汗でびっしょり濡れたシャツでもいいですか
「シャツはもともと下着なので、上着を脱いでシャツイチはマナー違反だし、中にTシャツを着るのはナンセンス」とは、よく知られた文言で、ドレスシャツは一枚で素肌に着なければならないというのが、スーツ原理主義者の鉄の掟です。丸首や半袖が透けるのはカッコ悪いのも、その理由のひとつになっていますね。
一年をとおして空気がカラッと乾燥していて、汗がすぐ乾く国ならいいのですが。春は5月ぐらいから徐々に暑くなり始めて、ヘタすりゃ10月中旬ぐらいまで湿気が多く雨も多くて蒸し暑い日本で「シャツイチ」や「シャツ・オン・Tシャツ」を否定するのは、常夏のハワイでアロハシャツの正装を否定するのと同じではないでしょうか。郷に入りては郷に従え、日本には日本独自のドレスコードがあっていいのでは。
スーツが生まれた国、たぶんイギリスあたりでは、真夏でも30度を越える日は稀で、いや最近は異常気象なので少しは増えてるかもしれませんが、スーツの原型ができあがった今から100年ぐらい前は、真夏でもリネンのシャツとウールのジャケットで過ごせるぐらいの穏やかな気候だったはずのでしょう。平日33度が普通の日本の夏は、シャツイチだってシャツの中に吸汗速乾性のTシャツを着るのだって、じつに理にかなった着方です。
お洒落はときとしてやせ我慢といわれますが、単純に欧米のルールを真似るのは「やせ我慢」でもなんでもなくて「服従」です。国や地域に合ったお洒落の仕方があるはず。なんでもかんでも欧米に倣う必要はありません。
ただし、中のTシャツが透けるのは、やはりいかがなものかと。とくにプリントTを着てるサラリーマン。ときどき見かけます。