イタリアとイギリスとアメリカ その3

日本人のお洒落の先生はアメリカでした

イタリア、イギリスが「手仕事にこだわる仕立て服」なら、アメリカのスーツは大量生産、大量消費に代表される工業製品としてのスーツです。ブルックス ブラザーズやラルフ ローレン、JプレスやJクルーなど、アメリカを代表するブランドのスーツは、ファクトリーメイドが基本です。

代表的なのはブルックスブラザーズでしょう。No1サックスーツと呼ばれる代表モデルは、ウエストを絞るダーツをとらないサック型(「サック」は袋の意ですが、この場合は封筒とか筒とかのほうがわかりやすかも)のボックス型(寸胴です)ジャケットが特徴的です。ジャケットは3つボタンの段返りなので、真ん中1つ掛け。袖のボタンも3つです。工場のラインで分業生産するため、細かな手作業よりも効率を重視した結果、完成したモデルで、アメリカらしい実用主義の賜物といえます。流麗な絞り込みや、ディテールの自慢はありませんが、これはこれでスタイルとして確立したアメリカンスーツです。もともとはサウスウィックの工場で作られていたのですが、現在は国外に生産拠点を移しています。しかしブルックスブラザーズは、あらためてアメリカ生産の良さを見直すため「オウンメイク」というアメリカ国内生産のラインに注力しています。

アメリカにも手仕事を大切にしているブランドもあります。有名なのはオックスフォードクロージングです。一時、ユナイテッドアローズで取り扱いがありました。NYマンハッタンの歴史あるテーラーで、イタリアからの移民が多いシカゴに工房を持ち腕のいい外国人の職人を何人も抱えていました。こちらはイギリス式の仕立て技術とイタリア式の流麗なフォルムを融合した独自のスタイルで、アメリカの富裕層に支えられていました。数年まえにラルフローレンに勤務経験のあるコンサルタントがオーナーとなり、ピッティ・ウォモに出展して精力的に事業を拡大しています。

 
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