ファッション誌を読み解くキーワード。

メンズスタイルのカテゴライズ

メンズファッションではしばしば「クラシックな」という言葉が使われます。かの服飾評論家、落合正勝氏の名著『クラシコイタリア礼賛』の「クラシコ」はイタリア語でクラシックの意です。
「クラシック」とは「古典的」ではありません。「最高級」を意味します。

「クラシックなデザイン」、「クラシックなスーツ」とは、「古クサいデザイン」「昔っぽいスーツ」ではなく、「至高のデザイン」「最高級のスーツ」という意味になります。「CLASS-CHICK」つまりクラス感のある落ち着いた究極を指す言葉。クラシック音楽は、古クサい音楽ではなく、最高峰の音楽という意味です。

 

 

メンズファッションに於けるクラシックスタイルというと、ドレッシーなスーツまたはジャケットスタイルを指します。衿羽根のついたシャツを着て、ネクタイをして、レースアップの革靴をあわせます。ノータイで気軽なジャケパンスタイルはクラシックではありませんが、クラシックをベースに着崩したもの。スーツにタートルネックセーター、ジャケットにデニムの組み合わせは、あくまでカジュアルの領域なのでクラシックとはいいません。

「トラッド」「コンサバ」「ドレス」「フォーマル」は、すべてクラシック枠のテイストで、メンズファッションの基本といえます。クラシックの枠に属しないものは「カジュアル」と「モード」に大別されます。カジュアルの説明はまた別の機会に。

「トラッド」「コンサバ」は雑誌などではあまり使われませんね。その理由は、マイナスイメージがあるからでしょうか。クラシックも「トラッド」で「コンサバ」なところはありますが、より昔ながらのメンズスタイルを指して「古くさい」というニュアンスを含むようです。必ずしも、ではありませんが、「トラッド」は、昔の服を今の目で見た印象を指し、「コンサバ」は現代の服でも少しデザインが古クサいときに使われるような気がします。すくなくとも、自分ではそう書き分けてきたつもり。

『クラシコイタリア礼賛』のなかで、故・落合正勝さんが、あるメゾンの当主に「あなたのところの服はコンサバだが…」と話したところ、当主は顔を真っ赤にして「この服のどこがコンサバなんだ!」と怒ったというエピソードがあります。イタリア人にとって、コンサバという言葉は、あまり使わないほうがよいようです。

「ドレス」「ドレッシー」は、公の場で着るスーツやジャケットスタイルのエレガントなスタイルを指す言葉です。「エレガント」という言葉は、女性的な嫋やかさを指す言葉ですが、メンズの場合、上品でクラス感のあるスマートなスタイルを指していいます。イタリア語だと「エレガンテ」になります。イタリア人は「エレガンテ」という言葉が大好きで、「あなたの服はエレガンテですね」というと、とても喜びます。

「フォーマル」は礼装です。冠婚葬祭時の服装ですので、時間とシーンによって厳格な決まりがあります。こちらも、いつかお話しましょう。

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