イタリアとイギリスとアメリカ その1

紳士服の故郷はイギリスです

スーツの3大スタイルというと、イギリス、イタリア、アメリカでしょうか。もちろん生産量だけでいえば中国が多いですし、ギネスブックには紳士服の青山が載っていたりして、なんだよ3大スタイルの定義は?って突っ込まれそうですが、スーツ文化のある3大国という意味です。「イギリスっぽいスーツ」「イタリアっぽいスーツ」「アメリカっぽいスーツ」と3つのスーツは、それぞれに特徴があるんです。

イギリスはスーツ発祥の国といわれています。本当かどうかはともかく、いまも貴族階級が存在するイギリスでは、貴族の生活様式とスーツが密接に結びついた文化があります。イギリス式のスーツはかつて「鎧」と呼ばれたほど、きっちりかっちり仕立てられています。硬い毛芯と何枚もの芯地を使い、肩にはパットを入れて保型します。表地も厚地で硬いイギリス特有の生地を使ったものが多いため、「ボタンをかければ袖を通さずとも自立する」とジョークが言われるほどです。しっかり「構築的」と呼ばれる肩から、「イングリッシュドレープ」と呼ばれる胸周りから腰にかけてのくびれを持ち、スラントポケット(斜めポケット)、チェンジポケット(腰ポケットの上に位置する、ひとまわり小さいポケット)が付き、切羽(袖のボタンがついている部分)は「開き見せ」(ボタンホールがあいていない)になっているのが特徴です。ロンドンのサヴィルロウ式と呼ばれる伝統的な仕立て技術を継承したスーツを総じて「イギリス風」と呼びますが、近年はパッドを省いたり芯地を軽いものにするなど、変化が見られます。

次回、イタリア式を解説しましょう。

 
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