ラグジュアリーメゾンの進化過程が目の当たり 元馬具商だったグッチやエルメス、革製品店だったボッテガ・ヴェネタやプラダしかり。靴屋のフェラガモ、リボン屋のバリーなど、その出自はさまざまでも、いまやトータルコレクションを揃えるラグジュアリーメゾンへと成長を遂げたブランドは少なくありません。というか所謂高級メゾンって、最初からコレクションブランドだったわけじゃないところがいくつもありますよね。 1890年代、サルトであったピエルイジ・ボリオリが100年後、自分のブランドがもはや縁もゆかりもない他人の手に渡り、高級ブランドとして歩み出すなんて想像してたでしょうか。 21世紀に入ってすぐ、それまでのクラシコイタリアブームに少々陰りが見え始めた頃でした。ジーンズをはじめカジュアルウェアの生産工程では、すっかり定番的に使われていた「洗い加工」を、クラシック服に用いるという大胆なことをやってのけたメーカーがいました。 それこそが、ボリオリです。コットンジャケットを洗った「COAT」、カシミヤジャケットを洗った「K-JACKET」をはじめ、3パッチポケット式の「DOVER」などクラシックの枠を逸脱せずに、古い様式美から脱却したコレクションは瞬く間に世界中のクラシック服バイヤーに支持されました。 大胆な意匠を用いるのではなく、型紙を工夫することで若々しく見えるスタイルを作りだし、洗い加工を施すことで素材の風合いを変え、ポケットをパッチ式にするだけで若々しく見える、おじさんでも着られるデザインジャケットとして爆発的に売れたのはつい先日のことのようです。日本でのディストリビューターも新ブランドを発見する目利きに長けたアマンから、商社としての体力あるコロネットに変わりました。 経営権を委譲してラグジュアリーメゾン化したボリオリ その後の快進撃はいうまでもありません。昨年はミラノに続いて丸の内にもショップができましたし。今年の1月にはミラノコレクションにも参加しています。現在のCEOはジョバンニ・マヌッチさんといいまして、この方元イザイアのCEOですが、その前はコンサルタント。若くしてアメリカで学び、マーシー大学、ケロッグ大学、スタンフォード大学で経営に関する様々な学問と資格を取得している超エリートです。 彼の前にボリオリのCEOに迎え入れられたロベルト・ファルキ氏も、プラダ、マルニ、ディオールと渡り歩いてきたラグジュアリーブランドを熟知する人物でした。彼が経営権を握るにようになり、ピッティを撤退。ミラノにプレゼンテーションの場を移していました。 ジョバンニさんの就任とともに、新めてクリエイティブ・ディレクター制を導入しました。ジョルジオ・アルマーニ、グッチで研鑽を積んだダビデ・マレッロ。世界戦略を推し進めるには、ビッグメゾンを知る人物が不可欠なわけですから、ボリオリの成長戦略としては当然の人事であったのでしょう。 歴史あるファクトリブランドが、ここ10年で一気に世界的なメゾンへと躍進する様子を、リアルタイムで見ることができたのはなんとも興味深い出来事でした。 創業者の血を引くボリオリ一族は、2009年までボリオリ社を経営していましたが、この年、経営権を持っていたマリオ・ボリオリ(創業者ピエルイジの孫)は会長職に退き、外部から有能なCEOを招きます。これがロベルト・ファルキ氏です。マリオの息子のビエルイジは同社のデザイナーとして先の名品の数々を生み出した張本人です。経営はロベルト氏に任せていたのですが、2014年にピエルイジが電撃退社。その後THE... 続きを読む
「タリアトーレのネイビージャケット」
ゼロヨンテレビ タリアトーレのネイビージャケットをご紹介しています。 メンズファッション ブログランキングへ にほんブログ村 ... 続きを読む
7月11日はジョルジオ・アルマーニの誕生日でした
マエストロは82歳になりました。 HBD。7/11にあげようと思って書いてたんですが、写真のデータがどういうわけかうまく貼れなくて。。。月内なので、まだいっかな、と。 カール・ラガーフェルドは1歳年上ですが。昨年、ミラノ市内のポルタジェノバにあるアルマーニ本社前に「ARMANI... 続きを読む
買える!エドワード・グリーン
イギリス最高峰の既成靴ブランドが銀座に直営店を開きました。 先日、三陽山長の話を書いて「また靴の話かよ」と思われるかもしれませんが。 アメリカのオールデンや、フランスのJ.M.ウェストンやパラブーツ、ハンガリーのヴァーシュなど、名靴と呼ばれる高級既成靴ブランドは世界中にありますが、英国靴こそ至高というのがメンズファッション界の定説となっています。 ジョン・ロブをはじめクロケット&ジョーンズやチャーチ、チーニー、トリッカーズなど、一度は耳にしたことのある英国靴は今もロンドン郊外の町、ノーザンプトンに本拠を構えています。エドワード・グリーンもそのひとつ。ちなみにノーザンプトン、電車で行ったことありますが、駅を出るとでっかいロータリーになっていて、真ん中は駐車場。カフェもレストランも商店もなんにもなくて面食らいました。 世界最高峰の既成靴ブランドとして、必ず名が上がるエドワード・グリーンは、日本では有名百貨店や大手のセレクトショップでも買うことができますが、今年の春、日本初の直営店をオープンしました。長いこと日本展開してますが、直営のオンリーショップは初めてなんです。場所は数寄屋橋交差点に面した東急プラザ銀座の1階。表通りに面しているのですぐわかると思います。 <EDWARD... 続きを読む
友二郎さんが四角くなりました
三陽山長は日本が誇る、本格靴のブランドでした。 「でした」と過去形なのは、昨年スーツ、コート、シャツ、革小物までトータルブランドに成長したからです。靴ブランドにはじまって、トータルメゾンに成長したというところはフェラガモやベルルッティを彷彿とさせます。 今秋でトータル1周年なわけで、靴からはじまる男のスタイルを硬派に築きあげるコレクションは、じつにクラシックでじつに男クサく、こだわりがハンパない内容です。今季は英国トレンドを掲げて、どうですかこのイギリスっぷり! EU離脱してる場合じゃないっすよ。このホームスパンツイードと革のくるみボタンを御覧ください。 これだけで白飯三杯いけませんか? 靴同様、洋服は「全商品手抜きなし」に作り込まれていまして、一点ずつ紹介していったらシーズンコレクションのカタログが電話帳ぐらいの厚さになってしまと思います。これをきちんと雑誌で紹介するためにはかなりのスペースを要すでしょうし、キリヌキ写真1点に100文字程度のキャプションでこだわりポイントを全部紹介するのは絶対無理です。その代わりお店で商品を見つつ、スタッフと話し込んだら服好き(というより服オタク)の人なら絶対に楽しめます。 今秋は一昨年登場して話題となった「極み」シリーズが、さらに進化するそうです。それがこちら。 両方とも「極み友二郎」さんですが、左下が初代で中右の両足が今秋の二代目極み友二郎さんです。どこが変わったかわかりますでしょうか? そうですつま先が四角くなってます。スクエアトゥになったんですね。 これまでの友二郎さんは、流行に左右されないクラシックな小丸のラウンドトゥで、木型はR2010というモデルでした。これがスクエアトゥのR3010という木型になったことで、ちょっといかつい顔つきになりました。さらにウェスト(※靴のウェストといえば、土踏まずのことです)をキュッと絞り込んだ「ベヴェルドウェスト」、そしてアウトソールは半分だけ黒く塗った「半カラス」仕上げとなりました。 以前書いたとおり「極み」シリーズの作り込みは、はっきり言って既成靴にはオーバースペックともいえる内容でした。ここまでくるともう、見た目はビスポークシューズのレベルですよ、これ。ロンドンやパリのオーダー靴店で、注文主が金に糸目をつけずに「最高級のストレートチップをお願いします」といって、ようやくでてくるレベルですよ。マヂで。 ちなみにこちらはいまや人気絶好調のダブルモンク源四郎さん。内羽根のレースアップよりもはるかに使えるシーンやスタイルが豊富とあって、各メーカーもダブルモンク推しですが、三陽山長の源四郎さんも候補リストに入れてあげましょう。 ジョン・ロブのダブルモンクの定番ウィリアムと比べてなんて、雑誌では書けませんが、ルックスだけならひけをとりません。ちなみに現行ウィリアムはダブルソールなのかな。ソールがくびれたベヴェルドウェストや半カラス仕上げだったりすることを考慮すると、ドレス度では三陽山長に軍配があがります。たしかこちらはバックルの金具もこだわりモノだったはず。ロブのステイタス性は捨てがたいですが、税抜き17万。こっちのほうがちょっとだけお買い得です。 メンズファッション... 続きを読む