袖の飾りボタン、何個ついていますか?
たぶん、多くの方が4個ではないでしょうか。重ね付けされていたり、本切羽になっていたり、なかにはボタンホールの色をひとつだけ変えているものもあるかもしれません。ジャケットの袖ボタンは、あくまで飾りです。袖ボタンが開く「本切羽」なんて、「カニを食べるときしか使わない」仕様だと言ったダンディな作家もいます。何個が偉くて、何個がダメで、どういう仕様が偉くて、どういう仕様がダサいなんてことはありません。自由にえらんでいいのですが、こと個数については、ちょっと傾向があるかもしれません。
3個の方もいるかもしれません。そのジャケット、ちょっとカジュアルなデザインではないですか。スポーティな雰囲気のセンターベントに、ナロウラペルの細身のスーツを軽快に着る若向けのスーツには袖ボタンが3つのものが、ときどき見られます。
2個という方は、それはもうブレザーかスポーツジャケットか、シャツジャケットでしょう。アメリカントラッドなサック型のスーツも、袖ボタンは2つというものがあります。これは大量生産の工業製品としてスーツが作られた頃、工程をちょっとだけ省いた結果です。ひとつは、ちょっとさびしいけど、3つもいらないだろう、というアメリカ的な実用主義のあらわれといえるでしょう。
1個という方は、むしろフォーマル用のディレクターズか、モードなデザイナーズでしょうか。コンボラスーツや、モーニングなどのフォーマルスーツではボタンをあえて1つにしたものがあります。袖ボタンは結局のところ、ついていればOKということで、ひとつだけ本水牛や貝ボタンなど高級素材をあしらっている場合もあります。
間をあけて2個2個で付いているという方、それは英国の軍服に由来するディテールです。おそらく英国モノではないでしょうか。
5個という方、それトム・フォードのデザインですか? 袖ボタン5個って、デザイナーズ意外、クラシックではトム・フォード以前に見たことないんですけど。