む


シャツの袖口の形って

今日はあくまで個人的な印象の話。 シャツの袖口のカット、気にしていますか? ダブルカフスでなけれが、袖カフはスクエアもしくはラウンドのどちらかになっているはずです。 ビジネスにはどっちがいいのでしょうか? ではフォーマルに着るなら? 考えたことありますか? じつは、僕も今まで考えたことありませんでした。 パーティやレセプションに出席するようになると、あれ? 今日のシャツ袖、ラウンドのほうがよかったな、とか、スクエアのほうがよかったな、とか思うようになりまして、なんとなく見えてきました。結論、ビジネスにはスクエアカフ、パーティにはラウンドカフ。なんか、そのほうがハマるんです。 ワイシャツというシロモノは、たいていの場合スクエアカフだと思いますが、たまにフォーマルなディテールを取り入れたラウンドカフのものがあります。これはパーティなど華やかな席にも着て行けます。結婚式の披露宴とか二次会もラウンドカフのほうがエレガントに見えますね。 逆にスクエアカフはビシッと締まった感じがしますので、ビジネスマンによいのでは。重要なクライアントとの契約の席や、海外からのお客様の接待など、ラウンドカフのシャツのほうがドレス感ある袖口に見えます。 これから年末年始のパーティシーズン、絶対ラウンドカフのシャツが似合いますよ。 「パーティとか、行く機会ねーし!」という人も、偉くなるとそういう場が絶対にでてきます。偉くなる予定がない人は、別にいいけど。 ちなみに、ふつーのシングル袖口なのにボタンがついてるところに穴が開いてて、カフリンクスを取り付けられるようになってる「コンバーチブルカフ」ってやつ、あれ、貧乏くさくて嫌い。 ... 続きを読む


雑誌に書けない、1着目のオーダーは捨て石という話

まずは3着仕立ててから スーツでもシャツでも、初めてオーダーするブランドやテーラーで、満足のいくものが仕上がるとは思わないほうがいいです。なぜなら一着目では、オーダーする側もされる側も、手探り状態だからです。 人の体は千差万別。10人いれば10人、100人いれば100人、体型はばらばらで、似通っていても、お腹まわりが1㎝違っていたり、左右の腕の長さが違ったり、肩傾斜が違ったりひとりととして同じ体型はいないのです。腕の長さが同じでも、肩や二の腕の筋肉の付き方が違えば、袖の太さも変更しなければ稼働時のツレる量が変わってきます。パンツだってウェスト幅、裾丈だけでなく、太腿やふくらはぎの太さも重要ですし、足を曲げた時、座った時などの扁平する量が筋肉や脂肪の量によっても変わってきます。 そんな人たちすべてにそれぞれ、ぴったりの服を仕立てることなどほぼ無理なのです。こういった体のサイズには、統一のスペックが存在しないので、テーラーさんは自分のもっている経験則という引き出しの中から、一番近しいサイジングやバランスやテクニックを使って、着る人にフィットすると思われる一着を仕立てあげます。しかしながら実際は袖釜の大きさがもう少し太いほうがいいとか、裾丈があと5mm長いほうがいいとか、着る人にぴったりのサイジングを見つけるのは、服が仕上がってみてからでないとわからないことが多いのです。パターンオーダーでは限界があるし、フルオーダーならテーラーの腕の良し悪しがリアルに表れます。そして、本当に腕の良いテーラーは、とても希少です。 仮縫いのあるテーラーなら、少しは事前にチェックできますが、仮縫い段階のスーツやジャケットも、実際に仕上がってみると、多少ズレが生じます。このズレを正すためには最低3回のオーダーが必要なのです。服を仕立てるなら、いろいろなテーラーを回るのではなく、だまって3着仕立ててみて、一生その店と添い遂げるか、次の店を探すか判断すべきなのです。 ... 続きを読む