イギリスでもイタリアでも見たことない気が…
ストレートチップ、ウィングチップ、Uチップ、メダリオントゥ、etc.。靴のデザインを表す言葉です。「本格靴」という表現は、クラシック靴=最高級の靴という意味で的を射ていますが、メンズファッション誌で取り上げる靴のなかに、ひとつだけ、これだけ市場に出回っているのに出てこないデザインがあります。それが「スワール」です。
長めのノーズのものが多く、若いビジネスマンには人気の高い「スワール」。つま先=トゥから甲に向かって伸びる2本のラインは、アッパーを3分割する切り替えラインです。若者向けファッション誌で時々企画されるフレッシャーズスーツ特集などでは紹介されることがありますが、クラシックを基調とするメンズ誌で、スワールは異端児あるいは邪道として、取り上げられることはありません。クラシックな紳士靴にスワールは存在しないとされているのです。
同じように甲にベルトがわたされていて、アウトサイド側に小さな四角いメタルチップが取り付けられた“ぎょうざ靴”も登場しません。おそらくビジネスシューズの市場でメジャーなこのタイプの靴は、ファッション業界人からすると「ダサい」の代名詞なのです。メンズファッション誌で取り上げられることのない、存在するのに存在しないように扱われる不思議な靴。
僕は持ってませんし、今後もはくことはないでしょうけれど、スワールは足が長く見えるのでいいと思うんです。ぎょうざ靴は、あまり縁がないのでコメントは控えますが、デザインとしてあまり美しくないような気がします。