ピッティ期間中です。 本当ならフィレンツェから現地の模様をレポートしたかったのですが、今年は国内案件の都合で渡伊できませんでした。2〜3日前から現地の友人たちからの「いつ来るの?」というメールやらFacebookメッセージやらに、今回はお休みしてます、と返信すると残念そうな返事があって胸を締め付けられます。 ピッティ・イマジネ・ウォモは今回で87回目を迎えます。ピッティ協会のHPにある歴史によると、1940年代、フィレンツェには個人の仕立て屋や小規模な工場、メーカーに素材を卸すエージェントがあり、彼らの存在がミラノやローマとともにフィレンツェをファッションの都へと押上げたのでした。70年代初頭には、アルマーニ、アルビニ、ミッソーニなど、既に世界的な名声を得ていたブランドがフィレンツェのピッティ宮殿でショーを開き成功を収めています。これを受けて72年に第1回ピッティ... 続きを読む
クラシックか、モダンか
クラシックの本当の意味 「クラシック」の和訳は「懐古趣味」とか「古くさい」ではありません。 「最高峰」という意味です。クラス+シック、つまり階層が一番高いっていうことかな。テーラードのジャケットとか、ネクタイをする着こなしとか、きちんと吊り込んだ靴とか、そういうスタイルのことです。 「ジャケットにネクタイをするスタイルが、男にとって最高峰のスタイルですよ」とう意味なんですね。 対して、モードは流行や時代感と取り入れたデザイナーの意思を反映した服です。半年、1年後には気分も変わっているので、すぐに時代遅れとなりますし、デザインが突飛な場合、翌年着てると「あ、それ去年のでしょ」とバレます。ドルチェ&ガッバーナの、グループサウンズかビジュアル系みたいなジャケット、来年着てたらちょっと恥ずかしいです。 クラシックは来年着ようが5年後着ようが、そんなにかわりありません。いや実際にはネクタイの太さとか、ジャケットのシルエットとか、ちょっとずつ変わっています。5年前より確実に着丈は短く、細身になってますけど、でも5年前の服でも、そんなに変わらないし、何よりモードより個性的でないので来年着てても、去年の服だとバレません。ガブリエレ... 続きを読む
ピッティ ウォモ 始まります
年に2回、業界人がフィレンツェに集まる日です 来週火曜からイタリアのフィレンツェで始まるピッティ・ウォモ。紳士服メーカーが世界中から一堂に会して開かれる巨大な展示会です。クラシコイタリアと呼ばれる、イタリアの重鎮・老舗ブランドが登場するため、メンズファッションの展示会としては最高峰といわれます。ほかにもミラノで開かれるホワイトとか、パリのカプセルとか、ドイツのブレッド&バターとか、LAのマジックとかあるんですけど、出展ブランドは小規模な新進ブランドが多いんです。ピッティにも新進ブランドが出展するブースがあります。 ピッティが始まる前に、じつは昨日からロンドンコレクションがはじまっています。昨年から日程が変更になり、ロンドン・コレクションの最終日がピッティに重なるようになりました。そのせいでピッティの初日、2日目とジャーナリストやバイヤーがロンドンにいて入場者数が減るという事態に。そのため急遽、ピッティの運営事務局がロンドンからフィレンツェまでのチャーター便を用意して人を運ぶことに。お金のかけかたが凄いです。 じつはそのときのフィレンツェ市長はマッテオ・レンツィ、現イタリア首相。ピッティのオープニングセレモニーに出席して、「ピッティもりあがって、いこーぜ!」というスピーチを行いました。これがTVのニュースにもなり、半年後にはイタリア首相に推挙されたという。ピッティが政治に使われるとは、イタリアでのファッション業界は経済的にも大きな力をもってるんですね。ちなみ、このひと、いつもネイビースーツにネイビー無地のタイですね。丸っこいのに、ネクタイが無地だと引き締まって見えるでしょ。レジメンばかりの日本のお父さん、ご参考に。 ほんとはピッティレポートをしたかったんですが、今年は欠席です。 ... 続きを読む
ダブルかシングルか
ベッドでもウィスキーでもなくてパンツの裾の話です ダブルかシングルか、以前パンツの裾の話をしました。今回は、スーツの打ち袷の話。バリバリ体育会の日体大よりスマートな青山学院が駅伝優勝する時代です。男の基準値がいろいろ変わってきています。 なんでスーツにダブルとシングルがあるのかというと、これどちらもテーラードスーツではありますが出自が違うんです。女王陛下の仕立屋として知られる、ハーディ・エイミスが本で書いています。ダブルのスーツは軍服由来のフロックコート、シングルスーツはモーニングコートつまり乗馬服=スポーツウェアの変形なんだそうです。だからダブルは威厳があって、シングルはスマートなのです。 軍服は当然ながら見た目に強そうに見えなきゃいけません。太幅のラペルは広い胸板を、天を突き刺すようにピンと張られたピークドラペルは、生まれてすぐに天上を指さし「天上天下唯我独尊」と説いたという釈迦の指先のように。深い打ち袷は、お腹の太いオヤジのウェストをぎゅっと巻き込むように着るのでちゃんとウェストがあるように見えるうえ、布地を余計に使うので贅沢にも見えるという。ダブルって昔は偉そうなスーツだったんですが、いまどきダブルはそうでもない。むしろ若い人が着て似合うダブルもでていますから。ほら、こんなの。 タリアトーレなど最近のダブルは着丈もお尻が半分見えたり、ラペルも細くて華奢なダブルぽいですが、それはきっと現代の男くささなんてのは、基準が違うんですよね。昔ながらの髪はボサボサ&髭ボウボウ、筋骨隆々のワイルド男子ではなく、そこそこスマートで痩せマッチョな草食風で、ちょっとモテる男の子ってことなのでしょう。 ... 続きを読む
白靴下のススメ
こんな事言うと頭おかしいと思われるかもしれませんが、今年は絶対、白靴下だと思っています。 「男の靴下は黒または紺、たまにグレイ」。長いこと、そう信じていたのに、昨年あたりからカラフルソックスが増えてきました。パンツの丈が短くなって、チラ見えする靴下に色柄が許されるようになってきたんですね。ビジネスでもボーダー柄とかジャカード柄とか、いつの間にか柄ソックスが許される風潮になってきました。僕も、結構派手柄のソックス、履いてました。ちなみに一番気に入ってるのは、蛍光グリーンのラルフローレンの靴下ですが。 昨年、エディフィスの展示会とビジュアル提案で「白靴下」を見つけてから気になっていたのですが、細身のダークスーツに白靴下とか、黒のスリムなパンツに白靴下とか、なんか気になるんです。マイケル・ジャクソンみたいですけど、ちょっとナードな感じというか、パリっぽくはく白靴下。 色柄ソックスが賑やかな今だからこそ、一歩先行こうかな、と。でもリブのスポーツソックスはいただけません。ゲージの細かい、でも透けない、シルクみたいな上品白ソックス、いまから探してます。 ... 続きを読む