投稿者「zeroyonlab」のアーカイブ

zeroyonlab について

メンズファッション誌のエディター、ライターとして活動しています。雑誌の特集ページに記載される、スタッフ名に「ZEROYON」「04」「ゼロヨン」とクレジットされているのが”私”。ちなみに1人ではありません。

いまどきの服はオーバーサイズじゃない

流行のシルエットはGUのユル~いシャツがお手本  ファッションの流行をつくりだすデザイナーズやメゾンのトレンドを、GUはじつに上手く取り入れている。たとえば今季なら、多くのデザイナーがトップスもボトムズもビッグシルエットを展開しているの。断っておくがオーバーサイズじゃない。あくまで「オーバーサイズシルエット」だ。身頃はぶかぶか、袖も長いけど、ネックサイズはジャストでなければならない。 GUのコレクションは正にそんなオーバーサイズシルエットの宝庫であり、とくに「シャツアウター」のカテゴリーは、欧米のデザイナーズブランドが掲げる最新のトレンド服が上手にアレンジされていた。  たとえば「ドライワイドフィットオープンカラーシャツ」。半袖シャツだが、袖先が肘下ぐらいまでの長さで、肩線の位置も二の腕に下がっている。身幅も大きいのだが、着丈はほどよく腰丈に収められている。これなら海外のデザイナーズブランドのカジュアルシャツとデザイン、シルエットともに見劣りしないだろう。サイズはM表記。よくみればタグにも「5分袖」と明記されていて、なるほど最初から通常の半袖シャツより袖が長いことが示されている。吸汗速乾性のある素材はさらりとしたドライタッチで、夏場は一枚で着ても心地よさそうだが、シニアには中にTシャツを一枚挟んで胸元をはだけない着方をおすすめする。GUのWEBサイトでもそのように着られている。 https://www.gu-global.com/jp/ja/products/E332630-000/00?colorDisplayCode=67  同じ素材のパンツもゆったりとしたワイドシルエットでリリースされているのだが、これも今年のトレンドの最先端を行く。一瞬いまの世界の流行は、GUがつくりだしているのでは?と思いそうになるが、もちろんGUが世界中のファッショントレンドをじつによく研究しているからにほかならない。トレンドセッターである本家ならばロゴや切り替えデザインなど、様々な要素を盛って「最新」を謳うのだが、少々味が濃すぎてメディアも食傷気味だったところへ、ほどよくトレンドの核心を残して余計な装飾を取り払っているGUが好感を持てた。もはや流行を追う年齢でもないが、流行服を知ることは「時代遅れ」や「ダサい」を回避するためにも有効。シニアのカジュアルにもきっと役立つ。 ... 続きを読む


ゲンスブールに憧れて

誰かに憧れ真似ることからお洒落は始まる  いい大人が年若いモデルの着こなしを真似ることには抵抗あるという声を聞いた。自分と似通った年齢や容姿でないとリアリティを感じられず、おしゃれのお手本にしにくいという。確かにそうかもしれない。ファッション誌を眺めても、流石にこのままコーディネートを真似たら無理に若作してるように見えるだろうということは、なんとなく想像がつく。かといって年相応のファッション誌を買う気にもならず、ファッションセンスが昔のままで停滞しているのは、シニアあるあるではなかろうか。  流行りモノを追いかける必要はないが自分なりの装いを見つけるためには、「あの人、お洒落だな」と憧れる誰かを見つけることから始めるのが確実だ。10代の頃、お洒落な同級生や先輩の服を真似して丸井のセールに並んだり、地元のテーラーでコンポラをオーダーした経験があるなら、さて今、誰に憧れよう。  社会的な地位や仕事や、その他諸々の事情を一切鑑みず、あえていうならセルジュ・ゲンスブールに憧れる。ちっともイケメンではないのに絶世の美女にモテモテで、酒と煙草を好きなだけ嗜んで、可愛い愛娘を溺愛し、「俺はすべてに成功したが、人生にだけは失敗した」という言葉を残して、ある日突然この世を去る。いつも酒臭く、服はヨレヨレで髪もボサボサ、無精髭も剃らないデカダンスの権化だが、今も多くの人々に愛されてりて不思議な魅力がある男だ。自分にはまともな仕事があるし大切な家族もいて、酒も煙草はほどほどにして健康にも気をつけている。絶対にゲンスブールにはなれないからこそ憧れる。  白シャツは洗い晒しで着る。デニムシャツも同じく、前ボタンは3つほど開け、上質なテーラードジャケットを羽織る。よく色落ちしたデニムを履いて白いスニーカーを履いたら、きっとゲンスブールになれるはず。そう思いながら鏡を見たら、単に時代遅れのヨレヨレオヤジがいた。シャツのボタンを留めグレーのウールパンツを履き、スエード靴を履いて家を出た。いつかゲンスブールになれる日が来ると信じて。 ... 続きを読む


福澤幸雄のブレスレット

もうひとりの「日本のジェームズ・ディーン」に捧ぐ  袖丈が短くなると腕もとが心もとない。さりげなく、ブレスレットを付けてみてはどうだろう。  福澤幸雄をご存知だろうか。誰もが知る日本のジェームズ・ディーンといえば赤木圭一郎だが、福澤幸雄は赤木の死から8年後、レーシングカーのテスト走行中、不慮の事故でこの世を去った。赤木は21歳のとき撮影所内で事故を起こしジミーと同じ2月21日に亡くなったが、福澤の事故日は25歳の2月12日、アナグラム的には少しだけ歯車が狂った運命のいたずらにさえ思えてしまう。  カーレーサーだった福澤は、その名字から慮れるとおり福澤諭吉の曾孫にあたる。父は外交員、母はギリシャ人のオペラ歌手。彼自身もフランスで生まれており、英語・フランス語が堪能だった。帰国後、まだクルマが高級品だった時代、慶応義塾大学在学中にレーサーとしてデビューを果たす。彫りの深い日本人離れした美貌から、ファッションモデルとしても活動し多くのCMにも出演している。当時最先端の若者が集まる六本木野獣会のメンバーであり、お洒落も遊び方もスマートなファッションリーダーであった。大学卒業後、当時の人気ブランド「エドワーズ」で役員に就任すると、ファッション業界とモータースポーツの発展・繁栄に身を尽くしていたという。  福澤家の血筋を引く上流階級出の、誰からも好かれる好青年。海外事情に精通しウェルドレッサーであった彼の華やかなライフスタイルは、いまも語り継がれていて、シニア世代のファッショニスタにとっては伝説的な存在でもある。エドワーズもボージェストも、今では当時とまったく違うコレクションだが、神宮前のテーラー「ミスター・フェニーチェ」では、福澤幸雄を永遠のファッションアイコンと崇めるオーナーが「希望のハンドル」を意味する「ヴォランテ」というブランド名のアクセサリーを扱っている。プレートをチェーンと組み合わせたブレスレットは、福澤が肌身離さず身につけていたデザインを踏襲したもの。もし福澤がいまも生きていたら、きっと相当なイケオジで、ブレスなどさらりと身に付けているに違いない。 https://mrfenice.com/ ... 続きを読む


ニューノーマル時代のパンツとはどうあるべきか?

40年ぶりの太シルエット&くるぶし丈  シニアのカジュアルを改善するなら、パンツを新調するのが手っ取り早く確実だ。その理由は、いまどきのカジュアルはパンツが主役だからである。じつは、ここ10年ほど、ボトムズシルエットは目まぐるしく移り変わっている。少し前に流行った「美脚・脚長シルエット」の特徴だった「ノータック」「スリムテーパード」のブームは、この10年の間で太くなったり、細くなったりを目まぐるしく行ったり来たりしている。そこへきてウェストがベルトループのない仕様だったり、スウェットパンツやパジャマパンツのようにゴムシャーリングやドローコードでアジャストするイージーフィッティング、腰回りにタック(プリーツ)が入ったゆとりある腰回りや、くるぶしが覗く短い丈が様々にピックアップされ流行している。  ファッションに詳しい人なら、このパンツ、シニア世代には懐かしい80年代に流行したスタイルだということに気づくだろう。トシちゃん(田原俊彦)やとんねるず、久保田利伸らが歌い踊る衣装が、まさにこんなボトムズだったことを。じつはファッションはいま派手なロゴやビッグシルエットなど80年代回帰して降り、パンツのデザインにそれが顕著に表れている。 https://www.gu-global.com/jp/ja/products/E333898-000/00?colorDisplayCode=09  たとえばGUのアンクルパンツシリーズは最新のゆったりワイドなシルエットを取り入れながらも、どこかそんな80年代の雰囲気を呈していて若い人には新鮮だ。ワイドシルエットといってもいわゆる寸胴型ではなく、しっかりテーパードしている点が80年代とは一線を画す。腰から太ももに掛けて風になびくと衣服内の空気が動くし、足首が覗く丈ゆえ裾から風も入るので、盛夏も涼しく穿ける。伸縮性のあるポリエステル生地は、さらりとドライなタッチが心地よく、シワになりにくく自宅で洗濯できるイージーケアも便利そうだ。  ちなみに同じGUからリリースされている共地のシャツとセットで買うことをおすすめする。上下共地のセットアップスタイルも、いま流行りのお洒落スタイル。これぞ最新の「甚兵衛スタイル」として、シニアにも着やすいはずだ。 ... 続きを読む


もう「デニム」には戻れない

ユニクロ「EZYジーンズ」は見た目ジーパン、履き心地スウェット  リーバイスに始まる藍色の5ポケットパンツを「ジーパン」「ジーンズ」と呼ぶが、最近は「ジーパン」見えする商品をすべて「デニム」と呼ぶようになった。本来は綾織組織の綿布のことを指す名称だが、生地の織り方にこだわらず、平織り化繊地の5ポケットパンツを「デニム」と呼ぶことすらある。さらなる混乱を招くつもりはないが、これからの「デニム」の主流となるであろうパンツがユニクロから登場した。 https://www.uniqlo.com/jp/ja/products/E428685-000/00?colorDisplayCode=67&rrec=true  スウェット地はトレーナーやパーカ、あるいは寝間着のパジャマなどで使われるニット素材だが、これを「ジーパン」見えする5ポケットパンツに仕立てたのが、ユニクロの「EZYジーンズ」だ。じつは以前から、スウェットパンツをジーパン風に仕立てたアイテムは他メーカーで存在したのだが、ユニクロが手掛けることで一般化することは間違いなく、これから「デニム」はスウェット地のブルーまたはブラックの5ポケットパンツが席巻することになるかもしれない。  この「EZYジーンズ」、見た目はデニム生地のジーパン風だが、素材はスウェット地である。前開きはジップフライでトップはドーナツボタンを採用しているが、内側にドローコードが取り付けられている点は、流行りのイージーパンツ風で、ベルト不要で穿けるためウェストが苦しくならないのがいい。ポケットの形状はデニムと同じくフロントはLポケ、バックはベースボール型のパッチポケットを配しステッチも2重。フロントポケットと右コインポケットの端部分にはしっかりとリベットも打たれており、インディゴブルーの紺色と適度に色落ちした薄いブルー、そしてブラックがカラーバリエーションとして用意されている。  つまりデザインは完全に細身の「ジーンズ」なのだが、スウェット地なので足曲げがこのうえなく快適だ。しゃがんだり正座したりできるうえに、このまま寝ることだってできる。店頭ではくるぶし丈の短めラインナップだが、オンラインショップでは長め丈も買える。この快適さを知ってしまったら、本物には戻れないことを覚悟のうえで体験していただきたい。 ... 続きを読む