もうぐちゃぐちゃですわ
ジーパン生地のデニム、薄いものはダンガリーとよばれます。どちらも「綾織りという織り方で、糸の細さが違う」もの。シャンブレーは平織りという織り方なのでインディゴの色が似ていますが、服飾的には別もの扱いとされています。
フランネルとサキソニー、どちらも毛羽感のある冬素材です。フランネルのほうが厚地で、サキソニーのほうが薄手なので、デニムとダンガリーのように「同じ織りだけど糸の太さが違うもの」と思われている方もいますが、本来は糸そのものが違うものでした。ネルシャツの「ネル」もフランネルの意味です。あの毛羽感あるチェックシャツが、グレーフラノのスーツを同じとはとても思えませんが。
フランネルは紡毛糸(ぼうもうし)といって、毛羽毛羽した糸を使って織られた生地です。対してサキソニーは梳毛糸(そもうし)といって、つるつるの糸を使って織ってから表面を毛羽立たせたものです。見た目は似ていますが、紡毛糸と梳毛糸がまったく作りが違うので、これも服飾的には別もの扱いされています。
しかし最近は海外のブランドでも、フランネルとサキソニーを厳密にわけなくなってきました。某イタリアブランドでは、ぜーんぶ「フランネル」だといってます。いやいや、これは梳毛糸を毛羽だたせたサキソニーでしょ、と言っても、なんでそんなところにこだわるの?という顔をされます。
生地メーカーにとって、フランネルとサキソニーは別物ですが、メーカーにとってはどうでもいいことのようです。バイヤーも厳密に違いを言える人も少なくなってきましたし、一見しただけではちょっと見分けがつかないものも多いですから、メディアもあえて深く追求せずに「フランネル」としてしまうことが多いようです。じっさいプレスに聞いても「フランネルです」で終わってしまい、企画や生地仕入れの担当者に確認してくれないし、フランネルとサキソニーを分ける必要ないんじゃない?というスタンスのようです。
実際のところ「紡毛のフランネル」「梳毛のサキソニー」だったはずが、いつのまにか「梳毛のフランネル」「紡毛のサキソニー」も存在しているらしく、もうぐちゃぐちゃなのが現状とか。これでは見分けもつかなきゃ、分ける意味もなし。
ほんとのところをイギリスのフランネルの老舗、フォックスブラザーズにぜひとも聞いてみたいです。