天は二物を与えませんでした。
ファッション界に影響を与えるWEBサイトのラインキングが最近発表されました。1位は「THE SARTORIALIST」。アメリカ人ブロガーのスコット・シューマンさんがやってる写真ブログです。
モデルは素人のおじさんがメインでしたが、最近は若い女性も増えています。海外の街角で、お洒落に服を着こなした、味のあるいい顔のおじさんたちを、背景をボカして撮影した写真が人気で、これが引き金になってコンパクトデジの背景ボカし機能が開発されたんじゃないかと思うぐらい。メンズ雑誌のスナップブームの火付け役になったのはたしかで、お洒落度はハンパないです。ブログをきっかけに、スコットさんはカメラマンとしてビッグメゾンのキャンペーンビジュアルを撮影したり、写真集をだしたりして、アメリカンドリームをものにしました。
以前スナップの話でも書きましたが、スナップはブランドミックス、古着ミックスなど、雑誌ではできないスタイリングができるうえ、大げさかもしれませんがモデルの生き様が映しだされるのでとても魅力的です。もし同じような服を着たとしても、別の人では絶対にお洒落に見えないでしょう。なぜなら、お洒落にはパーソナリティが重要だからです。スコットさんの写真は、そのあたりがじつによく滲み出ている人を選んで撮影されています。ときには小物や小技の使い方なんかもフィーチャーされていて、真似はできないけどとても参考になります。
当のスコット・シューマンとは、何度か会ったことがあります。もともとニューヨークでオンワード樫山の仕事をしていたことがあるとのことで、ブログを始めるまではフツーのサラリーマンだったそう。写真が趣味だったということも、とくにないそうです。お洒落なオヤジたちを取り上げたセンスはさすがですが、スコットさん自身がお洒落さんかというと、ぜんぜんそうではありません。いつも短パンにポロシャツだし。背は162〜3㎝ですかね、全身写真が少ないのはセルフプロデュースかと。180㎝ぐらいあったら、たぶん世界を穫れたと思います。それでもガタイがいいのは、いかにもアメリカ人です。顔はちょっと2枚目ですが、体型も含めて、こっそりぼくはスッパマン(鳥山明先生の名作『Dr.スランプ』にでてくるキャラ)と呼んでいます。陽気なアメリカ人の典型みたいな人で、ファッションブロガーとしてはすごいと思うけど。。。友達にはなれないタイプかな。
ただ、彼のすごいところは、「リアルなお洒落は自分自身の中にある」ということを世のなかに知らしめたことです。雑誌というメディアのなかで、特集ページを編集するにあたってテーラードとストリートは絶対に混在できません。ブリオーニのジャケットに、グッチのシャツをあわせたり、リーバイスのデニムをはいたりはできないのです。さらに言うと、モデルのような美しい顔と均整のとれた体型じゃなくても服装がキャラクターに合っていれば、お洒落になれるということを教えてくれたこと。ファッション誌がもっと、ブサイク顔で体型もデブだったり短足だったり、背が低かったりする素人をお洒落にしてくれたら、リアリティもあって人気も出ると思うんですけど、そういう人に本当に似合う服を見つけるのは至難の技なんです。一冊作るのにものすごい時間もかかることでしょう。
THE SARTORIALISTに登場する人たちは、みな何年もかけて自分ににあう服を見つけてきた人たちです。だからお洒落だし、一朝一夕に真似できないのです。でも、逆にいえば、誰でにもお洒落になれるチャンスがあることを教えてくれました。
彼のこと、もっといっぱい書いたんですが、悪口みたいになっちゃっうとこもあったので消しちゃいました。ブログは超おしゃれなので、見たこと無い人はぜひ。