月別アーカイブ: 2014年8月

ネクタイにディンプルは必要か

ネクタイは、その人より先に部屋に入ってくる

ネクタイを結ぶとき、結び目の下をくぼませます。これをデインプルとかエクボとか呼びます。上手な人は、このディンプルは2つも3つも入れることができます。ネクタイはディンプルを入れたノットが浮き上がっていて、しかも小剣がちょっと横にズレているぐらいがちょうどいいと言われます。たしかに自分もそうしています。

「ディンプルなんて田舎者のネクタイだ」という人もいます。イギリスでもイタリアでも聞いたことがあるこの言葉は、ロンドンやミラノのかなり年配の方が言う場合が多いようです。かつてディンプルを入れないネクタイの結び方が流行ったことでもあるのでしょうか。

ディンプルの入っていない結び方でも、相手に不快感を与えることはないので、個人的には、どちらでも構わないと思います。上手にディンプルを入れると光加減でくぼみ部分にネクタイの生地の質感が浮き上がって、シルクの素材の美しさが引き立ちます。これが胸元のアクセントになるのでディンプルが推奨されるのです。でも最近はナロウタイやニットタイも増えてきていますし、細い帯はディンプルを入れるのが難しかったりもします。モードなナロウタイは、あえて緩めに結ぶ方がかっこいいこともあるので、無理にディンプルを入れる必要はないのではないでしょうか。ちなみにお葬式のときはディンプルを入れないのがマナーです。

TPOに合わせて、ネクタイをきちんと結ぶのは、最低限のマナーだと思います。お酒の席や、仕事のネクタイを緩めるのはともかく、人前に出るときにネクタイが緩んでいるのは、パンツのジップが開いているのと同じぐらい恥ずかしいことだと思うんです。

テレビを見ていると、ネクタイの結び方がまったくなってない人が多いですよね。とくに芸人さん。スタイリストさんは衣装を渡して帰ってしまうのでしょうか、シャツの襟元のボタンが開けたまま、ネクタイをユルユルに結んでいたり、ネクタイが緩すぎてノットの上からボタンが覗いていたり、あるときはゴールデンタイムの大型バラエティで、某芸人さんがタブカラーシャツのタブをノットの上で留めていたのには、ひっくり返りそうになりました。ネクタイの結び方がなっていないと、僕は気になって面白いはずのトークも笑えません。


白シャツの黄ばみの落とし方

黄ばんだシャツを捨てていた人へ

シャツの寿命はいつでしょうか。体型が変わってしまってサイズが合わなくなったら仕方ありません。どこかに引っ掛けて破いてしまったり、カレーやパスタのソースの大きなシミをつけてしまったら諦めるという手もあるでしょう。でも大抵の方は、白シャツは黄ばんできたら寿命と考えるのではないでしょうか。

オーダーで仕立てた3万円のシャツでも、1万5000円の既成品シャツでも、ワゴンに山積みの3000円のシャツでも、白シャツは着ているうちに黄ばみます。値段が高かろうと、安かろうと、必ず黄ばみます。毎回クリーニングに出していても、どんなに丁寧に洗っていても、白シャツを白いままでキープするのはとても難しいのです。ですので安いシャツを、ワンシーズン着たら捨てるというのはある意味正解かもしれません。

黄ばみの原因は繊維の間に入り込んでしまった皮脂です。肌に直接触れる生地は、長く着ていればそれだけ皮脂が蓄積します。どんなに丁寧に洗っても、100%完璧に皮脂を落とすのは難しく、白シャツはいつか必ず黄ばんできます。黄ばんでこなければ、きっと袖や襟が擦り切れてきますので、諦めざるをえないでしょう。

じつは黄ばみは家庭で簡単に落とせます。

漂白剤と重曹とクレンジングオイルを用意しましょう。漂白剤は酸素系でも塩素系でも構いません。重奏はホームセンターや薬局で「お掃除用」というのが簡単に手に入ります。もちろん食用でも構いません。クレンジングオイルは彼女や奥様の使いかけでOKです。あとは使い古した歯ブラシと、ドライヤーを用意しておいてください。

まずクレンジングオイルを白シャツの黄ばみに染み込ませませます。黄ばみ汚れは脂が上からカバーしている状態にあるので、まずはこの脂を取り除くためにクレンジングオイルを使います。次に、漂白剤と重奏を混ぜたものを歯ブラシなどで黄ばみに塗りこんでいきます。このとき繊維の奥に入り込むように塗りこむんですが、あまりブラシでこすりすぎると生地を痛めるのでほどほどに。塗りこんだら、黄ばみ箇所をドライヤーで温めます。すると黄ばみがどんどん消えていきます。漂白剤と重奏を混ぜた液体は温めることで漂白効果が活性化するんです。

黄ばみがとれたら、あとは普通に洗剤で洗ってください。いつも手洗いしている方は、手洗いを、洗濯機の方は洗濯機で。

いつもクリーニングに出してる方は、クリーニング屋さんで「黄ばみを落としてください」といえばいいだけです。別料金になると思いますが。


雑誌に書けない雑誌の話

雑誌は文化かビジネスか

雑誌では書けませんが、若者向けのファッション誌の場合、前半の特集記事は、今一番編集部がお洒落だと考えているブランドやスタイル、アイテムが並び、後半には、なんだかちょっと微妙なブランドのビジュアルやカタログページがありますよね。純広告も、表誌の裏や裏表紙など、目立つところに入る純広告は、よく知っているブランドや大手企業の純広ですが、中面の後半はなんだかあやしい広告も少なくありません。

後半ページにまとまっている見開き単位の特集ページはタイアップ広告といって、ブランドが出版社にお金を払って、自分のところの商品の特集ページを作ってもらっているのです。大抵の場合1Pか2Pですが、場合によっては8Pとか16Pとかの大特集になっていることもあります。

これが、大人向けのメンズファッション誌の場合、前半は若者向けストリートファッション誌と同様、編集部がカッコいいと思っているファッション、テーマが並んでいますが、後半には前半で取り上げたブランドの特集記事が1Pや2Pで入っています。ちょっと微妙なブランドの特集は、あまり見ることがありません。純広も同様です。

「雑誌を支えるタイアップ広告を、実際のメンズファッションの中核ブランドが打つ」のがメンズ誌で、「雑誌を支えるタイアップ広告は、あまり有名でないけれどタイアップで売上をあげたいブランドが打つ」のがストリート誌なのです。ここがメンズ誌がストリート誌と大きく異るところです。

メンズ誌ではタイアップ広告を雑誌に打つことで、前半の編集ページに広告主の商材を積極的に掲載するので、一冊通して、前半も後半も同じようなブランドが散見されますが、若者向けファッション誌では、タイアップを打っても優遇措置が薄く、前半と後半はまったく違った雑誌かと思うような編集がされていることも少なくないようです。しかしメンズ誌のモデリングを取り入れて、積極的に広告と編集ページを連動させようとしているストリート誌も見られます。

メンズ誌は実際にトップトレンドの流行ブランドがタイアップ広告を打ってくれますが、ストリート誌では、人気のあるブランドは広告を打たなくてもそこそこ売れるので無料の編集ページには協力してくれますが後半のタイアップにお金を出してくれません。その代わり、自社製品を売りたいメーカーさんが協力してくれるので、前後で出てくる商品やブランドが別物になってしまうのです。

つまり実際のファッションと広告が上手く連動しているのはメンズ誌で、実際に流行っているブランドとタイアップブランドがリンクしていないのがストリート誌なんです。

このメンズ誌の良好なビジネスモデルはレオンが創出したといわれています。しかし、いまではどこの雑誌も皆このあたりの仕組みがよくわかってきているので、編集ページと広告ページの区別がつかなくないほど。雑誌と広告の良好な関係が築かれるのは双方によいことと思いますが、広告に左右されすぎて失敗してしまった雑誌もあります。


内羽根靴か、外羽根靴か

靴の外羽根と内羽根は本来、用途が違います

お手持ちの靴のひもを結ぶところを御覧ください。左右から扉を貼り付けたようになっているのが外羽根で、ホールを縦にカットしだ状態で羽根の開きがアッパーと一体化しているのが内羽根です。外羽根靴は「ブルーチャー」とか「ダービー」とか呼ばれます。内羽根靴は「オックスフォード」「バルモラル」と呼ばれます。

呼び名にはそれぞれ由来がありまして、「ブルーチャー」とは、考案者の英語読み名だそうです。「ダービー」は、羽根が競馬のスタート地点で馬が飛び出す扉に似ているからとか。「オックスフォード」とは、文字通りオックスフォード大学の学生が17世紀頃から履いていたことに由来するとか、「バルモラル」は、19世紀に英ヴィクトリア女王の夫アルバート候が、バルモラル城でデザインしたからなどといわれ諸説あって、どれが正しいのかは謎のまま。服飾の歴史って謎のものが多いですね。

外羽根の代表作は、チャーチのグラフトン、トリッカーズのカントリー、オールデンの990、エドワード・グリーンのドーバーなど。内羽根式なら、クロケット&ジョーンズのオードリー、エドワード・グリーンのチェルシー、ジョンロブのフィリップなどが挙がります。靴のデザインは、トゥの形状(プレーン、ストレートチップ、パンチドキャップ、ウィングチップ、etc.)と、羽根の内外で決まる場合が多いのです。

外羽根はワークシューズの系統、内羽根はルームシューズの系統といわれ、外羽根はカジュアル、内羽根はドレス向きといわれます。たしかに外羽根の靴はデニムにも似合いますし、内羽靴はフォーマルに向いています。でもデニムをドレッシーに履こうと思えば内羽根靴をあわせることもあるでしょう。外羽根のウィングチップなら、ビジネススーツもアクティブに見えますし、アメトラ系のスーツなら間違いなく外羽根が似合います。

あくまで基本の合わせ方はドレス=内羽根、カジュアル=外羽根かもしれませんが、それに囚われることないのです。最近は、レースアップよりダブルモンクやスリッポンが人気ですしね。


雑誌に書けないカルーゾ

パルマの名門ファクトリー

かつては「ラファエル カルーゾ」と、創業者の名を冠したブランドで展開されていましたが、現在は創業者家系は会社の株式を有するだけで、経営には関わっていないとか。現在、カルーゾ社の舵を取るのは、前ブリオーニ社のCEOであったウンベルト・アンジェローニ氏です。

パルマはハムやチーズで知られる美食の町ですが、かつてはテーラーの町でもありました。イタリア各地のショップやメーカーが、既製服の生産を依頼するのは、パルマという町がナポリやミラノのような仕立てのクセが無く、依頼通りの型紙を引いてくれたからといわれています。そのためイタリア内外からOEMの依頼が多く、著名なラグジュアリーブランドがカルーゾでスーツやジャケットを生産しています。

雑誌では書けませんが、有名なところではLVMHグループです。本体のルイ・ヴィトンはもちろん、最近ではトータルブランドへ舵を切ったベルルッティもカルーゾ製です。イヴ・サンローランや、ポールスチュアートもカルーゾのファクトリーを使用しています。カルーゾで生産されたブランドは、どれも同じ形式の仕様タグが取り付けられるので、チェックしてみればすぐわかるはずです。

少し前までは、エリオポールを運営するインターブリッジという会社が日本のカルーゾの正規代理店でした。いまはカルーゾ社は日本法人を設立して国内展開をしています。クラシックな高級ブランドを多く扱っているファクトリーですが、自社ブランドはいまかなり先鋭的なデザインを展開しており、今季は裾幅25㎝の組下パンツをあわせるコート、ジャケット、ベストまでの4ピーススーツもコレクションにあります。

カルーゾ社のデザイン部門でもっとも重要な人物は、デザイナーやパタンナーだけでなくファブリックデザイナー、マルコ・ジョルナです。

ファブリックデザイナーの彼は、かつて韓国のサムソン社のテキスタイル部門にいた経歴もあるのですが、イタリアのファッション業界ではかなり名の知れた人物で、著名な生地メーカーからのヘッドハントを蹴り飛ばしてカルーゾにやってきました。彼の卓越したセンスと深淵な知識が、カルーゾブランドの強みであることは言うまでもありません

カルーゾ社と並ぶパルマのファクトリーとしては、ジャン フランコ ボメザドリも有名ですが、こちらもジルサンダーをはじめ多くの高級メゾンブランドのOEMで成長したファクトリーです。最近ではエルネストという新ブランドが絶好調で、くつかのセレクトショップをはじめ伊勢丹などで展開していたジャンフランコの名を関したGFBというブランドは、ちょっと今おとなしくしています。