ジャケットの裾の切り込みの話です ジャケットの裾、後センターまたは左右サイドに、裾がひらひらするスリットがついています。あれが「ベント」です。センターは一本なので「サイドベント」、サイドは2本なので「サイドベンツ」複数形です。 この派生には「乗馬の鞍に裾があたるから」「座って仕事をするときの貴族の礼装」とか、 ... 続きを読む
「スーツ」カテゴリーアーカイブ
スーツをカッコよく見せる5つのポイント
スーツが正しく着れているかのチェックポイント 先日「Vゾーンに覗くシャツにシワがよってると、スーツ姿が美しくない」と書きました。ほかにもスーツがカッコよく見えるポイントをいくつか箇条書きで挙げたいと思います。 1 ラペルの折り返しがふんわりしている。 下襟の返り部分がアイロンでプレスしたようにつぶれていると、安っぽく見えてしまいます。ラペルを平らにしてアイロンかスチームで折り返しを伸ばしてあげましょう。テカらないようにご注意を。クロゼットにぎちぎちにスーツを詰め込んでいると、ラペルの折り返しは潰れてしまうので、こちらもご注意を。 2 月じわがない 後首のすぐ下に月形のシワが入っていると、後ろ姿がしゃきっとせず、見え方も残念です。月じわにはフケや誇りも溜まりやすいので、スーツを購入するときに入念にチェックして、お直しでとってもらうようにしましょう。 3 サイドベンツが跳ねていない 姿見で横から見て、サイドベンツが開いているのはジャケットが体に合っていない証拠。いつの間にか開いてきたのは、メタボ化してきた証拠です。サイドベンツは裾角がハネてきたり、開きがよれて内側が覗くようになってきたら、お直しするか買い替えを。 4 パンツの膝が出ていない スーツに限りませんね。パンツは膝が出たらアウトです。直しようがないので買い替えどきです。 5 生地がへたっていない 生地には自然な膨らみがあること。そのためには、生地にブラシを掛けることが必須です。部分的にこすれてテカっているのは論外です。 ... 続きを読む
オフィスで黒スーツに異議あり? 異議なし?
日本には日本のドレスコードがあってもいいじゃん 仕事では何年も「ビジネススーツはネイビーかグレイが基本。黒はモードやフォーマル用」と書いてきました。確かに欧米では黒のスーツは礼装か、ホテルのレセプションしか着ていません。ビジネスマンは大抵ネイビースーツで、たまに黒かな?と思ってよく見ると、チャコールグレーだったりします。 いつの間にビジネススーツに黒が蔓延したのでしょう。90年代初頭まではリクルートスーツもネイビーが主流でした。しかし90年代半ば、ヘルムート・ラングやディオール・オムといった、若い人にアピールするモード系のデザイナーズブランドが登場してきたとき、「スーツは黒」という図式が定着したように思います。実際90年代半ば以降、黒スーツの後輩が、当時勤めていた出版社にぞろぞろ入社してきましたから。 その頃から、オフィスに黒スーツが広まってきたように思います。若い人はリクルートスーツにモードな黒を選び、先輩や上司もなんだか黒がカッコいいなと思うようになり、気づけば社員みーんな真っ黒け、という。黒無地は流石にお葬式なので、黒地に織り変えでストライプを入れたシャードストライプや、かすかに濃色ピンストライプの柄黒も多くあります。もはや一掃できないくらい、黒のビジネススーツは日本のビジネススタイルとして定着しました。これを無理やり方向修正することのほうが無茶な気がします。 海外で「なぜ日本のビジネスマンは黒を着るのだ?」と聞かれたことが有ります。僕は「それがジャパニーズスタンダードだから。でもビジネスブラックは無地ではなくストライプが多いんじゃない?」と答えました。最近では「日本人のビジネスマンは黒いスーツ」というのはだいぶ定着してきたようです。しかし政府関係者や、保守的な外国人には、黒スーツの日本ビジネスマンにあまりよいイメージを持っていない人もいるようです。ちなみに、なぜかドイツ人も黒のスーツを着る人が多いように思います。 もし海外出張の多いお仕事なら、紺かグレーのスーツを着ていくほうが無難かもしれません。でも国内中心のお仕事なら、黒スーツで構わないのではないでしょうか。さすがに黒のスーツしか持ってないというのは、どうかと思いますが黒、ネイビー、チャコールグレーと、ダークスーツでも3色持っていると、毎日のローテーションも、少しは気分が変わるはずです。 ... 続きを読む
ジャケットは、どこまでタイトフィットさせるのか
オーバーサイズはナシですので 80年代の分厚い肩パッドが入ったソフトスーツの幻想に支配されている40代後半のオジサンたちがだいぶ駆逐されてきて、世の中細身のスーツがカッコいいという風潮が増えてきたのは良い傾向かと。もともとスーツは身体に合わせて仕立てるものだったので、細身=身体にフィットするスーツというのが、本来のスーツの正しい姿です。 「なんか重たい」「着ていて肩が凝る」「動きが制限されて疲れる」「」なんて、スーツを着たくない理由のトップ3ですが、これ、みんな自分の身体にあったスーツを着ていないから起きるのです。きちんときちんと身体にあわせて仕立てられたスーツは、運動着とまではいきませんが、シャツ&チノパンのコーディネートぐらいの快適さはあります。腕、肩の動きだって、突っ張ったりしませんから。 とはいえ、誰もがオーダースーツばかり着ているわけでもありません。現代においては既成品も選択肢は多いので、自分の身体にあったブランドを見つけられれば、それで十分。しかし着ていて苦しいぐらいタイトでキツイのは御免被りたいのは誰も同じでしょう。ではどのぐらいのタイトフィットがいいのでしょうか。 イタリアで「ジャッカストラッパート」とは、ジャケットのボタンを締めた時、フロントによるX字のシワが入ることをいいます。このぐらいのタイト感は、許容してOKということ。肩やアームホールのサイズがあっているなら、お腹まわりはこのぐらい絞って着るフィットにお直ししてしまいましょう。上のイラストでは「×(ばつ)」になってますが、とんでもない、こっちのほうが正解です。 お腹まわりが気になるおじさんには、こんなタイトフィットはカッコ悪いのでは?と思われるかもしれませんが、ボタンを留めてぎりぎりお腹が苦しくないフィットは実現可能です。イタリア人、とくにナポリ人なんて腰位置が高いこともありますが、日本人より遥かにメタボリック腹でも、みんなカッコよくタイトなスーツを着こなしています。 ただしX字のシワが入ったうえで肩や袖がピタピタで動きが制限されてはいけません。それはフィットが身体に合っていないということ。お直しでは解消できないので、別のスーツをあたりましょう。 ... 続きを読む
ポケットの仕付糸
ポケットは飾りと心得て 既成品のスーツが陳列されているのをよく見ると、けっこういろんなところに糸がついています。まずは袖口。丈を決めてからボタンをつけるので、「フラシ」といわれる未完成の状態で糸で仮留めされています。それから肩線に沿って糸が止められていることも。これは、輸送時に肩の構築に使われている副資材の毛芯やパットがずれないように留められているものです。裾のベント(切り込み)部分もバツ印の糸が留められています。これ、春先になると、つけたまま着ている新入社員をよく見かけます。胸ポケットが糸でまつられていることがあります。これも輸送時の変形を防ぐものなので、当然外してから着ましょう。 胸ポケット同様、ジャケットの腰ポケットも糸でかがられています。場合によっては表から見えないように、袋布の口部分、内側だけをかがって留めていることがあります。この糸は外さないことをおすすめします。「えー、そしたらポケットが使えないじゃん!」という人、それでいいのです。ジャケットの腰ポケットは使わないほうがいいのです。 ジャケットの腰ポケットに、財布やケータイ、ハンカチなどを入れると、不格好にふくらんでシルエットが崩れてしまいます。どうしても小物を入れたければ、内ポケットに薄物を。ケータイなどは腰ポケット裏のシガーポケットを使いましょう。腰ポケットは、あくまで飾り。使ってはいけないのです。 ... 続きを読む