夏真っ盛りですが、そろそろ秋物チェックの時期です
夏真っ盛りにも関わらず、そろそろ秋物が店頭に並んできました。このあたりがファッションのおかしなところで、リアルな季節よりも早い段階に服が出そろうという。まだ半袖のTシャツとか買いたいのに、店にない!
いや、あるところにはあるんですが、トレンドセッター的な店にないんですね。お洒落に敏感な店にないから、どうしてもフォロワー的な店で、やむをえず買う。そうなりたくなかったら、早め早めに買っときなさいよ、というのが日本のアパレル業界の常なんです。
なにせ今秋の最新作が、最初にお披露目されたのは、半年以上前の今年の冬のこと。各メーカーが極寒の頃に、つぎの秋冬の新作を発表します。そこで各ショップがオーダーを入れて、メーカーが製造を開始。ようやく出来上がった商品が入荷してくるのが今時分というわけです。
さて、そんなわけで、今年の1月に見てきた世界最大級の紳士服展示会ピッティ・イマジネ・ウォモの様子を、そろそろ紹介していこうかと。半年以上も前にみてきたことなので、思い出しつつですが。。。
とにかくすごく良かったガブリエレ・パジーニ
ここのところ数シーズン、秋冬は「あたたかそうな素材使い」というのがキーワードになってるような気がするんですね。「ウォーム感」って呼ぶことがあるんですが、ウォーム=WARM(あったかい)ってことかと。ふわふわで肉厚で表面に織り糸が浮いている。ちょっと昔っぽいのも特徴的で、ツイードとかフランネルとか、古いイギリス生地にあるような色目も特徴的ですね。
なんかもこもこしてるでしょ。白のショールカラーのジャケットなんて、貴族趣味もいいところなんですが、新品なのにちょっとこう使い古した毛布みたいな(?)素材感が今っぽいというかパジーニの提案です。ここにグレー杢のタートルニットという合わせ方は、シンプルでいいですね。白のジャケットなんて気恥ずかしいけど、こんな素材使いのものを、タートルニットで着ればいいわけですよ。
こちらはライダーズ。レザーじゃなくてムートンですよ。このへんがパジーニのセンスですね。でもってやっぱりタートルニット。手袋は表革とニットのコンビ使いで、革はアクセサリーっぽく使うんですな。
これが今季のパジーニを象徴すると思うんですが、ベーシックなアイテムばかり使ったモノトーンの柄合わせです。ジャケットもシャツもVネックのセーターも、ネクタイまでも白黒のチェック柄です。クラシックチェックではないので千鳥格子とかウィンドーペーンとかの名称はありません。ほんとにライター泣かせですね。ポケットチーフなんて黒ですよ。ここまで徹底して着てたら、かなりのキワものですが、白シャツにモノクロ柄のジャケット&ニットぐらいだったらできそうですね。素材ももこもこしているし、まったくもって今年っぽい。
ちなみにあえて触れてきませんでしたが、この帽子。なんでしょうね、僕の好きなジブリ映画の『紅の豚』に出てきますよね、飛行機乗りの帽子。これ日本でやらないと思うんだけど、あったかそうだし、ちょっと欲しいな、と。
これも同じく、モノクロの柄ものレイヤード。スーツですね。ブランケットのような大判ストールを肩がけしていますね。去年、流行ったポンチョやマントは、今年は鳴りを潜めていますが、個人的にはコートやダウンなんかより、アフガンストールとか使いたいと思ってます。
これも同色異柄使い。グレーのウィンドーペーンのスーツに、チェック柄のショールカラーのベストを重ねる、フェイクなスリーピースです。パジーニなのに、会社に着ていけるかも!?
このコート、パジーニ流のミリタリーなのかな。ラルディーニが思いっきりイタリア空軍のジャケットデザインを再現したような、袖に階級章をつけたミリタリーコレクションをやっていますが、パジーニは袖の階級章のようなラインと金ボタンに加えて、刺繍入りです。モールと刺繍で、ちょっとオリエンタルちっくな柄を入れているのは、タトゥーみたいでなかなかインパクトありますなー。
こちらはロングスリーブTシャツに刺繍入り。気軽なアイテムですが、デザインはけっこう重厚ですね。ショールカラーのベストと重ねても、モノクロ同士だから意外とレイヤードもすっきり見えます。これぐらいなら、下はデニムでも着られそうです。
グレーバーズアイのスーツにグレンチェックのショールカラーダブルのベスト。ネクタイもマイクロチェックですね。ここにブラウンのテーラードコートはメタルボタン仕様と、ちょっとミリタリーなイメージでしょうか。しかも袖の刺繍入りという、80’sならニューロマンチックのカテゴリーですな。
これ見てください。クレリックシャツの襟羽が片方浮いていますね。これ、トルソーの着せつけミスではないんですよ。わざと襟先をハネさせてるんですね。こういう小技、イタリアでも南のほうの人がよくやるように思います。ネクタイのノットがズレていたり、わざとボタンを開けていたり、ちょっとハズすつもりなんでしょう。このハズしがイタリア流の「粋」の心得なんですね。日本人には難しいですが、業界人には上手く取り入れてる人もいます。
ラルディーニと組んで開花したガブさん
誰が呼んだか「モデナの怪人」ことガブリエレ・パジーニ。自身の名を冠したブランドのデザイナーと言う肩書ですが、モデナ市内でちいさなショップをやっているショップオーナーというのが本業です。ピッティのメイン会場では、ラルディーニと通路を挟んだところにブースを構え、もちろんラルディーニ兄弟とも仲良しです。じつはガブさん、以前はタリアトーレのピーノ・レラリオさんと一緒に、リヴァイバルというブランドをやっていましたが、リヴァイバルを解消してラルディーニのファクトリーで服作りを始めました。そのいきさつの細かいところは知りませんが、タリアトーレのブースは、2人のブースとは離れたところに位置しています。
ガブさん、見た目はちょっとコワ面ですが、じつに物静かで腰の低い方です。確か出身はイタリアのどっかで、なぜ縁もゆかりないモデナにいるの?と聞いたことがあります。「昔のカミさんが、モデナの人で、結婚してモデナに来たんだ。いまは別れちゃったけど、店をやってるからモデナにいるんだよ」だって。Facebookをみてると最近、若い彼女ができたようで羨ましいですな。
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