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味出しがいのあるレザー

革製品は長く使い込んで、ようやく完成品になります 革モノは味出し=経年変化がマストなアイテムで、使い込んで傷ついて汚れてテカっていくことでカッコよくなる、という。個人的には古着の「味出し」感があまり好きじゃないので、レザーも味の出たものより、いつまでも新品でピカピカのものが好きです。なので財布もホワイトハウス・コックスよりルイヴィトン派です。いま実際使ってるのはボッテガ・ヴェネタですが、あのイントレチャートのラウンドジップ、使いやすいけどボロくなってくるし、修理できないとか言われたので、どこか壊れるまで使ったら、LVに戻ります。 話が横道に逸れましたが、革モノの話。SLG(Small... 続きを読む


フツーの友二郎さんと、良い友二郎さんの違い。

まだノーザンプトンですか? 三陽山長は日本の良質な靴専門ブランドです。バーバリーを手放すことが決まったばかりの国内メガアパレル、三陽商会が手がけている1ブランドなのですが、クオリティはノーザンプトンのシューメーカーに比肩するどころか、下手すりゃ遥かにハイクオリティです。だって真面目で手先が器用な日本人の職人が作ってるんですから。刺青の屈強なおっさんがグラインダーをギャンギャン回しながらコバを削り、昼食を知らせるチャイムが鳴ると、やりかけの仕事を投げ出して食堂に駆け込むおばちゃんたちが磨き上げる海外のシューメーカーの靴に比べたら、美術品を作るかのように丁寧に作りこまれています。 売れ筋ナンバー1は、こちらの友二郎、71,280円です。グッドイヤーウェルトの内羽根ストレートチップで、ドレッシーな顔つきなので、ビジネスからフォーマルまで使えます。全然高くないですよ。このクオリティなら。 なんで右足が二足あるのかというと、左が通常ラインの友二郎、右が今春登場するハイグレード友二郎なんです。お値段も倍ぐらい違います。 光り方が違うのがわかりますでしょうか。革のグレードが違うのはもちろん、よく見ると右のほうはコバの張り出しがかなり押さえられています。ここまでアッパーをぎりぎりに吊り込むのはすごい難しいんですよ。人間が手作業でやらないと難しくて、機械まかせではできない技術です。 後ろ姿。ちょっとボケてますね。右はピッチドヒールといって、ヒール(踵)が下に向かってテーパードしています。これ既成靴ではあまり見られない仕様で、高級なオーダー靴のときに職人が気遣って仕上げてくるデザインなのです。左はヒールに縫い合わせのステッチがありますけど、右はないのがわかりますでしょうか。これも技術的には、以下省略。 革の艶が違うのと同時に、トゥのステッチが違うのわかりますでしょうか。左のほうが細かいでしょ。これが日本人職人の最高の技術力です。海外で、ここまでのクオリティを望んだら、値段は50万円以上は覚悟してもらいます。それが半額以下!って三陽山長、安い! ブランドが設立当初、関信義さんというカリスマ的な職人が三陽山長の屋台骨を支えていましたが、関さんは既に引退され後進が後を継いでいます。三陽商会傘下に入るまで、それほど時間はなかったのですが、誕生時かなり話題になりました。すげー靴が日本で誕生したぞ、と。創業時のプロデューサーである長島正樹さんは今、トレーディングポストを立ちあげられましたが、三陽山長の展示会場には毎シーズンいらっしゃっていますので、創業時の精神は継いでいるのでしょう。 友二郎、一足欲しいんですが、黒のストレートチップは気に入ってるサントーニが一足あるし。同じ型を2足持たないのがポリシーなので、どうしよっかなー、ともう何年も悩んでいます。そして、黒のストレートチップを履く機会が、異常に少ないのですよ私。 メンズファッション... 続きを読む


磨り減るほど、グリップがよくなるソール

ローテク系からハイテク系まで、大人のファッションでもスニーカーブームです。 モード方面のキャットウォークでは、けっこうみなさんスニーカーです。クラシック業界でも一年ぐらい前から早い人たちはスニーカーだったので、業界周りでは昨年の冬ぐらいにみんなこぞってスニーカーを買い漁ってました。ようやく世の中的に、おっさんもスニーカーでしょ的になってきたようで、某新宿の百貨店も来春はスニーカー全面推しです。僕は前にも書きましたが、流行りモノ着ない主義ですので、動じませんよ。ええ、今年生まれて初めてニューバランスを買った以外は(完全にブームに踊らされてます)。 こちらは原宿、銀座に店舗を構えるワールドフットウェアギャラリーさんの展示会で見つけたLOBB’Sのスニーカー。カラーコンビネーションの妙もさることながら、イタリアンなトリコロールステッチがさりげなくあしらわれていたり。シューレースが1ラインごとに色が違うのは、バイカラーの紐を一段ごと表裏にして通してるからで、こういう紐と通し方、面白いな。初めて見ました。 ドレスシューズメーカーらしく、スニーカーもきちんと木型に釣り込んで作っているそうで、ウェストがキュッとくびれています。マニアな方にはたまらなくセクシーなのでしょうが、僕は靴にはノンケなのであまりぐっときませんでした。すいません。むしろ、このスニーカー最大の特長は履きこむほど、磨り減るほどにグリップ力が増すというアウトソールにあると思うんです。 普通、靴底って削れていくとつるつるになっていくのでグリップが低くなるわけで、僕がバイクに乗るときに履くレッドウィングなんか、そろそろ2回めのソールの張り替えをしないとコケるでまじで。こちらのソールはコマンドソールの上に細かいリブを入れることで、はじめのうちはリブソール、やがてリブが削れるとラギッドソールが出てくるというシロモノ。履きこむほどにグリップ力が高まるというわけ。 ホントにグリップが上がるのかなー。リブも残ってるしさ。でも、こういう発想キライじゃないなー。発想の転換ですよね。この靴の良し悪しでなく、ファッション業界にイノベーションを見たというお話。この春、ワールどフットウェアギャラリーで3万9960円です。 ... 続きを読む


真面目靴なのにじつはカモフラ

個人的にタッセルスリッポンって苦手でした なんとなくオジサンくさくて。いや、年齢的にはおじさんなんですけど、タッセル=房飾りの意味もよくわからないし、いつどこではけばいいのかわからない靴といった感じで。スーツには無理だし、ジャケパンにもタッセルじゃなくてコインローファーでいいじゃんって。へんに真面目顔なところも、ちょっとね。 でも、これなら履いてもいいかなー。一瞬黒のスリッポンなんだけど、じつは黒のグラデーションがうっすらとカモフラ柄の上にかかっています。黒スプレーを吹きかけたようになっている控えめカモフラ。はっきりくっきりカモフラ柄のドレス靴は、“やっちゃった”感があって、なんとなく手(足?)を出しづらいのですが、これなら許せます。タッセルのオジサン感もカモフラなら許せるというか、真面目顔なのに心は不良というか。ビシッとスーツ着てるのに、脱いだら体中刺青入ってる、見たいな? ヤ◯ザかそれ? 木型もスマートでいいっすよ。ドゥカルズって、イタリア・マルケの真面目な靴メーカーなんです。先シーズンはスエードカモフラのスリッポンがあったはず。スムースレザーの控えめカモフラってとこがちょっといいなー。扱い店は未定ですが、春からアマンの直営店アスティーレハウスとかでやるのではないでしょうか。 ... 続きを読む


クルマにひかれない真っ黒スニーカー

こういうのがあるから展示会めぐりは楽しいのです 2015年春夏シーズンの展示会周りがたけなわですが、来春の気になるトレンドのなかから面白そうなネタをいくつか挙げていきたいと思います。 アディダスのスニーカー、真っ黒ですね。色いっぱいのシーズンが続いたメンズファッション界に身を置いていたので、黒って新鮮です。いま雑誌『LEON』でも黒推ししていますけど、モノトーン系のスタイルって、色柄トレンドに背を向けているみたいで、なんとなくお洒落かな、という気がしていました。もともと不良っぽいというか、ロックな色ですよね黒って。メンズクラシックに黒って新鮮ですが、雑誌『MEN’S... 続きを読む