雑誌に書けないタイアップの話

ファッション誌というビジネスモデル

タイアップについて、ちょっと書いてみたいと思います。今日はファッションの話じゃないので、面白くないかも。

雑誌は最新のファッション情報を伝えるメディアであると同時に販促ツールです。メーカー、ブランド、ショップの商品が売れるようにお手伝いをするんです。特集ページで紹介した商品が、どこで買えるか「クレジット」という問い合わせ先を掲載して読者を誘導するのはもちろん、広告を掲載して読者にビジュアルイメージを伝えるのも販促の一助です。

雑誌の広告には純広告とタイアップ広告があります。純広告はメーカーやブランドが独自に制作した広告で、表紙をめくった裏や背表紙に入るような、1ページとか見開きの全面写真にブランド名が乗っただけのイメージビジュアルが一般的です。これに対してタイアップ広告は、ビジュアルと文章、カタログなどが編集ページのように構成されています。

純広告はビジュアル広告なので、ブランドの知名度やイメージを伝えるものです。街角のビジュアル看板も同様ですね。タイアップ広告は商品紹介の場合が多く、「◯◯◯◯の××××」というふうに絞り込んだブランドアイテムを特集風にとりあげます。あるいは数ページを割いて、ブランドやショップを取り上げる企画もタイアップの場合が多いですねタイアップ広告と編集ページの違いは、そのページでとりあげているメイン商品のクレジットがどこに入っているかで見分けます。たいていの場合、キャプション(商品の説明文)内に「¥00,000/ブランド名(問い合わせ先名)」と入っているのは編集ページ、ページの欄外に「商品の問い合わせ先は△△△△△△△△△☎XX-XXXX-XXXX」となっているのはタイアップページです。

メンズファッション誌の場合、タイアップ広告で紹介されているブランド、アイテムが、特集ページにも登場する人気のブランドであることが多いのですが、ストリート系ファッション誌では、聞いたことのないマイナーなブランドアイテムが登場していることが多いんです。これメンズファッション誌とストリート誌の大きな違いです。メンズ誌では巻頭の特集ページでもお馴染みのラグジュアリーブランドや有名セレクトショップがタイアップを打ちますが、ストリート誌では特集ページで見たこともない聞いたこともないブランドの商品がタイアップ広告として掲載されていることが多いような気がします。

長年ファッション誌に携わってきて思うのは、マイナーなブランドのタイアップ広告を、いかに素敵に作れるかが編集者の力量であり、ひいては雑誌の力だということ。聞いたことのないブランドアイテムを、いかに読者に「欲しい!」と思わせるか、その商品の「良さ」を伝えるページが作れる編集者は、有能なセールスマンに等しいのです。

後日、クライアントから「あの商品、とてもよく売れました」という報告を聞くと、編集者もスタッフも嬉しく思います。購入した読者が商品を気に入ってくれて、さらにブランドの知名度があがり、メーカーがタイアップの効果を実感できれば、きっとまたタイアップ広告を出稿してくれることでしょう。今のファッション雑誌というビジネスモデルは、こうやって回っているんです。


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