本当にバリューなスーツってなんだろう

スーツの形をした何か

先日、ある企画で、百貨店ではなくスーパーマーケットのスーツを見る機会をいただきました。どれも生地と縫製加工工賃をどうやって捻出しているのか、さっぱりわからない価格設定で、スーツについて語ることを生業としている自分にとって、考えさせられる機会になりました。「スーツって、これでいいんだ。いや、スーツは、これでいいやという人がいるんだ」ってことに衝撃を受けました。

タイトルにある大手3社のなかでも、大型店舗では衣料品などとあわせてビジネスウェアのコーナーがあり、シャツやネクタイはもちろん、ジャケット、スーツも何着か並んでいました。いや、正確には、ジャケットの形をした縫い合わせの布でした。問題点をいくつか挙げていきましょう。

袖を通してみるとすぐわかったのは、スーパーのスーツは、よほど細身の人に向けて作られているということ。とにかく小さいので、サイズアップは必須です。いや、正確には小さいというより着たらもう動けないぐらい各部の縫製が硬いのです。しかしサイズアップしたらしたで、当然ながらいろいろな箇所のフィットがユルみます。どう見ても不格好なので、せめて肩の合うサイズを無理やり着たら、直立不動で動けません。腕を上げれば首が抜け、腕を曲げれば肩が吊られます。パンツは履いていませんが、どんなシルエットになるんだろう。もちろん売り場に、お直しをしてくれるスタッフはいませんので、勝手に試着してレジにもっていって、キャベツや豚バラ肉といっしょにピッとやってもらって支払いを済ませるだけ。一言も口を利かずにスーツが買えます。パンツの裾上げ、どうすんだろ?

以前から「自分の体にあった型紙のスーツこそ、最良のスーツ」といってきました。このスーツに合う体の持ち主は、どんな人なのでしょうか。もし存在したとして、その人はきっとこのスーツを着てデスクワークをするとか、得意先を回るとか、ホワイトボードの前で戦略を詰めるとかできないでしょうね。だって体の動きにスーツが反抗するんですから。

それでも名誉のために言わせていただけば、イトー◯ーカドーのスーツ売り場には、首からメジャーを下げた専門のスタッフがいて、お直し対応していただけるようです。実際に袖を通したら、ロードサイド系紳士服専門店の一番お安いスーツと比べたら遜色はないように思いました。イ◯ン、SE◯YUは、ちょっと言葉にできません。せめて紳士服の監修を、専門家にやってもらうぐらいはしてほしいものです。


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