WEBより紙
「今季はこれが流行っています」「今季はこれがトレンドです」と、ずっと書いてきましたが、ここ最近このフレーズが使えないことが多いです。というのも、雑誌が「流行情報」型ではなく「スタイル追求」型に変化してきたからのようです。
以前はパリやミラノのコレクションからトレンドキーワードとなる傾向を導き出していました。今季はニットが多いなとか、ボルドーやグリーンが流行色だな、とか。でも最近は流行よりも、「うちの雑誌の読者は、こういうスタイルが好きな人」と規定するところからファッションが始まることが多く、「流行りじゃなくて、ずっと好きなスタイル、好きなモノ」を紹介する傾向が強まっています。
もちろんショップやブランドはシーズンごとの打ち出しや傾向を踏まえて商品構成を考えているので、どれも「流行アイテム」だったりするのですが、雑誌はそのなかから「うちの雑誌のテイストに合う商品」だけを抜き出します。ショップの打ち出しは「ちょっと派手めの色柄ジャケット」でも、雑誌には「ネイビーの無地」が掲載されます。
ショップの動向と雑誌の特集とのギャップを埋めるのが、各雑誌の「スタイル」です。かつてのメンズファッションは、「今一番お洒落なのはコレ」といえたのですが、最近はこれもお洒落、あれもお洒落と、女性のファッションに似てきました。クラシックもモードもストリートも、またそのなかでいくつかの細分化がされていて、クラシックもイタリアンなのかブリティッシュなのか、それともフレンチなのか、アメトラなのか、モードもラグジュアリーなのかデザイナーズなのか、それともインディーズなのか、といったように。
ライフスタイルの多様化もあげられるのでしょう。サラリーマンと自営業、専門職といった単純な分け方では語れなくなってきてますよね。サラリーマンも昔ながらの企業勤め人とITベンチャー系では、生活様式も考え方も異なるし、若い起業家と稼業を継いだ自営業とは、職業分類上は似ていても中身は全然別物です。当然、雑誌も様々なターゲットを設定して、それぞれのライフスタイルに似合うファッションスタイルを提案しています。
次回、そのあたりと個別にお話ししていこうと思います。