月別アーカイブ: 2014年9月

ス・ミズーラってなんぞや?

酢水浦

「スーツをス・ミズーラする」といって、なんのことか分かる人は、この先読まないでいいですよ。すっごく簡単に言うと「ス・ミズーラ」とは「パターンオーダー(セミオーダー、イージーオーダー)」をイタリア語で言ってるだけです。

「スーツはオーダースーツです」と自慢げにいう人がいますが、「オーダースーツ」と一言で言っても、採寸して型紙から起こすのか、ありものの型紙をちょこちょこ部分的に修正して仕立てるのかによって、仕事量はハンパなく異なります。型紙から起こす仕立ては「フルオーダー」といって、英語では「ビスポーク」、イタリア語では「サルトリアーレ」といいます。こちらは、値段もハネ上がります。

店頭で生地を選んで、ガーメントと呼ばれるサンプルを着て、採寸をして、1〜2ヶ月後に納品されるのが「ス・ミズーラ」です。セレクトショップや百貨店なんかのスーツ売り場にもよくありますし、ロードサイドの専門店でも店の片隅にコーナーがあったりします。

これはメーカーが所有する「理想値」で引かれた型紙を、お客様の体型に合わせて、肩まわりをちょっと詰めたり、ウェストをちょっとだしたり微修正してから縫製されます。ジャケットとパンツのサイズを上下で規定サイズから変更できるので、胸板は薄いけどお腹がでているとか、華奢なんだけど水泳体型で肩幅があるという人には適しています。

スーツは自分の身体に合っているものが、一番カッコよく見えます。それはガリガリのやせっぽちでも、デブちんでもそうです。海外のでっぷり太ったオヤジ連中も、自分の体型にあわせて仕立てたスーツを着ていると、デブでハゲでもそこそこカッコよく見えます。そもそもスーツとは、そういう服なんです。だからこそ、パターンオーダーで身体に合わせたスーツを着ると、「吊るし」といわれる既成品のスーツをそのまま着るよりカッコよく見えるというわけ。

理想的なモデル体型でもなければ、基本的に既製スーツが自分の身体に合うことはないので、パターンでもオーダーしたほうがいいと思うんです。有名ブランドでなくても、町の仕立て屋でも、自分の身体に合わせて仕立てたスーツは絶対的にカッコよく見えます。ただそこに、時代のスパイスというか、ほんの少しだけ今っぽさが加わるとなおさらいいですね。ジャケットの着丈がちょっと短いとか、色柄が今っぽいとか。そういうセンスのある仕立て屋さんが近くにあればいいのですが、残念ながらそういう気軽に行ける仕立屋さん自体が、ほとんど立ちいかないのが現状です。

既成品を否定するわけではないですが、お直しで対応できる範囲というのはじつはそんなに多くありません。既製スーツは、スーツデザイナーの気分や提案を着るもの考えれば、誰が引いたかわからない名もないスーツを着る意味がないと思うんです。既成品のスーツは基本的にモデル体型だったり、ちょっとおじさんでもそこそこお腹のへこんでいる人など、そこそこスマートな人を想定して仕立てられています。

既成服の型紙そのままの理想体型の人なら問題ないのですが、あきらかな「おっさん」体型だったら、諦めた方がいいですね。スウェットパーカやデニムのように、体型に合わせなくてもそこそこカッコよく着られる服なら別ですが、それでもカジュアル服もジャストサイズで着てるほうがカッコいいと思うんです。ヒップホップ系のダボダボなスタイルって、あれ着てカッコいい大人も確かにいますけど、ふつーの人が着てたらやっぱマズいですよね。


舌の根も乾かぬうちに急変するトレンドキーワードって、どうなの?

流行はあっというまに

春先、カラーパンツブームといわれて、赤や緑や黄色のパンツを買われた方もいるかと思います。この秋は柄ブームと言われて、タータンチェックや太幅のチョークストライプとか、柄目立ちするジャケットを予約されているかたもいるのでは。

でもですね、ひどい話ですが今秋はどうやら「地味色または黒」がトレンドの様子です。雑誌の企画で何度も「黒」がキーワードになる特集を執筆しましたので嘘じゃないです。

もちろんあくまでトレンドは「提案」なので、全部が全部、絶対流行するわけではないのですが、紺ジャケ代わりの黒ジャケをオススメしたり、黒いネクタイを推奨したり、黒系の無地もしくは柄パンを推すのは、やっぱりここ最近のカラフル傾向への反動なのでしょう。ファッション業界の先っちょのほうにいる人たちは、飽きるの早いですからね。

もちろん柄ジャケも柄パンも、迷彩柄も、タータンチェックもトレンドのひとつではあるので、着てたら恥ずかしいなんてことはありません。でも、さんざ色柄を推してきたのに手のひらを返すように「黒」とか言われると、「えーっ」って感じはしますよね。

なんか、最近ブログ記事が長くて、読みにくいかもと思ったので、今日は短めに終わります。「黒トレンド」は、またいずれ書くと思いますが、昔買ったトム・フォードのメタルボタンの黒いブレザーがまた着れるので、個人的にはちょっと嬉しいです。


祈! ドレスコード復活

「祝!」じゃないっす。「祈!」っす

「ただ問題は、彼らがその格好のまま平然と夕食に出かけてしまうことで、(中略)こと夏場のイタリアに関しては、なぜか彼らはリゾート地を勘違いをしている節がある」(落合正勝・著『クラシコ・イタリア礼賛』世界文化社)

昼間、ショートパンツにTシャツ姿でミラノのモンテ・ナポレオーネ通りで買い物をしてきた日本人が、同じ格好のままで夕食のレストランへ行ってしまうことを嘆いた、服飾評論家、故・落合正勝さんの言葉です。いまから20年前の著作ですが、ドレスコードについての認識が薄い日本人には無理もないことかもしれません。

ハワイや沖縄に旅行へ行って、昼間はビーチやプールで遊び、夕食のレストランにはTシャツ&短パンで出かけるのは、観光地なら許されることもあるでしょう。ハワイの高級レストランでは襟付きのアロハシャツを求められることもありますが。ヨーロッパの都市部で同じようなことをやらかすと、確実に店の奥のほうの、ヘタするとトイレの前の席に通されます。実際、ぼくも昔やられました。

ロンドンのサウスケンジントンあたりに泊まっていて、ホテルにほど近いレストランへ出かけたとき、なんのことはない地元の店なのに、客が皆ドレスアップしていたので、さすがこのあたりの住人はハイソだなと思っていたら、じつは多くが外国人で、わざわざドレスアップしてから食事に来ているのだと現地の友人に聞いて、ちょっと恥ずかしい思いをしたことがあります。ドレスアップ&ドレスダウン。遊びに行くときと食事のときの服装を変えるなんて、日本人にはあまり馴染みがないものですから。

80年代のディスコにはドレスコードを設定している店がありました。店の入口に黒服がいて、ラフ過ぎる格好の人は入店お断りというわけです。実際に弾かれた人を見たことはないのですが、「ドレスコード有り」と言われていたので、みんなそこそこ頑張ってお洒落して遊びに出かけていました。その後、ドレスコードのないクラブに夜遊びの中心が移行すると、ドレスアップする機会は激減しました。年に1〜2回、友達の結婚式の二次会ぐらいなものです。

お洒落して出かける場所がないことは、寂しいことだと思います。ドレスアップすることで気持ちを盛り上げたり、華やかな会場の雰囲気に溶け込んだりすることで、アドレナリンが出る感覚ってあると思うんです。いつでもどこでも短パンTシャツスニーカーで、気軽でいいかもしれませんが、ときには気持ちを切り替えるために服を着分けることがあってもいいのではないでしょうか。

ようやく涼しくなってきて、お洒落が楽しい季節になってきました。わざわざお洒落する機会を設けてみるのも、たまにはいいですよ。


お洒落になるための近道 その2

いつも同じ店で買う

できるだけ早く、お洒落になりたいなら、服を買う店を1店に決めることです。

トータルで上から下まで揃えている店なら、セレクトショップでもブランド店でも構いません。どこの店がいいかは、自分が気に入った店でいいのです。なんとなく、こんな服装がしたいな、とか、この店かっこいいな、という店でいいんです。スーツならシャツやネクタイも扱っているところにしましょう。テーラーは上級者向けだし。シャツとか靴の専門店はダメですよ。トータルアイテムを扱う店で、トータルで上から下までコーディネートするんです。あとはサイズを徹底的に詰めていくことを忘れずに。

ただし、店員さん選びは慎重に。服だけでなく、靴や鞄も一緒にみてくれるスタッフがいる店がいいですね。トータルブランドの店か、セレクトショップをおすすめしますが、百貨店でも伊勢丹のように、フロアをまたいで買い物につきあってくれるスタッフのがいる店もあります。買い物をする際は、いつも決まったひとりの店員さんがつきっきりで見てくれるように、まとわりつきましょう。お店が忙しい週末ではなく、平日の会社帰りなどのほうがいいですね。担当してくれた店員さんから名刺をもらって、以後はその店員さん指名で買い物をしましょう。お店に行く前、買い物前には電話をいれて、買い物につきあってもらうんです。つまり店員さんを、パーソナルスタイリストにしてしまうのです。そうすれば「以前、こういう服を買われましたよね。だったらコレが合いますよ」とか「こんど、こんな服が入ってくるので似合うと思いますよ」といった情報がもらえま。

パーソナルスタイリストになってくれる店員さんの見つけ方は、「すいません、これ試着したいんですが」といって担当してくれた人がどこまでついてきてくれるかでわかります。試着を見てアドバイスをくれる店員さんなら大丈夫。逆に、試着のお直しだけ別のスタッフが担当したり、レジに預けていなくなってしまう人では意味がありません。それと「どこも直さなくてばっちりですね」という店員さんは、ちょっと疑ってみたほうがいいでしょう。あなたがよほどのモデル体型でなければ、ですが。

いつも同じ店、同じ店員さんなんて面白みがないと思いますか? あなたにお洒落のセンスがあるなら仰るとおり。でも、お洒落に自信がないのなら、ぜひひとつのショップと仲良くなってください。


お洒落になるための近道 その1

自分に似合う服を知る

「どうしたら、お洒落になれるのか」、永遠の課題ですよね。

昨日今日のぽっと出が、雑誌を読んだりしても、お洒落にはなれません。お洒落は服を着慣れている人、たくさんの洋服を買っては着て、着ては買ってを繰り返してきた人は服に無頓着な人よりも絶対的にお洒落です。

たとえば自分に似合う色柄の選び方。微妙なトーンの合わせ方は、その人の髪の毛の色、目の色、唇の色、肌の色など、さまざまな要素によって変わってきます。青が似合う、赤が似合うなど、パーソナルカラーとかいいますが、それって確かにあるんです。「日本人の黄色い肌には青いシャツが似合う」といったのは故・落合正勝さんですが、一般的に黄味がかった肌にブルーは似合いますが、トーンや素材感によっても変わってくるので最適な色目を探す作業が必要です。

顔が濃い、薄い、背が高い低いなどによっても似合う服は変わってきます。濃い顔の人なら、シンプルな服がいいように思います。あっさり顔の人は個性の強いデザイン服がいいかもしれません。逆に濃い顔だからデコラティブな服が着こなせたり、その逆に薄い顔なので服も薄いものをすっきり着るほうが似合う場合もあります。

サイズ感は既製服である以上、モデルとなる理想値を基準に作られていますので、ぴったりサイズを見つけるのは至難の業です。でもいろいろな服を着ているうちに、ここの服が自分に似合う、人から褒められる、というブランドに出会うことがあるはずです。

ホント、自分に似合う服を見つける作業は難しいです。新しいデザイン、色柄、素材が毎シーズンでてきますから、永遠にこの作業を続けるしかないのです。あるいは、もう自分に似合うとわかった服しか着ない生き方を選ぶか、ですね。そのためにもたくさんの服を買って着続けて、いつか判断できるようにならないと。

「そんな悠長なこといってらんない!」という人は、こうしましょう。服を買う店を1店に決めることです。

長くなったので、次回に続きます。