パンツのタックはあるべきか
スーツのパンツからタックが無くなったのは、ほんのこと10年から15年ぐらいのことでしょう。「フロントはノープリーツですっきり見える」ことが良しとされたのは、細身のスーツが全盛となってからのことです。細身が主流になったのって、15年ぐらい前に、いしだ壱成さんがスタイルアイコンだった時代からずっと続いているような気がします。それ以前は、ラルフローレンのシャツをルーズに羽織るスケーターとか流行ってたし。
パンツのタックやプリーツが消えていったのは、細身でタイトなボトムズがメンズスタイルのメインストリームになったからです。スーツはもちろん、太幅のチノやカーゴは流行りませんし、モノとして存在はしてもフロントはノープリーツが一般的です。インコテックスJ35の大ブームから、イタリアのパンツ専業ブランドの群雄割拠まで、この方ずーっとノープリーツですから。
しかしここへきてタック入りのパンツが復権の兆しです。ボトムズがスリム一辺倒からテーパード型(キャロット型)に移行してきているからです。「ヒップ周りもタイトなスリム」から「ヒップ周りは余裕があって、裾幅は細い」が主流のシルエットになってきたため、パンツメーカーはプリーツやタックでヒップ周りをふくらませはじめました。
もちろん技術的にはノープリーツでヒップ周りをふくらませることは可能ですが、これはもう見た目やディテールデザインの一部としてのタック&プリーツです。このまま裾丈長めに履いてはオジサンパンツ丸出しになってしまうので、タック&プリーツパンツはあくまで膝下テーパード&短め丈が基本です。丈だけでなく、ひざ下から細身に詰めていくようにお直し時にご注意を。