つんつるてんって言わないで ここずーっと、パンツの裾丈は短め履き、しかもターンナップかロールアップが主流でした。最近涼しくなってきて、あれあれ、これって靴下はくんだっけ?と悩むことしきり。じつは今年ほど、春先から素足履きが蔓延しているシーズンがなかったもので。 といいますのも、今年はスリッポンが大ブームで、雑誌もついに「もうスーツもスリッポンでいいんじゃね?」と、ついに故・落合正勝氏のスーツには絶対紐靴の原則が破られた記念すべき年だったんです。大袈裟ですが。そのため春からこちら、靴下の出番がまるで無い。すっかり忘れ去られていたわけです。 でもってここ数日の涼しさで、裸足に短めパンツで外出すると足首が冷える冷える。首、手首、足首の3大首は、暑いときには簡単に冷やせるポイントですが、寒いときは“首”が寒いと全身が寒いわけです。あれー、去年はどうだったかなーって考えたら、去年はまだ春も靴下履いてたし、夏も靴下履いてた日がありましたもん。今年はほんと、靴下はかなかったなー。 というわけで靴下、いまさらながらに必要だとおもったんですが、ちょっとまってくださいよ。靴下以前に、パンツの裾丈を考えなおすべきではないか、と。つんつるてん丈ではくのをやめれば、まだまだ裸足でスリッポンがはけるのでは? 派手色柄の靴下で、足元にアクセントを、というよりも、普通の裾丈で裸足スリッポンのほうが、なんだか新鮮です。イタリアおやじが、みんなつんつるてん丈というわけではありませんが、早い人はもうつんつるてん丈に飽きてきてると思うんだよね。だって、もう何年これやってんの? というわけで僕は最近、裾丈長いパンツをひっぱりだして履いてます。あーこりゃ男っぽくてカッコいいじゃん。なんだかSafariかOceansっぽいけどね。 とおもったら、ひとつ落とし穴がありました。手持ちのパンツ、ほとんどつんつるてん丈に直しちゃったので、長丈パンツ買い直さなきゃいけないんだった。ということは普通の人はパンツ買い直すより、まだまだ短丈ブームが続いたほうがいいわけですよね。 短めパンツのブームが終わらないわけだ。。。 ... 続きを読む
「トレンド」カテゴリーアーカイブ
クラシックだったら来年も着られるのに…
買い替え続けるのか、買い足し続けるのか モードの世界では、半年でガラリと様相が変わります。多くのデザイナーズメゾンが春夏と秋冬のコレクションに参加していますが、キャットウォークショーを開くにあたりテーマを設定して、そのテーマに基づいたデザインのアイテムを揃え、スタイルを作り、ショー形式で発表します。ですから春夏は「中世の海賊」がテーマでも、秋冬は「未来の火星人」で、さらに翌年の春夏は「南フランスのリゾートスタイル」がテーマかもしれません(さすがに時代感と乖離していたり、毎シーズンごとに関連性もなくハチャメチャ過ぎると顧客がついてこれないと思いますが)。シーズンごとにアイコン的なアイテムがあるので、次の年に着ていると「あ、それ去年のだ」とバレやすいこともあり、気にする人はちょっと気恥ずかしい思いをすることもあります。 クラシックの世界では、そこまで大きな変化はありません。以前もお話したように「クラシック」とは「古クサい」ではなく「最高級」の意味です。シルエットや色柄、素材や合わせ方などに流行はありますが、基本的にジャケット、シャツ、ネクタイ、パンツ、という定番アイテムばかりです。たとえば今シーズンはくすんだ色目のチェック柄が多いですが、来シーズンはカラーパレットが変化したり、春夏ですので生地が薄くなったりすることはあっても、がらりとペイズリー柄ばかりになることはありえません。去年買ったウィンドーペーンのジャケットを、今年着ていてもなんら恥ずかしいことはなく、来年になっても色柄や素材に大きな変化はなくて、チェック柄のジャケットが気恥ずかしい思いをすることはありません。 2〜3年前に、G.T.A.がスウェットパンツのようにリブ付きのウールのパンツをリリースしました。これは衝撃でした。数年前からモードとストリートの世界では、スウェットパンツを街着にする流行がときどきあったのですが、クラシックの世界ではパンツといえばスラックスが基本でしたので、カジュアルにはくコットンパンツはあっても、スポーツウェアの体裁であるスウェットパンツはありえない、と。しかし、これが徐々に認知されていって、今秋はリブパンがいろいろなブランドから登場しています。ここまで浸透するのに3年かかっているわけですが、来年はいてたらカッコ悪い、とは思われないはず。まだしばらく、向こう1〜2年はけるはずです。こういうふうに「徐々に拡大していく」のがクラシック・スタイルの流行の特長です。 てことはいまの流行を鑑みれば、ブークレやカセンティーノ、ツイードなどの紡毛系の流行は来年も継続すると思われます。色柄は徐々にシックなものへと変遷していますが、5年ぐらい前の無地ばかりの時代が再来するのは、もう少し先かもしれません。トレンドカラーは、シーズンごとの打ち出しはありますが、今年の春ぐらいまで見られたビビッドカラーの打ち出しから、すこしくすんだ色合いに変化していくでしょう。 ファッションはメトロノームではなく螺旋階段のようなもので、同じ位置を行ったり来たりするのではありません。窓から見える景色は同じようでも次元が違うので、たとえば今年流行っているダブルのジャケットが、いつか廃れてシングル一辺倒になり、再びダブルがトレンドにあがっても、ぜんぜん違うシロモノになっている可能性があります。いや、むしろ、きっと着丈やシルエット、バランスなど全然違うはずです。とはいえまったく新しいスタイルが生まれることは稀で、たいていは昔のスタイルの焼き直しなので、アレンジが効くのも事実。モードは毎シーズン上から下まで買い替えなければいけませんが、クラシックは買い足しで対応できます。つまりモードに比べて、クラシックは地球とお財布に優しいのです。 お安くはないですけどね。 ... 続きを読む