スーツよりシャツをオーダーするほうがいいと思います。
スーツは既成品で多少直せば、よほど特異体型じゃない限り、そこそこカッコよく着こなせます。ですが既成品のシャツが体にジャストサイズという人はとても少ないと思います。
一度オーダーしてみるとわかりますが、市販のシャツはかなり身頃に余裕があります。当然胸周りがたるんでいますので、スーツを着た時にVゾーンのシャツがたるむんですね。当たり前のことと思っているかもしれませんが、Vゾーンのシャツがピシっとしていると、スーツがぐっとカッコよく見えるんです。ファッション撮影でも、Vゾーンがたるまないように気をつけています。袖丈も難しいですね。インポートブランドのシャツは、たいてい袖が長いですね。国産はそこそこジャスト丈ですが、カフがゆるいことがよくあります。
専門店でも百貨店でも、シャツのオーダーはせいぜい1万5000円もだせば、かなりいいものが仕上がってきます。ただし注意するところがありますので、以下ご参考に。
1 安い生地を選ぶ。
会社に行くためのシャツでしたら、オーダー専用シャツ生地の用意のなかでもスタンダードなものを選びましょう。なぜなら使用頻度の高いシャツは黒ずみや黄ばみが避けられないうえに、洗濯回数も多くなり、結局寿命が短いからです。シャツは消耗品で、一生ものではありません。高級シャツ生地は「ここ一番」用にとっておきましょう。
2 袖丈は親指の付け根。
手首を越えて、親指の付け根(手首のすぐ上。指先から数えて3つめの関節)までを設定しましょう。ちょっと長く思えるかもしれませんが、洗濯などでシャツ生地が縮むことを考慮します。また、採寸のあまいシャツ屋ですと、二の腕の太さを考慮せずに袖を仕立ててきます。そうすると腕っ節の太い人は、袖がたくしあがって袖丈が短くなってしまいますので。
3 腕を上げたとき袖が引っ張られるシャツ屋には二度と行かない。
袖釜があっていないと、腕を前に上げた時、カフがひっぱられて、手首が袖から抜けてしまいます。クレームとして修正してもらうこともできるので、お店に一言相談を。その際、袖丈を1.5㎝〜2.0㎝ぐらい長めに設定すると直せます。ただ、そういうシャツは、はっきりいって失敗です。最新の技術がないこともありますが、型紙が自分の体型にあっていないと潔く諦めましょう。よほど気に入った店でなければ、二回目はないかな。
4 ポケットはつけない。
ドレスシャツに胸ポケットは不要といわれます。実際は、タバコをいれたりスマホをいれたり、IDカードをいれたり、けっこう便利なので使っている人が多いでしょう。でもシャツのシルエットをくずす要因になりますので、せっかくオーダーしてカッコよく仕立てるシャツが台無しです。ポケットはつけず、刺繍のイニシャルをポケット位置より少し下に、シャツ地と同色で目立たないように入れましょう。
5 1回目はお試しと割り切る。
結局のところ、一見で自分の体にピッタリのシャツが出来上がることはありません。一度目は型紙をチェックするつもりで、一番安い生地でオプションもつけずにお試ししてみましょう。出来上がったシャツをベースに、胸周りを1.5㎝つめて、お腹を2㎝だす、とか細かい修正をして、シャツ屋さんとコラボレートしながら自分の体型にぴったりのシャツを作っていくのが正解なんです。