ファッション誌を読み解くキーワード その2

ブランドの分類

「流行」「トレンド」「旬」などの、よくわからないアオリ言葉について、前回ご紹介しました。以前、某誌で「ラペル」と書いたら、「うちの読者には、わかりません」と「下襟」と直されました。「下襟」のほうが、わかりやすいでしょうか?

 定期的にメンズファッション誌を読んでいる人ならともかく、ファッションに興味がありながらも雑誌を購読することのない人にとって、難解な外来語の専門用語がファッションを遠ざけてしまうのは残念です。

 ジャケットやパンツ(ズボンのことね)、シャツなど品名を表す「アイテム」、洋服の細かい部分を指す「ディテール」、組み合わせ方を言う「コーディネート」「スタイリング」などは基本用語として押さえておくとして、ちょっと難解なのは「スタイル」を指す言葉ではないでしょうか。「スタイル」って何?という人もいると思いますが、「ライフスタイル」とか「プレースタイル」など、簡単に言えば「様式」のことです。ファッションは、着る人の意識や生活・社会的な地位やカテゴリーに合わせて変わってきますので、さまざまな「スタイル」があるんです。例えば…

・ストリート系ブランド

これは主に若者が集まる街から発信されてきたスタイルのこと。70年代後半ロンドンのパンクスや80年代NYのヒップホップスタイルなど、音楽やカルチャーを背景に生まれたファッションスタイルのことです。日本で代表的なのは原宿、渋谷ですね。90年代の渋カジや「裏原」は、東京発のストリートスタイルです。

・デザイナーズブランド

ファッションブランドには主にアパレルメーカーの企画チームが生み出すものと、個人のデザイナーが生み出すブランドに大別できます。個人名を冠したものもある後者のブランドをデザイナーズといいます。個人の意識が強く反映されるので、コレクションはメッセージ性を持つものが少なくありません。メンズファッションの場合は、テーラー(仕立て職人)のブランドもありますが、こちらはクライアント(お客様)の希望を形にするのが主なので、基本的にはデザイナーズとは呼びません。

・モード系ブランド

「モード」系のブランドは、春夏と秋冬の2回、コレクション(そのシーズンの最新デザインの服をぜんぶまとめて、こう呼びます)を発表します。パリやミラノ、ロンドン、NY、東京ではキャットウォークショー(モデルが服を着て、招待された観客の前を歩くショー形式の発表会ですね)が開かれています。キャットウォークショーではなく展示会形式で、コレクションを発表するブランドもあります。デザイナーの主張やメッセージを表現するデザイン性の強い服が多く、ヘアメイクに凝るブランドもあります。

・ラグジュアリーブランド

これはもう基本的に外資系の超有名高級ブランドのことです。ルイ・ヴィトン、グッチ、エルメス、カルティエ、etc。高級ファッションブランドは、資本つながりがあったりしてグループ化しているところもあります。LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン。モエ・エ・ヘネシーのMHと、モノグラムが有名なLVは同じグループ会社です)のようにコングロマリット化しているところもあります。

・メゾン系ブランド

単に会社、ブランドを指す言葉なのですが、このあたりから定義が怪しくなってきました。雑誌ではよく「メゾン系のブランド」なんて書くのですが、なんだよメゾン系って。上記のように分類されるブランドのなかでも、有名・高級・人気の高いブランドのことを指して言うようです。ちょっと高級感ある言い回しなので、「メゾン系のブランドでは、この秋、英国テイストを指向している」なんて書くと、「高級ブランドは、イギリスっぽいスタイルを提案している」という意味になります。なんで、後述のようにしないかというと、文字数の関係だったり、雑誌やページや企画の雰囲気にあわせたりと、ライターが工夫しているからです。これで結構、言葉選びには頭をつかっているのです。


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