靴の外羽根と内羽根は本来、用途が違います
お手持ちの靴のひもを結ぶところを御覧ください。左右から扉を貼り付けたようになっているのが外羽根で、ホールを縦にカットしだ状態で羽根の開きがアッパーと一体化しているのが内羽根です。外羽根靴は「ブルーチャー」とか「ダービー」とか呼ばれます。内羽根靴は「オックスフォード」「バルモラル」と呼ばれます。
呼び名にはそれぞれ由来がありまして、「ブルーチャー」とは、考案者の英語読み名だそうです。「ダービー」は、羽根が競馬のスタート地点で馬が飛び出す扉に似ているからとか。「オックスフォード」とは、文字通りオックスフォード大学の学生が17世紀頃から履いていたことに由来するとか、「バルモラル」は、19世紀に英ヴィクトリア女王の夫アルバート候が、バルモラル城でデザインしたからなどといわれ諸説あって、どれが正しいのかは謎のまま。服飾の歴史って謎のものが多いですね。
外羽根の代表作は、チャーチのグラフトン、トリッカーズのカントリー、オールデンの990、エドワード・グリーンのドーバーなど。内羽根式なら、クロケット&ジョーンズのオードリー、エドワード・グリーンのチェルシー、ジョンロブのフィリップなどが挙がります。靴のデザインは、トゥの形状(プレーン、ストレートチップ、パンチドキャップ、ウィングチップ、etc.)と、羽根の内外で決まる場合が多いのです。
外羽根はワークシューズの系統、内羽根はルームシューズの系統といわれ、外羽根はカジュアル、内羽根はドレス向きといわれます。たしかに外羽根の靴はデニムにも似合いますし、内羽靴はフォーマルに向いています。でもデニムをドレッシーに履こうと思えば内羽根靴をあわせることもあるでしょう。外羽根のウィングチップなら、ビジネススーツもアクティブに見えますし、アメトラ系のスーツなら間違いなく外羽根が似合います。
あくまで基本の合わせ方はドレス=内羽根、カジュアル=外羽根かもしれませんが、それに囚われることないのです。最近は、レースアップよりダブルモンクやスリッポンが人気ですしね。