新しいドレスコード」カテゴリーアーカイブ

オフィスで黒スーツに異議あり? 異議なし?

日本には日本のドレスコードがあってもいいじゃん 仕事では何年も「ビジネススーツはネイビーかグレイが基本。黒はモードやフォーマル用」と書いてきました。確かに欧米では黒のスーツは礼装か、ホテルのレセプションしか着ていません。ビジネスマンは大抵ネイビースーツで、たまに黒かな?と思ってよく見ると、チャコールグレーだったりします。 いつの間にビジネススーツに黒が蔓延したのでしょう。90年代初頭まではリクルートスーツもネイビーが主流でした。しかし90年代半ば、ヘルムート・ラングやディオール・オムといった、若い人にアピールするモード系のデザイナーズブランドが登場してきたとき、「スーツは黒」という図式が定着したように思います。実際90年代半ば以降、黒スーツの後輩が、当時勤めていた出版社にぞろぞろ入社してきましたから。 その頃から、オフィスに黒スーツが広まってきたように思います。若い人はリクルートスーツにモードな黒を選び、先輩や上司もなんだか黒がカッコいいなと思うようになり、気づけば社員みーんな真っ黒け、という。黒無地は流石にお葬式なので、黒地に織り変えでストライプを入れたシャードストライプや、かすかに濃色ピンストライプの柄黒も多くあります。もはや一掃できないくらい、黒のビジネススーツは日本のビジネススタイルとして定着しました。これを無理やり方向修正することのほうが無茶な気がします。 海外で「なぜ日本のビジネスマンは黒を着るのだ?」と聞かれたことが有ります。僕は「それがジャパニーズスタンダードだから。でもビジネスブラックは無地ではなくストライプが多いんじゃない?」と答えました。最近では「日本人のビジネスマンは黒いスーツ」というのはだいぶ定着してきたようです。しかし政府関係者や、保守的な外国人には、黒スーツの日本ビジネスマンにあまりよいイメージを持っていない人もいるようです。ちなみに、なぜかドイツ人も黒のスーツを着る人が多いように思います。 もし海外出張の多いお仕事なら、紺かグレーのスーツを着ていくほうが無難かもしれません。でも国内中心のお仕事なら、黒スーツで構わないのではないでしょうか。さすがに黒のスーツしか持ってないというのは、どうかと思いますが黒、ネイビー、チャコールグレーと、ダークスーツでも3色持っていると、毎日のローテーションも、少しは気分が変わるはずです。 ... 続きを読む


ネクタイにディンプルは必要か

ネクタイは、その人より先に部屋に入ってくる ネクタイを結ぶとき、結び目の下をくぼませます。これをデインプルとかエクボとか呼びます。上手な人は、このディンプルは2つも3つも入れることができます。ネクタイはディンプルを入れたノットが浮き上がっていて、しかも小剣がちょっと横にズレているぐらいがちょうどいいと言われます。たしかに自分もそうしています。 「ディンプルなんて田舎者のネクタイだ」という人もいます。イギリスでもイタリアでも聞いたことがあるこの言葉は、ロンドンやミラノのかなり年配の方が言う場合が多いようです。かつてディンプルを入れないネクタイの結び方が流行ったことでもあるのでしょうか。 ディンプルの入っていない結び方でも、相手に不快感を与えることはないので、個人的には、どちらでも構わないと思います。上手にディンプルを入れると光加減でくぼみ部分にネクタイの生地の質感が浮き上がって、シルクの素材の美しさが引き立ちます。これが胸元のアクセントになるのでディンプルが推奨されるのです。でも最近はナロウタイやニットタイも増えてきていますし、細い帯はディンプルを入れるのが難しかったりもします。モードなナロウタイは、あえて緩めに結ぶ方がかっこいいこともあるので、無理にディンプルを入れる必要はないのではないでしょうか。ちなみにお葬式のときはディンプルを入れないのがマナーです。 TPOに合わせて、ネクタイをきちんと結ぶのは、最低限のマナーだと思います。お酒の席や、仕事のネクタイを緩めるのはともかく、人前に出るときにネクタイが緩んでいるのは、パンツのジップが開いているのと同じぐらい恥ずかしいことだと思うんです。 テレビを見ていると、ネクタイの結び方がまったくなってない人が多いですよね。とくに芸人さん。スタイリストさんは衣装を渡して帰ってしまうのでしょうか、シャツの襟元のボタンが開けたまま、ネクタイをユルユルに結んでいたり、ネクタイが緩すぎてノットの上からボタンが覗いていたり、あるときはゴールデンタイムの大型バラエティで、某芸人さんがタブカラーシャツのタブをノットの上で留めていたのには、ひっくり返りそうになりました。ネクタイの結び方がなっていないと、僕は気になって面白いはずのトークも笑えません。 amzn_assoc_ad_type... 続きを読む


カラーステーの処遇について

けっこう引き出しからでてきます シャツを購入すると、襟の裏に細長いブラスチックの板が刺さっていることがあります。これは「カラーステー」といって、襟羽根をびんと張らせるためのものです。シャツを洗濯する時は抜け落ちてしまわないよう外しましょう。干すとき、アイロンがけをするときも外しておいて、最後に保管するときに差し込むべきものです。 このカラーステーについて、ちょっと前までは「買ったら即捨てるべき」と書いてきました。ドレスシャツを洗いざらして、ノーアイロンもしくは糊付けなしで着るというのが流行ったからです。実際、そういう原稿をたくさん書いてきましたし、自分でもカラーステーは捨ててしまったものがほとんどです。せいぜい「バジル」と書いて植木鉢に挿すぐらいしか利用価値がありませんから。 しかし最近欧米人、とくにイタリアは、みなさん、きちんとアイロンを掛けて、ピシっとシャツを着てらっしゃる。ファッション業界人に話しを聞くと、このカラーステーが見直されているようで、イタリア男のように襟羽根をハネさせたり、ノーアイロンの風合いを楽しむ着方より、英国紳士のようにきっちり隙無く着るのがトレンドのようです。 捨ててしまったカラーステーは、どうやらシャツのメーカーの問い合わせれば購入することができるようです。自作で下敷きを切って作ろうかと思ったのですが、とりあえず聞いてみることにします。海外ではカラーステーにメッセージを書いてプレゼントすることもあるようです。 僕は外して引き出しにポイ。そして、どのシャツのものだったかわからなくなって、結局捨てちゃいます。 ... 続きを読む


パンツの裾丈を見直そう

足の長さは関係ありません 昔はワンクッションとかツークッションとか言ったんですが、はっきり言います。いま、パンツの裾丈はノークッション、もしくはちょっと短めで短靴なら靴下が覗くぐらい、細身のパンツならくるぶし丈でカットします。チノパンやデニムはロールアップして、ドレスパンツならダブルに仕上げます。 ダブル幅は、裾幅に準じます。裾幅はたいてい20センチぐらいなのでダブルは4㎝ぐらいが適当です。20センチより太いパンツは最近あまり見られませんが、バギータイプなら5センチオーバーのダブルもいいでしょう。裾幅19センチ以下の場合、3.5センチ以下のダブルが似合います。ちょっと前なら、ぐしゅぐしゅとまくるロールアップでもよかったのですが、最近はきちんと折りたたむダブルがいいようです。 カーゴパンツ(もちょっとアウトオブデイトですが)や、ワークパンツ系のものなら、最近はウェストはゆったりめで、裾幅がきゅっと細いテーパードシルエットが一般的です。この場合も、ダブル幅は裾幅と連動しますが、カジュアルパンツの場合は裾幅16〜17センチで2.5〜3センチダブルというのがよさそうです。 ビジネススーツの場合、裾幅20センチまでなら裾が靴に触れるぐらいの位置まで詰めて、4㎝ダブルで仕上げます。お洒落スーツの場合は、パンツの裾は19センチ以下なので、裾丈はくるぶしがチラ見えするぐらい、ちょっと短めに設定します。初夏から夏は素足でもOK。秋になったらカラフルな柄靴下をのぞかせるのもいいでしょう。 ... 続きを読む


パンツのタックは、本当に無くてもいいの?

パンツのタックはあるべきか スーツのパンツからタックが無くなったのは、ほんのこと10年から15年ぐらいのことでしょう。「フロントはノープリーツですっきり見える」ことが良しとされたのは、細身のスーツが全盛となってからのことです。細身が主流になったのって、15年ぐらい前に、いしだ壱成さんがスタイルアイコンだった時代からずっと続いているような気がします。それ以前は、ラルフローレンのシャツをルーズに羽織るスケーターとか流行ってたし。 パンツのタックやプリーツが消えていったのは、細身でタイトなボトムズがメンズスタイルのメインストリームになったからです。スーツはもちろん、太幅のチノやカーゴは流行りませんし、モノとして存在はしてもフロントはノープリーツが一般的です。インコテックスJ35の大ブームから、イタリアのパンツ専業ブランドの群雄割拠まで、この方ずーっとノープリーツですから。 しかしここへきてタック入りのパンツが復権の兆しです。ボトムズがスリム一辺倒からテーパード型(キャロット型)に移行してきているからです。「ヒップ周りもタイトなスリム」から「ヒップ周りは余裕があって、裾幅は細い」が主流のシルエットになってきたため、パンツメーカーはプリーツやタックでヒップ周りをふくらませはじめました。 もちろん技術的にはノープリーツでヒップ周りをふくらませることは可能ですが、これはもう見た目やディテールデザインの一部としてのタック&プリーツです。このまま裾丈長めに履いてはオジサンパンツ丸出しになってしまうので、タック&プリーツパンツはあくまで膝下テーパード&短め丈が基本です。丈だけでなく、ひざ下から細身に詰めていくようにお直し時にご注意を。 ... 続きを読む