月別アーカイブ: 2014年11月

来シーズン展示会の密かなお楽しみ。

モノよりその気持ちが、ね 冬の声がちらほら聞こえだして、秋が終わる今の時期、メーカーやインポーター、セレクトショップが来シーズンの取扱商品をお披露目する展示会が開かれます。先日、マッキントッシュの来シーズンの新作をご紹介しましたけれど、海外ブランドの輸入商社が来シーズンの新作を取り揃えてメディアに紹介したり、卸売先の注文を取り付けるのも今の時期です。 内容は6月に開かれたピッティ・イマジネ・ウォモや、パリやミラノのコレクションをもう一度、国内バイヤー、メディア向けに焼き直したもの。一度目にしたものを、再度細かく確認することで、来シーズンの傾向と対策を見直すわけです。6月の時点でメーカーに依頼しておいた別注品などのサンプルを確認する機会にもなります。 この展示会で評判がよければ増産したり、評判がいまいちの場合、商品化を諦めることもあります。そういう意味では、見せる方も見る方も真剣勝負なのですが、単純に服好きが集まってる業界内では、新作をいち早くチェックできたり、場合によっては自分用に1枚予約できたり、と楽しい場でもあります。 もうひとつ展示会のお楽しみは「お土産」。会場を訪れたメディアやバイヤーの方々に、お土産が配られることがあるんです。それは、ちょっとしたお菓子だったり、ブランドの非売品小物だったり様々。なかには「こんなんもらっても…」と困るようなものだったりすることもありますが。 最近もらってうれしかったのは、ヘンリーコットンズの展示会でいただいたマフラー。大判で60×180ぐらいの、タータンチェック柄のニットマフラーでした。すでに愛用しています。お土産が良いと、ブランドへの好感もわくものです。ステマと言われようとも、次回はヘンリーコットンズの宣伝をしておこうかな。 ... 続きを読む


トラコン日想

エアラインバッグの郷愁とともに トランスコンチネンツが復活してますね。トランスコンチネンタルじゃないっすよ、トランスコンチネンツ。じつはまだちゃんと見てないのですが、首都圏は銀座、吉祥寺、越谷レイクタウン、大阪、京都にもお店があるようです。あと、ZOZOタウンにも。ロードサイド紳士服店の「はるやま商事」が運営されているそうで、あれー、トランスコンチネンツって東急系だったんだけど、ブランドだけ売っちゃったのかな? ディレクターはスタイリストの小沢宏さん。最近はご自身のブランド、Numero... 続きを読む


パンツのシルエットをDIY

仕事したくないときほど、裁縫がしたくなります パンツは裾丈を直すだけでなく、膝から下をテーパードさせるように絞ることが大切だ、と何度か書かせていただきました。BEAMSのクリエイティブディレクターの中村さんも同じことをおっしゃってますね。 お直し代が結構かかります。インポートのパンツなら3万円ぐらいするのに、お直し代が5000円超えるなんてこともあります。でも、これ相応の技術料だと思うんです。自分で直してみたこともあるんですが、完璧に美しくはなりません。そこそこにはなりますが。美しいパンツはS字のカーブを描いているので、このカーブを活かしながら修正するのはプロに任せたほうがいいんですが……。「そこそこ」でよければ、直し方を以下に。 1 まずパンツを履いて、膝のすぐ下位置をまち針などでマークします。 2 ふくらはぎの一番張ってるところが、どれぐらい削れるかを調べます。このとき、パンツを履いたまま、膝を曲げ指で摘んで余分な量を図ります(膝を曲げた方がふくらはぎ位置が上がります。そこで削れる分量を図らないと、歩いているうちにパンツがずり上がってきます)。2㎝摘めたら、削る分量は半分の1㎝ぐらいにしておきます。まち針などでマークしておきましょう。 3 裾幅をどれぐらい削れるか調べます。最近のトレンドは16.5〜18㎝でしょうか。カジュアルに履きたいなら細身に、ドレス用に履くならちょっと太めに残しておきましょう。裾のダブルは解いておいてください。 4 パンツを裏返したら、削る分量の半分ずつを、サイドシームの内側・外側に設定します。ふくらはぎの位置を1㎝詰めるなら、内・外を0.5㎝ずつ、裾幅を2㎝詰めるなら、内外とも1㎝ずつ削るので、チャコペン(僕はサインペン 笑)で適当に線を引きます。 5 マークした膝位置から斜めにカットインして、裾まで一気に縫います。このとき最初はあまり削らず緩めにしておいて、ふくらはぎのマーク位置からは裾までシャープに削ります。 6 縫ったステッチより外側にはみ出たもとの縫い目の糸をリッパーでカットして、縫い代をアイロンで割ります。縫い代が余りすぎるところはカットしてロックミシンをかけるか巻き縫いして端を処理します。 3 最後に裾を詰めます。裾の詰め方はググってください。 安易な直し方ですが「そこそこ」細くなります。細くテーパードさせ過ぎると、ふくらはぎが干渉して履きにくくなってしまいます。1cm細くなるだけでも見栄えは大きく違うので、まず1㎝削ってみて、表に返して履いてみて、もっと削りたいなら0.5㎝削るというふうに”仮縫い”しながらやってみるのがよいのでは。 練習用に、ロードサイドの紳士服量販店で1,000円ぐらいのパンツを買ってきて直してみるのもいいでしょう。実際、僕は3本ほど直してみました。「そこそこ」履けるシルエットになりましたが、素材感が安っぽいので、ご近所散歩かコンビニ用ですが。 メンズファッション... 続きを読む


色柄いっぱいの服は来年も着られるか

買うべきか、買わざるべきか そろそろセールシーズンが始まります。一般の方向けのセールはもう1月ほど先になりますが、プレス関係者や上顧客が招かれるサンプルセールが、バンバン開かれています。先日も、某セールに伺わせていただいたのですが、今年トレンドとなった派手なチェック柄のジャケットがたくさん並んでいました。あの撮影で見たジャケット、この雑誌で見かけたチェック柄、個人的には気に入ってたんだけどコーディネートチェックでボツにしたものも。 サンプルセールともなると、1シーズンさまざまな媒体の撮影で酷使されていますので、ピカピカの新品とまではいきませんが半額から8割引きになっているものもあります。しかもサンプルとしてはあるけれど、商品化されなかったモデルなど、正真正銘のブランド製なのに1点しかない超レアものだったりして、ファンにはたまらなく希少なアイテムとなるんです。誰かとかぶることもないですからね。 で、サンプルセールの戦利品はというと、シンプルな白シャツとベルトとネクタイだったりします。派手な色柄のジャケットもパンツもコートも今回は買いませんでした。それというのも、来年はこの色柄トレンドがすっかり影を潜めそうだからなんです。 最近、早い雑誌では「黒」だとか「モノトーン」だとかを推しています。じつはこのトレンドが来年あたり本格化しそうなんです。個々数年、色柄豊富なコレクションが、そろそろ飽きられ始めていて、もう黒でいいじゃん、となってきたという、ファッション業界的にはありがちな「揺り戻し」現象が始まっています。 そもそもファッションは右へいったら左へいき、左へ行きつくしたら右へ戻るという現象の繰り返しです。戻り具合のスピードは異なりますが、アイビーやプレッピー、80年代や90年代も、リバイバル現象がここ最近でも見られていますから。 で、来年は行き過ぎた色柄ブームに反旗を翻して黒、という流れは決定的です。先のピッティでもミラノでも、パリでも、黒やモノトーンは少なからず見られました。ただしクラシックのトレンドは、モードよりも速度がゆっくりですので、完全に黒の支配されるには数年かかると思います。で、世の中が真っ黒になった頃、早い人はまた色柄を着だしているというイタチごっこ。 個人的に色柄華やかなアイテムは一枚も持っていません。なぜなら似合わないから。着てみたいと思うこともありますが、自分の枠外の服には手を出さないようにしています。流行を追いかけるより、「流行とか関係ないね」という人のほうがお洒落に見えるのは、長年ファッションライターをやってきて、やっとわかった結論です。 ... 続きを読む


カラパンからガラパンへ。

確か去年ぐらいまでは、カラーパンツだった気がします。 今年の秋は、どこの店も柄モノのパンツが多いような。タータンチェック、ウィンドーペーンはもとより、花柄、小紋、ペイズリーから、わけのわからん幾何学模様まで。一歩間違うと激ダサいんだけど、さらっと1点使いだと、とっても今年っぽい。このさじ加減が難しい。 色柄が目立ち過ぎないものがいいと思うんですよね。たとえば昔のブルックスブラザーズにあったような、小さめの小紋柄とか、チェック柄なんだけど地色と格子の色がトーンオントーンだとか、プリント柄なんだけどオーバーダイまたは製品染めされていて全体にダークトーンになってるとか。こういうパンツなら、紺の無地のジャケットとか、基本無地柄のトップスにあわせれば、うまくいくような気がします。いや、気がしますじゃなくって、絶対うまくいく。会社に履いていけないかもしれないけど、お洒落サラリーマンなら許せる会社もあるでしょうし、なにより休日に履いてると、「お父さん、お洒落かも」という。 買おうかどうしようか、ぎりぎりまで悩んで結局辞めたのは、「流行ってるから」という、とても天邪鬼的な理由でした。「流行りものを着ていることほど、ダサいことはない」という、商業誌のライターとしては失格な考え方が、最近自分のなかでトレンドなので。でもそろそろリブパンほしいな。 ... 続きを読む