投稿者「zeroyonlab」のアーカイブ

zeroyonlab について

メンズファッション誌のエディター、ライターとして活動しています。雑誌の特集ページに記載される、スタッフ名に「ZEROYON」「04」「ゼロヨン」とクレジットされているのが”私”。ちなみに1人ではありません。

色柄いっぱいの服は来年も着られるか

買うべきか、買わざるべきか そろそろセールシーズンが始まります。一般の方向けのセールはもう1月ほど先になりますが、プレス関係者や上顧客が招かれるサンプルセールが、バンバン開かれています。先日も、某セールに伺わせていただいたのですが、今年トレンドとなった派手なチェック柄のジャケットがたくさん並んでいました。あの撮影で見たジャケット、この雑誌で見かけたチェック柄、個人的には気に入ってたんだけどコーディネートチェックでボツにしたものも。 サンプルセールともなると、1シーズンさまざまな媒体の撮影で酷使されていますので、ピカピカの新品とまではいきませんが半額から8割引きになっているものもあります。しかもサンプルとしてはあるけれど、商品化されなかったモデルなど、正真正銘のブランド製なのに1点しかない超レアものだったりして、ファンにはたまらなく希少なアイテムとなるんです。誰かとかぶることもないですからね。 で、サンプルセールの戦利品はというと、シンプルな白シャツとベルトとネクタイだったりします。派手な色柄のジャケットもパンツもコートも今回は買いませんでした。それというのも、来年はこの色柄トレンドがすっかり影を潜めそうだからなんです。 最近、早い雑誌では「黒」だとか「モノトーン」だとかを推しています。じつはこのトレンドが来年あたり本格化しそうなんです。個々数年、色柄豊富なコレクションが、そろそろ飽きられ始めていて、もう黒でいいじゃん、となってきたという、ファッション業界的にはありがちな「揺り戻し」現象が始まっています。 そもそもファッションは右へいったら左へいき、左へ行きつくしたら右へ戻るという現象の繰り返しです。戻り具合のスピードは異なりますが、アイビーやプレッピー、80年代や90年代も、リバイバル現象がここ最近でも見られていますから。 で、来年は行き過ぎた色柄ブームに反旗を翻して黒、という流れは決定的です。先のピッティでもミラノでも、パリでも、黒やモノトーンは少なからず見られました。ただしクラシックのトレンドは、モードよりも速度がゆっくりですので、完全に黒の支配されるには数年かかると思います。で、世の中が真っ黒になった頃、早い人はまた色柄を着だしているというイタチごっこ。 個人的に色柄華やかなアイテムは一枚も持っていません。なぜなら似合わないから。着てみたいと思うこともありますが、自分の枠外の服には手を出さないようにしています。流行を追いかけるより、「流行とか関係ないね」という人のほうがお洒落に見えるのは、長年ファッションライターをやってきて、やっとわかった結論です。 ... 続きを読む


カラパンからガラパンへ。

確か去年ぐらいまでは、カラーパンツだった気がします。 今年の秋は、どこの店も柄モノのパンツが多いような。タータンチェック、ウィンドーペーンはもとより、花柄、小紋、ペイズリーから、わけのわからん幾何学模様まで。一歩間違うと激ダサいんだけど、さらっと1点使いだと、とっても今年っぽい。このさじ加減が難しい。 色柄が目立ち過ぎないものがいいと思うんですよね。たとえば昔のブルックスブラザーズにあったような、小さめの小紋柄とか、チェック柄なんだけど地色と格子の色がトーンオントーンだとか、プリント柄なんだけどオーバーダイまたは製品染めされていて全体にダークトーンになってるとか。こういうパンツなら、紺の無地のジャケットとか、基本無地柄のトップスにあわせれば、うまくいくような気がします。いや、気がしますじゃなくって、絶対うまくいく。会社に履いていけないかもしれないけど、お洒落サラリーマンなら許せる会社もあるでしょうし、なにより休日に履いてると、「お父さん、お洒落かも」という。 買おうかどうしようか、ぎりぎりまで悩んで結局辞めたのは、「流行ってるから」という、とても天邪鬼的な理由でした。「流行りものを着ていることほど、ダサいことはない」という、商業誌のライターとしては失格な考え方が、最近自分のなかでトレンドなので。でもそろそろリブパンほしいな。 ... 続きを読む


靴も「お直し」が大切です

既製品がぴったり合うモデル体型の人は読まなくていいです スーツを買ったら着丈や袖丈を詰めたり、パンツの裾丈をお直しするのはアタリマエです。では靴はどうでしょうか? 中敷きを入れて調節するぐらいで履ける靴が見つかったら儲けものです。 良質な靴ほど、たいていの場合、試履きすると足は痛くてとてもじゃないけど履いてられません。つま先が当たる、踵がキツい、土踏まずが合わない、トップラインがくるぶしに当たる、etc.。こうした問題点をお店の人に伝えると、ハーフサイズ上をもってきてくれるはず。で、そちらを履いてみると、今度はつま先が余ってしまったり、甲に隙間が空いてしまったりと、「帯に短し、たすきに長し」なんてこともよくある話。 そもそも既成品が自分の体にぴったりなんてことは無いと思ったほうがいいのです。スーツなら、パターンオーダーで10万円も出せばなんとかなりますが、靴をイチからオーダーしたら、50万円からスタートは覚悟してください。 では、どうするかというと、じつは靴のフィットを高める方法は様々あります。隙間のある箇所を埋めるパッドは、インソールの中敷きだけでなく、ボールジョイント用、つま先用、踵用、シュータン用など、さまざまにあり、これらを組み合わせれば、大抵の靴を足に合わせることができるんです。場合によっては、靴の一部の革を伸ばしてやわらかくするなんて大胆な方法もあります。 「エドワード・グリーンのドーバーが欲しいけど、どうしてもトップラインがくるぶしに食い込むからあきらめていた」という人も、きちんとフィッティングしてくれる店なら、いろいろなパッドで調整してくれます。ただし、上質なインポート靴を扱っているセレクトショップに、シューフィッティングの上手なスタッフは残念ながら、まだ少ないのが現実です。できれば専門のスタップのいる百貨店や専門店に持ち込んで、フィッティングを相談してみましょう。 ... 続きを読む


靴は、やっぱり大事です

良い靴を履くと、スーツが2割高く見える 昨日、すぐにスーツ姿が素敵に見えるために、紺無地のネクタイを買いましょうと書きました。その効果を実感できたら、次はいよいよ靴に気を使いましょう。 服飾評論家の故・落合正勝さんは、まずなにより靴に投資すべきと書きました。否定はしませんが、その境地にたどり着くには、スーツもシャツもネクタイも、そこそこ着てみて男のスタイルがある程度わかってからでないと無理なんですね。20代で、そこそこ良い靴を履いてても、わかってくれる人は少ないですから。 30代になるとそうはいきませんよ。スーツもそこそこのブランドを要求されます。2プライスでもいいんですが、たまにはセレクトショップでも百貨店でもいいのでブランドスーツをクロゼットに入れておきたい年頃。そうなると、靴もいままでのように、商店街の安売り靴屋や靴流通センターというわけにはいきません。 で、先に言っときますと靴の予算は5万円以上は必要です。インポートなら10万円でも普通です。決して高くありません、なぜならきちんとメンテナンスすれば、スーツよりも遥かに長く履けます。下手すりゃこの先、サラリーマンを定年退職するまで履けます。 国産の良質な靴なら5万円もあれば、なんとかなります。ミヤギコウギョウやトレーディングポスト、三陽山長あたりなら、良質な靴が買えます(海外ブランド、とくに英国靴なら5万円以下はないかな。10万円もっていって、いくら残るかなー、と考えるほうがいいでしょう。クロケット&ジョーンズならいけるかな、エドワード・グリーンは難しいかな、そんなかんじです)。 「良い靴を履くと、スーツが2割増に見える」といいますが、そんなことはないですよね。ただ「足元を見られる」という言葉もあるとおり、安い靴、磨り減った靴を履いていると、どうしても人間的に格下に見られます。なめられます。そこそこ良い靴を履いていると、気分も揚がるもので、それが態度に出るんです。靴だけじゃないですけどね。 明日は、靴選びの方法について、ちょっと書いてみようと思います。 ... 続きを読む


いますぐ「スーツ姿が素敵!」と言われるために

ネクタイを変えればスーツ姿が変わります たぶん「スーツ姿がイマイチ」なのは、フィッティングのせいだと思います。誰でも、正しいフィットのスーツさえ着ていれば、痩せ型だろうが、メタボだろうが、必ず素敵に見えるスーツはあります。トレンドだとかブランドだとか、はっきり言って関係ないです。ベルベストを着たモデルさんも、コナカを着たモデルさんも、きちんとフィッティングさえ合っていれば、カッコよく見える、それがスーツというものなのですから。 でも「今すぐお洒落になりたい」人に、正しいフィッティングのスーツを今から買い直すのは正直難しいですよね。お直しの時間もかかるし、お金もそこそこかかります。なので、一番手軽に買えそうなネクタイから替えてみる。どのようなネクタイに買えるかというと、「ダークネイビーの無地ネクタイ」です。一般的なスーツ屋さんだと、品揃えが少ないかもしれません。百貨店やセレクトショップで1万円ぐらい出せば、きっと買えるはず。ストライプだとか小紋だとかの柄タイをやめるだけで、スーツ姿はガラリと変わるんです。 そもそも柄タイは、所属や家紋など、アイデンティティを表すものに始まりましたので、本来のネクタイは柄なんていらないわけです。無地のネクタイなんて葬式の黒ネクタイぐらいしかお持ちじゃないとしたら、ちょっと残念。日本人はネクタイ=柄ものと思い込んでいるフシがありますが、欧米ではネクタイに柄を使うのは、そこそこネクタイ姿がサマになってきてからのお話です。 ネイビースーツがいいのですが、日本人に多い黒のスーツでもかまいません。グレースーツでも大丈夫です。着ているスーツの色の濃さと同じぐらいのネイビーのトーンを選ぶのがいいのですが、とにかく紺無地のネクタイをしてみてください。その際、できればシャツは白無地をオススメします。これだけでもスーツ姿は、かなり見違えるはずです。むしろ、これでスーツ姿が見違えないなら、よほどスーツのサイズに問題があります。 もちろんスーツの仕立ても良質なものがいいのですが、たぶんこのブログを見ている人、そこそこのクオリティのスーツを着ている人だと思います。スーパーのオリジナルはどうかと思いますが、2プライスでも、ロードサイドでも結構です。きちんとフィットしていて(むしろちょっとタイトフィットで)、パンツの太さも18〜19㎝で、膝下から細身にテーパードさせて、ちょっとくるぶしが覗くぐらいのレングスで履けば大丈夫。 今日、会社帰りに紺無地のネクタイを買ってから帰りましょう。 amzn_assoc_ad_type... 続きを読む