雑誌に書けないパンツの話 その2

日本にも「パンツ専業」があります

そもそも既成品パンツは、メーカーが独自に算出したサイズスペックで型紙を起こすのですが、海外メーカーは、ひざの“くれる”位置やおしりの盛り上がり具合、太腿とスネとの周囲の差寸などを外国人の平均値から割り出しています。当然日本人のスペックと差がでてくるわけです。具体的にいうと海外のパンツは太腿とスネの差が大きいです。おしりがぽっこりでています。そのわりに腰骨が張っていないので、ヒップトップだけ高くて横骨がぴたぴたです。もちろんウェストサイズの最小〜最大値は、日本人のM〜5Lぐらいまであります。日本人向けにサイズスペックを変更しているブランドも少なくないですよ。海外でパンツを買うと、日本で直しが大変なんです。直しても直しても、なんかヘンだし。

日本人の標準体型は、おしりは扁平ですが、腰骨が張っていて、太腿もそれほど太くない上にししゃものようにふくらはぎがふくらんでいます。でもって足全体が短いうえに膝から下がまた短い。これでは海外スペックのパンツが似合うわけがありません。だから裾幅だけでなく膝から下を直したほうが、パンツのシルエットが身体にあうわけです。

エミネントは、自社ではじき出している数字が日本人ベースなので、膝位置がぴたっとくるわけです。テーパードがきつくないのに、ちゃんと細見えしますし、腰回りのフィットもいいです。もちろん以前は「おじさんスラックス」が多かったのでしょうけれど、いまは社内でデザインを担当している方が、しっかりトレンドを理解している方なので、ずいぶんよくなりました。逆に綺麗なテーパードラインを描くので、知らずにおじさんパンツを探している人が敬遠するという。いや、じっさい百貨店の平場でパンツ買うのなんて、おしゃれピープルじゃないですからね。でも意外なところに掘り出し物、あるんですよ。

雑誌では書けないですが、よくいわれる「履き心地」なんてものは、主観の問題です。腰回りのフィットが、とかストレッチが効いていて、とか、じゃあんなに履き心地の悪い腰パンがあんんで流行ったんだよ、っていう。

パンツの命はシルエットです。それは吊るしで買っても絶対最良のものは手に入りません。できるだけ理想に近いものを選んで微調整する。調整の幅が小さいほうが、理想に近づきやすいのはいうまでもありません。それにパンツはブランド名がでかでかと見える位置にないので、日本ブランドだろうがイタリアブランドだろうが、まわりにはちっともわかりませんから。


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