ベッドの話じゃないっすよ
ウィスキーの飲み方? ジャケットの袷? それはまたいつかお話するとして、今日はパンツの裾のお話です。
デニムやショーツは例外として、一般的なパンツは裾を処理せずに売られています。試着して、丈詰めをして持ち帰るからです。それなりのお店では、数日後に引き取りにこなければならないので、買ったその日に持ち帰ることはできません。明日履きたいなら、即日お直ししてくれるお店で買わなくてはなりません。あるいは自宅で自分で裾上げするとか。ちょっとめんどくさいので、自分はパンツを買うのを躊躇うこと、じつは多いです。
このとき裾の処理を「シングル(たたき)」か「ダブル」か、お店の方から聞かれることがあります。とくにウールのスラックスのとき。「ダブルは何センチにしますか?」と聞かれることもあるでしょう。裾上げの正解、知っていますか?
裾幅20センチ程度のクラシックなスーツなら、「裾は4.5センチ幅のダブルで」としておけば大抵の場合、間違いありません。裾幅が細くなっていくほど、ダブル巾も細幅にしてきます。最近流行りの裾幅18センチのテーパードシルエットのパンツなら、ダブルも3センチぐらいが似合います。
ただしフォーマルなどドレッシーに着るためのパンツならシングルで詰めましょう。たとえばフォーマル用の特別なスーツ。結婚披露宴など、華やかな席に着ていく高級スーツなら、裾はシングルにしておくべきです。結婚披露宴や二次会など、よほどカジュアルOKな席でない限りダブルは避けなければなりませんから(結婚がダブるのはよろしくないので)。
シングルに詰めるパンツは細身のパンツと相場が決まっています。カジュアルトレンドのストレッチを混紡したスリムチノやホワイトデニムなどは、シャープなシルエットを強調できるシングルではくのがいいでしょう。もちろん礼装もシングルです。以前はモーニングカットと呼ばれる。後ろ側がちょっと長めで靴のヒールに触れるぐらい、前側はちょっと短めで靴に触れないぎりぎりの位置に設定する、横からみると斜めのカットをすすめられましたが、後ろ裾が長いのは、ジャケットの着丈が短くなってきているいまどきのシルエットに似合わないことが多いようです。上着短いのにパンツ長いのはアンバランスですから。
最近はカルーゾなど、先鋭的なブランドで裾幅22㎝ぐらいのバギーパンツをセットしたスーツも登場しています。この場合は5センチ幅の太幅ダブルにするとバランスが良いようです。もちろんちょっと短め丈ではきます。昔のズートスーツのようなバギーで長めでずるずる履きは、メンズプレシャス編集部の山下さんの「ウディアレン」スタイル以外は、よほどお洒落な人以外、トライしてはいけません。