ブークレーの寿命やいかに
THE GIGI(これ今季からスタートするブランドなんで、カタカナ表記がまだわかんないんです。ザ・ジジなのか、ザ ジジなのか、THEジジなのか)もそうですし、ラルディーニ、タリアトーレ、エルネストなど、流行りのブランドがこぞって手を出しているのが「もしゃもしゃ素材」です。どういうことかというとモヘアニットのような毛がもしゃもしゃ浮いた素材が、今季のメンズトレンドに大量に出回っているんです。ブークレ素材とも呼ばれています。大阪のおばちゃんのコートみたいな生地ですよね。個人的にはちょっと欲しいんですが自制中です。
なぜかというと、あまりに時代の徒花になりそうで。
大柄チェック、タータンチェックなど、今季が始まる前からトレンドのパターンジャケットが春からずっと流行アイテムだったのですが、秋冬素材を「もしゃもしゃ」に変えてきました。これはたしかに目新しい。それもそのはず、もともとウィメンズ素材でよく使われるものだったんです。そういえば昔の彼女が着てたシビラのコートに、こんなのありましたわ。イタリアのフェルラ社のものがよく使われているのですが、このフェルラ社、レディス生地の名門でした。
面白いと思うんですが、来年着ていて大丈夫かな?という気が。来年も「ブークレー」を紹介しているのだろうか、とちょっと不安なんです。なぜならファッショントレンドが、シンプル傾向に揺り戻してきてるからです。スーツ回帰とか、モノトーン回帰とか、無地とか、早い人はもうそちらに目がいっています。
色柄、おもしろ素材が行き着くとこまで来ているような気がします。もしゃもしゃブークレーもそうですが、カセンティーノみたいな毛玉素材って、ヴィンテージトレンドの一端のように語られてますが、ファッションって右翼化したら左翼傾向、左翼化したら右翼傾向というメトロノームみたいなもので、年々この傾向が早まっているような気がします。ブークレー、カセンティーノ、ヴィンテージって、もう右端の一番端っこのような気がするんです。
昔、先輩が編集会議で「今はやってないモノ特集」を提案したことがありました。曰く、今はやっていない、チノパンとかロールネックとかホワイトジーンズとかを取り上げようというもの。「今はやってないってことは、次流行るかもしれない。だからお洒落に目ざとい人に刺さるはず」。お洒落も行き過ぎると、ただの流行遅れになるんですが、最先端過ぎても、すぐ時代遅れになる危険性があります。この加減、難しいです。とにかくブークレー、来年も継続しているなら、僕は買います。