日本にもパンツ専業があります 「膝裏がついてないから安物だ」。こういうお父さん、まだ多いんだそうです。先日某百貨店で聞いた話。そんなこといわれたらインコテックスもPT01も失格です。膝裏は、太腿から膝まで、裏地としてフラした状態で取り付けられて生地のこと。これがあると、足の滑りがよいので履きやすいというか、パンツを履いて歩くときに足に絡まず歩きやすいのだそうです。ぼくは膝裏のついてないパンツをはいても、歩きにくくないけどね。 パンツで一番重要なのはシルエットだと思っています。中でも重要なのはお尻周り。ここがぴったりフィットしてないと太腿が余り過ぎてテーパードもきれいにでないし、ポケットの縁が浮いたりして、どうにもカッコよくないんです。試着のときは腰回りと尻周り、そして尻の下太腿の付け根周りのフィットを確かめます。膝下なんてお直しで対応するからどうでもいいんです。腰回りだけはお直しするのは、かなり難しいので。 INCOTEX、PT01、ROTA、G.T.A、J.W.BRAINE、GERMANOなどなど、イタリアパンツの専業ブランドは、次から次へと発掘されて日本にはいってきています。でも日本にものパンツ専業メーカーがあるんです。最大手はエミネント社といいまして、大阪が本社のパンツメーカーです。海外工場もありますが、国内工場もあります。 エミネントは主に様々なブランドのOEMを手がけているのですが、百貨店の平場には自社ブランド「サクソン」や「カルツォーニ」のパンツを並べています。これがですね、けっこういいんです。車内デザイナーが、じつにパンツのことをよく研究しているし、日本の細かな技術を巧みに使っているので、仕上がりがじつに見事なんです。 そのあたりのお話を明日。 ... 続きを読む
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ウォームビズ対策の5箇条
つい先週まで、半袖のTシャツで出歩いてた気が。 もう朝晩寒くて、エアコンを入れようか悩み中です。外出にもジャケットを羽織ることが多くなってきました。そういえば街行くビジネスマンもいつの間にかスーツの上着を着て、ネクタイをしている人が増えていました。 ちょっと気が早いですが、そろそろウォームビズ対策を考えてもよい季節です。雑誌ではダウン特集なんてやってますが、人気ブランド&モデルはもうそろそろ売り切れてますから、決して冬対策が遅いわけではないんですね。ファッションピープルが動き出しているだけで、一般の方はゆっくり揃えていけばいんですから。 で、ウォームビズなんですが、考えておきたい対策は、以下の5つです。 1 ニットを重ね着 薄手のハイゲージニットの重ね着はウォームビズ当初から推奨されていました。カーディガンやVネックニット&ベストなど、Vゾーンのあるものが一般的でしたが、今年はクルーネックがおすすめです。「首がつまって窮屈では?」なんて思われるかもしれませんが、パツパツのクルーだと確かにそうですね。でも意外とこれが新鮮なんです。タンスの中で、ちょっと襟元がユルんできたぐらいのニットが最適です。 2 あったか肌着 まぁ、ようするにラクダのモモヒキの上バージョン。いろんなメーカーから機能性アンダーウェアが百花繚乱で、これがけっこうバカにできないです。長袖のものもありますが、さすがに袖がゴワつくので、半袖もしくはスリーブレスでも12月アタマぐらいまで十分かと。肌着だけじゃ寒くてしかたないという季節には、シャツイチにコートを着たほうがあったかいですから、晩秋ぐらいまでの対策と心得ましょう。 3 ロングホーズ 足が冷えるなんてOLみたいですが、男も足元って結構冷えますよね。スーツのパンツって裾がひらひらですから。で、ここで膝までのロングホーズをはくと、かなり温かいです。日本ではあまり人気のないロングホーズですが、膝下があたたかいと薄手のコートで十分です。逆に素足だとダウンを着ても寒いものです。ただし、以前も書きましたが最近の細身テーパードパンツにロングホーズをはくと、摩擦でパンツが絡みます。そこんとこ納得のうえではくか、あらためてレギュラーストレートのパンツでいくかは貴方次第です。 4 大判ストール マフラーですよね。でもオフィスでマフラーって、どうでしょう。なんていうと、オフィスでストールはアリなのか、ってことになりますが。女性の肩掛けが許されるなら、男性のストール巻きも許されるのでは。最近はブランケットほどの英国羊毛ストールもありますし、薄手のカシミヤストールをボリューミーに巻いても温かいですよ。ジャケットを脱いでカーディガンの上からアフガンストールみたいなスタイルも、いいと思うんですけど。お堅い職場でなければ、ね。 5 タートルネックニット ネクタイ必着の職場でなければ、タートルニット×ジャケットの組み合わせがいいと思うんです。昔はデザイナーとかニューアカデミズムの象徴みたいなタートルニットでしたけど、最近はミドル〜ローゲージのタートルニットも増えていて、ハイゲージタートルより気軽な感じです。タートルニットのことをイタリア語で「ドルチェビータ(甘い生活)」と呼びますが、これ、かのマルチェロ・マストロヤンニの映画『ラ・ドルチェビータ(邦題『甘い生活』)』からきてるんだとか。で、マストロヤンニが劇中でタートルニットを着てるとかっていうのは、なんど映画をみてもわからないんですが、何分何秒にでてるのか誰か教えてください! ... 続きを読む
フランネルとサキソニー
もうぐちゃぐちゃですわ ジーパン生地のデニム、薄いものはダンガリーとよばれます。どちらも「綾織りという織り方で、糸の細さが違う」もの。シャンブレーは平織りという織り方なのでインディゴの色が似ていますが、服飾的には別もの扱いとされています。 フランネルとサキソニー、どちらも毛羽感のある冬素材です。フランネルのほうが厚地で、サキソニーのほうが薄手なので、デニムとダンガリーのように「同じ織りだけど糸の太さが違うもの」と思われている方もいますが、本来は糸そのものが違うものでした。ネルシャツの「ネル」もフランネルの意味です。あの毛羽感あるチェックシャツが、グレーフラノのスーツを同じとはとても思えませんが。 フランネルは紡毛糸(ぼうもうし)といって、毛羽毛羽した糸を使って織られた生地です。対してサキソニーは梳毛糸(そもうし)といって、つるつるの糸を使って織ってから表面を毛羽立たせたものです。見た目は似ていますが、紡毛糸と梳毛糸がまったく作りが違うので、これも服飾的には別もの扱いされています。 しかし最近は海外のブランドでも、フランネルとサキソニーを厳密にわけなくなってきました。某イタリアブランドでは、ぜーんぶ「フランネル」だといってます。いやいや、これは梳毛糸を毛羽だたせたサキソニーでしょ、と言っても、なんでそんなところにこだわるの?という顔をされます。 生地メーカーにとって、フランネルとサキソニーは別物ですが、メーカーにとってはどうでもいいことのようです。バイヤーも厳密に違いを言える人も少なくなってきましたし、一見しただけではちょっと見分けがつかないものも多いですから、メディアもあえて深く追求せずに「フランネル」としてしまうことが多いようです。じっさいプレスに聞いても「フランネルです」で終わってしまい、企画や生地仕入れの担当者に確認してくれないし、フランネルとサキソニーを分ける必要ないんじゃない?というスタンスのようです。 実際のところ「紡毛のフランネル」「梳毛のサキソニー」だったはずが、いつのまにか「梳毛のフランネル」「紡毛のサキソニー」も存在しているらしく、もうぐちゃぐちゃなのが現状とか。これでは見分けもつかなきゃ、分ける意味もなし。 ほんとのところをイギリスのフランネルの老舗、フォックスブラザーズにぜひとも聞いてみたいです。 メンズファッション... 続きを読む
ポケットが歪んだら仕立てどき
スーツの寿命 スーツの買い替えどきって、どんなときでしょうか。 ・肘や膝などが擦れてテカってきたら。 ・芯地がユルくなって、肩や胸が波打つようになったら。 ・ラペルのロールが裏からプレスしてもヘタってしまうようになった。 ・コーヒーこぼした。 ・パスターのソースがべったりついた。 ・タバコで焦がした。 若いうちに考えられるのは、ざっとこんな感じでしょうか。自分がおじさんになって、気づいたのは「おじさんは体型が変わりやすい」ということ。仕事のストレス、接待、飲み会が続くとあっというまに太ります。どれぐらい太るかというと、2〜3kgの増加はあっという間で、逆にストレスや忙しすぎてご飯が食べられないと2kg... 続きを読む
雑誌に書けないポケットチーフの話
あったほうがいいとは思うんですけどね 「ネクタイしなくてもチーフはしましょう!」と、啓蒙活動を続けてきたつもりです。ここ10年ぐらいでポケットチーフをしているビジネスマンは、昭和時代よりあきらかに増えています。ほっ。 が、ここへきて「いまチーフする気分じゃないんですよね〜」という、ショップスタッフ、プレス、バイヤー諸氏に出会うこと多々。あれあれ? じつはイタリア人のウェルドレッサーを取材してきて、ときどきチーフをしていない人を見かけました。彼らに「なぜ、チーフをしないんですか?」と尋ねると、「チーフは気分じゃない」「そんなに着飾る必要がない」「チーフがないほうが、カジュアルだろう」と。あれあれ? そういえば、イタリアでもポケットチーフをしている人は、「ハイ、チーフをしている俺ってお洒落」と、見栄っぱりさんが多いような。もちろん、それはそれでお洒落の見せ方なんですが、さりげない、というか奥ゆかしいお洒落を楽しむ人は、ノーチーフもしくは、白チーフのTVフォールド程度、という方が多いような気がします。某ブランドの有名なウェルドレッサーには「普段チーフはしない!」と言い切っている方もいらっしゃいますし、チーフがなくてもお洒落に着ている人はたくさんいるんです。 ポケットチーフって、金額的にも安いので、お店としてはもう一歩売上を伸ばすためにも買って欲しいアイテムだと思います。クールビズでノータイが推奨されたときに、最初に噛み付いたのはネクタイメーカーよりセレクトショップだったですから。 昨日ちょっと書いたんですが、お洒落な人って、流行りモノとか、雑誌で推奨している服とか着てないんですよね。流行りものじゃなく「俺は俺流」を貫いている人のほうが、断然カッコいい。いまならさしずめ、色柄いっぱいで着ている人よりモノトーンの人のほうがカッコよく見えます。あ、でも、今から黒がトレンドだから、色柄のほうがいいのかな? ちなみに僕は、ネクタイしなくてもチーフはします。理由は、「無いと落ち着かないから」。 お洒落って難しいなと、つくづく思います。 ... 続きを読む