月別アーカイブ: 2016年8月

「レイバンのウェイファーラー」

ゼロヨンテレビ レイバンのウェイファーラーって、無くしては買い、壊しては買い直すことを繰り返している男の定番サングラスです。なぜ、こんなにも惹かれてしまうのか、そこのところをお話ししましょう。 メンズファッション... 続きを読む


ファッション撮影の嘘とスーツ&パンツのお直し

既製品スーツが体に合うことのほうが稀なんです 実際、ファッション誌の撮影では、こんなふうに後ろをクリップで留めることでフィットしているように見せています。これはお腹周りがすっきり細いモデルさんだから。一般人ならお腹サイズもあるのでこれがうまく収まるのかとおもいきや、そのぶん他の箇所がきつかったり、あまったりするもので、なかなかぴったりフィットすることはありません。当然、お直しが必要になってくるわけです。 既製品のスーツは、メーカーが「理想」とする体型、あるいは「計算上、一般的」とはじき出した数値で型紙が設計されています。その数値と万が一でも一致する標準体型の方なら、ジャストサイズで着られるわけです。 貴方の体は標準体型ですか? スーツのフィッティングの仕方 まずジャケットを着て、ボタンを留めます。 肩の収まり具合と、腕の可動域を確認します。ボタンが留まらなければ、ウェストを出すこともできますので、まずは肩と腕をご確認ください。 肩先に余りがないこと 腕を前方に水平に上げた時肩が抜けないこと この2点が問題なければ、ウェストを確認します。余っているようなら詰めますし、足りないようならどこまで出せるか店員さんと相談です。 お直しで対応できるようであれば次へ。お直しで対応できないようであれば、オーダーですね。肩袖はお直しで対応すると、着心地やシルエットなどのバランスが崩れますので、肩袖が合わない場合は、その試着したブランドは潔く諦めましょう。 次にパンツをあわせます お尻がきつかったり、あまったりするのは調整できますので、ベルトをしないでもウェストがぴったり収まるサイズを選びます。ここで見栄を張ってお腹をへこませたりしてはいけません。ウェストジャストのパンツが見つかったら、メッケもんです! よくある話ですが、ここで先に合わせたジャケットの組下パンツが合わないという場合はパンツウェストの出し&詰めで対応できるレベルなのか、ワンサイズ変更すべきなのか、店員さんとよく話しあいましょう。一般的に量販系のパンツは、おじさん体型を見越してウェストがやや大きめに作られています。反対にセレクトショップなど、ファッションに通じたブランドはウェストが小さいことも。1サイズ程度ならお直しで対応できる場合がありますが、あまりに差があるようでしたら、潔く諦めてオーダーされることをおすすめします。 パンツのお直しポイントは以下のとおりです。裾丈しか直せない店でスーツを買うのは、はっきり言っておすすめできません。 ウェストはジャストサイズ お尻のトップを合わせる 裾丈を決定する 裾幅を決定する ダブルかシングルか決める 膝位置を合わせる 膝下から詰める 太腿の余りを削る はい、こんなにチェックポイントがあるんです。パンツを買うのはジャケットを買うより遥かに難しいのです。 ウェストの出しor詰め幅が決まったら、お尻の収まりを確認します。このときお尻の頂上がきつくなくて、腰部分に余りがないようにしてもらいましょう。このお直しはヒップのセンターシームを開いて調整します。 裾丈はビジネススーツなら靴の履き口とパンツの裾がすれすれもしくはかるくかぶるぐらいを。遊び用スーツならくるぶしがチラ見えするぐらいで。ここで裾幅を見てもらいましょう。裾丈がかなり短くなった場合(切り落とす量が多い場合)は、確実にそのパンツに設定された最良のシルエットを壊しています。なので必ず裾幅を1〜2cm詰めなければいけません。逆に切り落とし量が少ない(5〜8cmぐらい)ならば、裾幅詰めはしなくてもいいかもしれません。量販店などの20cm裾幅は、さすがにトラディショナルなイメージですが、細身のパンツがお好きでないなら無理に詰める必要はないのですが。ダブルかシングルかも好みですが、基本的にシングルはフォーマルスーツ用です。ダブルにすることで、クリースが固定されやすくパンツのシルエットが美しく見えます。「ダブルにすると裾が重くなるので、クリースがまっすぐに落ちる」という説がありますが、重さが変わるわけないので嘘です。 膝位置も必ず合わせてもらいましょう。パンツを裏返して、サイドの縫い合わせ部分をよく見てみましょう。膝あたりの縫い代に切れ込みが入っているところがあります。 ここが最初に設定された膝位置です。ここが大きくずれているようなら、太腿から裾まで全体にシルエットを調整してもらう必要があります。たいていはウェストが合えば、大きくズレることはないはずです。 膝から下を詰める必要性はこれまでにも書いてきました。必ずお願いしましょう。   ... 続きを読む


THE GIGI(ザ・ジジ) vs  BOGLIOLI(ボリオリ)に見るメゾンの進化の過程

ラグジュアリーメゾンの進化過程が目の当たり 元馬具商だったグッチやエルメス、革製品店だったボッテガ・ヴェネタやプラダしかり。靴屋のフェラガモ、リボン屋のバリーなど、その出自はさまざまでも、いまやトータルコレクションを揃えるラグジュアリーメゾンへと成長を遂げたブランドは少なくありません。というか所謂高級メゾンって、最初からコレクションブランドだったわけじゃないところがいくつもありますよね。 1890年代、サルトであったピエルイジ・ボリオリが100年後、自分のブランドがもはや縁もゆかりもない他人の手に渡り、高級ブランドとして歩み出すなんて想像してたでしょうか。 21世紀に入ってすぐ、それまでのクラシコイタリアブームに少々陰りが見え始めた頃でした。ジーンズをはじめカジュアルウェアの生産工程では、すっかり定番的に使われていた「洗い加工」を、クラシック服に用いるという大胆なことをやってのけたメーカーがいました。 それこそが、ボリオリです。コットンジャケットを洗った「COAT」、カシミヤジャケットを洗った「K-JACKET」をはじめ、3パッチポケット式の「DOVER」などクラシックの枠を逸脱せずに、古い様式美から脱却したコレクションは瞬く間に世界中のクラシック服バイヤーに支持されました。 大胆な意匠を用いるのではなく、型紙を工夫することで若々しく見えるスタイルを作りだし、洗い加工を施すことで素材の風合いを変え、ポケットをパッチ式にするだけで若々しく見える、おじさんでも着られるデザインジャケットとして爆発的に売れたのはつい先日のことのようです。日本でのディストリビューターも新ブランドを発見する目利きに長けたアマンから、商社としての体力あるコロネットに変わりました。 経営権を委譲してラグジュアリーメゾン化したボリオリ その後の快進撃はいうまでもありません。昨年はミラノに続いて丸の内にもショップができましたし。今年の1月にはミラノコレクションにも参加しています。現在のCEOはジョバンニ・マヌッチさんといいまして、この方元イザイアのCEOですが、その前はコンサルタント。若くしてアメリカで学び、マーシー大学、ケロッグ大学、スタンフォード大学で経営に関する様々な学問と資格を取得している超エリートです。 彼の前にボリオリのCEOに迎え入れられたロベルト・ファルキ氏も、プラダ、マルニ、ディオールと渡り歩いてきたラグジュアリーブランドを熟知する人物でした。彼が経営権を握るにようになり、ピッティを撤退。ミラノにプレゼンテーションの場を移していました。 ジョバンニさんの就任とともに、新めてクリエイティブ・ディレクター制を導入しました。ジョルジオ・アルマーニ、グッチで研鑽を積んだダビデ・マレッロ。世界戦略を推し進めるには、ビッグメゾンを知る人物が不可欠なわけですから、ボリオリの成長戦略としては当然の人事であったのでしょう。 歴史あるファクトリブランドが、ここ10年で一気に世界的なメゾンへと躍進する様子を、リアルタイムで見ることができたのはなんとも興味深い出来事でした。 創業者の血を引くボリオリ一族は、2009年までボリオリ社を経営していましたが、この年、経営権を持っていたマリオ・ボリオリ(創業者ピエルイジの孫)は会長職に退き、外部から有能なCEOを招きます。これがロベルト・ファルキ氏です。マリオの息子のビエルイジは同社のデザイナーとして先の名品の数々を生み出した張本人です。経営はロベルト氏に任せていたのですが、2014年にピエルイジが電撃退社。その後THE... 続きを読む